【愛し恋詩】大寒波〜あなたからのLINE
身を切る寒さに
手足の感覚がなくなる
雪が全てを吸い込んで
音のない世界が広がった
一面の銀世界
雪あかりと降る雪に阻まれて
少し先も見えない
明日も見えない
たまらず逃げ込むように
自販機で買ったコーヒーは
味がしなかった
舌はぬくもりだけを感じてくれる
温もりを貪るように
飲み干すコーヒー
だけど飲み切る前に
体もコーヒーも冷え切ってしまった
コーヒーも心も
再び冷え切った体は
匂いすら感じない
周りには雪しか見えない
真っ白で何もない世界
五感が消えていく
せめてあなたの気配だけでも
感じたいのに…
スマートフォンが奏でる通知音
あなたの言葉が浮かび上がる
「だいじょうぶ?」
うん…たった今
大丈夫になったよ
胸の温もり分だけ前に進む
早く家に逃げ込みたい
だけど雪が深くて
思うように足が動かない
前に進めない
早く家に逃げ込みたい
そこにあなたはいないけど
別々の家に帰るあなたに
無事の到着を知らせたい
返事が来たら
心の氷は溶けるかな?
大寒波の風雪に埋もれて
あなたへの想いに溺れて
僕は前に進めない
あなたの胸に逃げ込みたい