定時制高校に通っていた話

中学の時、上手く馴染めず不登校になった。中学には半年しか通っていなかった。
毎日家にひきこもって2ちゃんねるに張り付く日々を過ごしながら、さすがに高校は通うべきなのか……とぼんやり考えていたところ、当時の担任の先生からある高校を紹介してもらった。
曰く、なんらかの理由で学校に通えていない子たちを中心に受け入れている高校であるとの事で、その先生が強くオススメしていたからというだけで入学を決めた。

一応試験的なものはあったが、問題と言うよりアンケートみたいなものだったと思う。
それから面接、というか先生と適当に話すだけ、というのを経て、合格した。
よく「名前を書いただけで受かる」とか聞くけど、本当にそれである。

ところで、その高校は定時制の高校であった。
定時制というと夜間開いている学校というイメージのある方も多いかもしれないが、私たちが通っていたのは昼間の定時制高校。
ただし、全日制(いわゆる普通の高校)よりも授業の時間が短いため、基本的に4年間かけて卒業することになる。

入学式が終わったあと、新1年生たちでオリエンテーションというかレクみたいなことをやらされた。
周りにいる子に声をかけて、自己紹介をし合いましょう!というようなやつで、陰キャにはまさしく地獄でその瞬間すでに入学を後悔した。
なんとなくキョロキョロしてはみるものの話せそうな子はおらず、フリーズしていると、先生にぐいぐい引っ張られた。
「ほらあそこに1人でいるあの子とか、声かけてみよ!ほら!」
先生が指さしたのはいかにも目付きが悪い、話しかけんなよオーラが全身から出まくっている少年であった。よりにもよってこれと喋るのかよと思って半泣きになった。
この出来事が後の人生に大きく関わってくるのだがそれはまた別の話……

入学式が終わってだんだんと通常の授業が始まる。
前述の通りこの学校は、中学まで通えていない子たちを受け入れる学校なので、クラスの面子はだいたい3種類に大別できる。
・ステレオタイプのヤンキー
・元不登校のコミュ障陰キャ
・ただ近所だったからという理由でなんとなく入学した全く普通の子たち
である。
ヤンキーや普通の子は言うまでもなく、どう見ても陰の子達でもそれなりに友達を作りグループが固まっていく中、私は完全に浮いた。1人も友達が出来なかった。

体育でグループ作ってーと言われれば端によって気配を消し、班行動が必要な課外学習などは上手いこと休み、部活も入らず、文化祭も体育祭も出ず、修学旅行も当然行かなかったので、私に高校時代の思い出は全くない。ゲーセンで1人ポップンミュージックしてた思い出しかない。

さておき、定時制の授業ってどんななの?という部分なのだが、
教科によるが基本普通に勉強は進む。
ただ、学校に行っていなかった子がほとんどだから、学び直し的な時間がある。
その時間は足し算引き算をやったり、ABCの書き方を勉強するプリントをやらされたりする。普通の高校生にはかなり想像を絶する授業風景かと思う。
他、通常授業の際も、ヤンキーは大声で喋り散らす、陰キャたちはゲームやったり寝たりイヤホンで音楽聴いてたり、基本誰も授業を聞いていない。それを注意する先生もいない。
たまに真面目な子がいたと思えば、初歩的な部分や授業に関係の無いことなどの質問を空気を読まずにばしばし投げまくるので、授業が全く進まない。

わたしは勉強自体は好きな方であったから、それはだいぶストレスだった。
今だったらもっとほかの選択肢もあったことが分かるけど、当時勉強をするのは学校で教わるのが1番効率のいいことだと思っていたから、人と上手くコミュニケーション出来ないだけで勉強の機会すらなくなることがとても悲しく思えた。
あと、校内にタバコの捨て殻落ちてたり、誰かのバイクが校門前に違法駐輪してたり、校内にある自販機が誰かに破壊されていたり、大分世紀末な世界観だったので常に1人のわたし的にはなかなか恐怖を覚える場所でもあった。ひたすら気配を消しながら過ごしていた記憶がある。

それでも高校はどうにか卒業だけはしようと思っていた。もう2年くらいになると学ぶモチベーションもなくなって、家でも色々あって帰りたくもなく、学校にも行かない、家にも帰らない、公園で適当に時間つぶしたり24時間のファミレスでぼーっとしたり、ネットで探した知らん人の家泊まったりしつつ、出席日数ギリギリでどうにか卒業はした。

まぁ体育とかほとんどサボってたから落とされてても不思議ではなかったけど、そういう懐の広さというか、ちょっと足りなくてもオマケしてもらえる緩さは定時制高校の魅力だと思う(全部の定時制がそうかは分かりませんけど)。
わたしはもっとちゃんと勉強したかったって気持ちはあったけど、普通に全日制に入っても結局コミュニケーションでつまづいて行けなくなってただろうから、そういう点においてはよかったのかもしれないですね。
進路を決める時は本当にいろんな視座をもってよく考えないとダメだなと思います。というか中坊程度のガキがなにを必死に考えたところで予想出来るわけもないから、進路とかって運かもしれないです。そればっかりはしゃあない。
ちなみにその後大学進学したけどみごとにそっこう中退しました、人生ってままならないね。

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