【1分小説】4# ある夏の日 :奇妙
超大型の台風が迫っていた。
テレビをつけると、どのチャンネルもその事ばかり。
人々は家に籠り、街に人の姿はない。
「だけど私にとってはチャンスだ」
「この世の中と、さよならする為の」
そう思って外へ飛び出す。
車をひっくり返すほどの風。
雨は吹き荒れて石つぶての様だ。
だけど彼女は進んで行った。
「行先はあの世」
シュッ
飛んで来た傘が頬をかすめる。
だが彼女は進む。
「私をあの世へ連れてって」
どのくらいの時間が経っただろう。
途端に辺りが静かになり、彼女は歩くのを辞めた。
身体は血と雨で濡れている。
「ここは…」
彼女は目の前の光景に心奪われた。
そこで見たのは、黄金に光る一羽の鳥
舞台は台風の目の中で。
1分間立ち寄って頂き誠にありがとうございます。
あなたの時間を奪ってしまい、大変嬉しく思います。
また次の作品であなたの時間が奪われぬよう、ご注意下さい。