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さよなら なおちゃん
放課後に、なおちゃんと会う約束をしていた僕は、その日は用事があるからと洋介君とは下校できない事を伝えていた為、1人ニヤニヤしながら帰った。
家に帰ってからも、ずっとなおちゃんのことを考えていた。
千葉に引っ越すって言ってたな…
引越し先の住所聞けばよかったなー。
手紙書きたいな…
当時は携帯なんて無い時代。
家の電話か、手紙かの時代。
それがまたより切なく、愛おしい時を演出してくれるのだが、今の便利な時代を知ってしまうと、どこかもどかしい…
一日中なおちゃんのことを考えながら、その日は過ごした。
そして翌日、学校に行くといつも通りだった。
そして放課後
洋介君「あっきー、一緒に帰ろうぜー」
僕「帰ろー」
そして、2人あぜ道を歩き、ススキを振り回しながら、歩いている時に
僕「洋介、実はさ、昨日なおちゃんに呼び出されて放課後会ったんだよね…言わなくてごめん」
洋介君「え? ごめん、実は俺もなおちゃんに呼ばれて放課後会ってる…」
??
僕「え? 放課後? どこで?」
洋介君「給食室の前」
…
僕「俺も給食室の前に呼び出されてるんだけど…」
洋介君「えー?マジで? え??じゃあ、なんかされた?」
僕「………………うん。 軽くチュって……」
洋介君「……俺も…………」
どういうこと????
洋介君「あっきーから、なおちゃんの話聞いた後、俺のとこにもなおちゃんが訪ねて来て、放課後呼び出されたの。で、転校するからって。
チューされて、マジかよ!って思ったけど、恥ずかしいから、あっきーに言えなくて💦
そしたら、同じ状況じゃん!ってなって、なんで???って」
僕「これ…もしかして…
また?
また?
洋介君「マジかよ… また?
うちらなんなの? なんで? 怖っ怖っ
僕「だってさ…いくらなんでも、あんな可愛い子知らないことなくない??」
洋介君「そうだよな…あの可愛さに忘れてたけど…いたらわかるよな…」
またか…
そのあとは2人無言でススキをプラプラさせながら、夕暮れのあぜ道を歩いて帰った…
でも、今回のは全然怖くなかった…
なんだろ、切なかった…
子供ながらに切なかった…
なおちゃん…ちゃんと千葉に帰れたかな…
なおちゃん、ちゃんと忘れずに覚えてるよ。
いつかまた会おうね…