前方後円墳成立期における墳丘石積みの系譜 ー萩原1号墓・西条52号墓の再評価ー 吉木誉絵 の紹介
明治大学考古学研究室論文の紹介
実のところ、私の記事は、尊敬する考古学の師匠の仮説に沿ったものが多いのです。
以前の記事に、石室の構造などから卑弥呼の墓は萩原1号墓であるという仮説を書きました。
その師匠から紹介のあった明治大学考古学研究室論文を紹介します。
葺石構造=墳裾部の石積み構造の系譜を調べると、
萩原1号墓の葺石構造と纏向型前方後円墳である最古のホケノ山古墳が類似していること。
萩原1号墓の阿波、西条52号墓の播磨の古墳築造技術が奈良纏向に伝わったのではないかという論文です。
明治大学考古学研究室は、邪馬台国畿内説・九州説にとらわれず、真実を追求しているのでしょう。
論文著者は吉木誉絵(よしき・のりえ)さん
吉木さんのことは初めて知りましたが、ユニークな経歴をお持ちのようです。
竹田恒泰氏とTV出演していたり、佐久弥レイ名義で古事記を題材にしたアーティスト活動をしていたり、さらに古代史研究をつづけていただければと思います。
参考遺跡文献
楯築墳丘墓発掘報告書 2021年の公開
2021年12月に楯築墳丘墓の発掘報告書が公開された。1976年から1989年にかけて、岡山大学教授であった近藤義郎氏を中心に調査が行われたが、実は正式な発掘調査報告書は無かった。第1回から発掘に参加した宇垣匡雅氏によって最近まとめられ、岡山大学学術成果リポジトリに公開された。
https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/ja/63034
徳島県の萩原墳墓群報告書(1983、2010)
上記の楯築墳丘墓発掘報告書の遺跡文献には【徳島県】の欄が無いのが欠点。
記載内容が良いゆえに、意図的に隠したのかとも思えるほどである。
徳島県教育委員会、菅原康夫氏による、
・萩原墳墓群(1983)
・萩原2号墓発掘調査報告書(2010)
を合わせて読まなければいけない。