学校のチャイムが鳴った。 「ちょっとタバコ吸いに行こうぜ」おおいこういこう〜。どかどかどか………。 「…… ちぇっ。」 俺はいま給料日前でタバコが吸えない身だっていうのに。ああ、タバコが吸いてぇ…。俺は大学の机に突っ伏した。次の四限の授業も三限と同じ教室だった。 つんつん。 「一本どう?」 「!」だれだ!女神か!顔をあげるとそこには、シャボン玉のボトルと、シャボン玉を吹いてとばす棒を持った、ちいさい男の子が立っていた。 「ちょっと、シャボン玉、飛ば
ドアチャイムがなったので扉を開けてみるとそこには人がいなかった。かわりに、何やら訳ありの植物がいた。 「どうも、お初にお目にかかります、わたくしセンリョウと申します」センリョウ?へんな名前。私は植物には詳しくない。 「わたくし今、マンリョウという輩と地を争っているのですが、どうかわたくしセンリョウを応援していただきたいのです。ちなみに、まだマンリョウはお宅に来てないですよね?」 「来てないけど…」 「ではどうかあなた様のお庭を占領させていただきたいのです」
お父さんの妹は三人いて、そのうちの長女のフーちゃんが、ぼくにテディーベアを買ってきてくれた。 「おれに名前つけてよ」 「うーんと、じゃあ、テディーくん」 「……わかった。じゃあテディーくんでがまんする」 そのテディーはぼくにだっこされるのがすきで、いつもべたべたぼくのお腹にくっついてくるんだけど、テディーのもこっとしたからだをだきしめると、とても安心したんだ。 ぼくとテディーは窓辺でよくおはなしをする。窓の下にレンガでつくられた花だんがあって、いまは赤い
ウイテルさんは手足をバタバタうごかす。 ただ動かすだけではちっとも前に進まないので、平泳ぎのように足を蹴ってみた。手もかきわける。少しずつ要領がつかめてきたので(なにせ初めての宇宙空間だ)ウイテルさんは任務にとりかかる。 まず宇宙の底に溜まっているものを確認する。頭を下に向けて平泳ぎをする。(たまに人魚になった気持ちで足を絡ませ、うねうねしてみる。人魚泳ぎのほうが下へ沈むような気がしたので途中で切り替えた。でも気持ちは油の中へいれられるエビフライにも似ていた) 宇宙
1 ヒッコミ こういうのは理屈じゃない。なぜだかヒッコミは目立つ男の子だった。活発で、騒がしいという意味ではなく、むしろおとなしいほうだった。髪の毛がくせっけでふわふわで、顔はまんまるでホッペタがぽたぽたしていてよく女の子に見間違えられた。ヒッコミはうちゅう組で、わたしはもり組で、教室は違っていたけれど、遊びの時間のとき、みんなが決まって外の庭できゃーきゃー駆け回る中、ヒッコミだけが教室にあるピアノを弾いていたりして、印象深かった。ギターもこの歳で弾けるらしい。 こ