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ベツレヘムでパレスチナ分離壁を見に行く

この記事は、私が旅行者として実際に行った場所などの経験について書かれています。イスラエル/パレスチナいずれかの立場に与するものではありません。

はじめに

ベツレヘムに行くことにしたそもそもの目的は、キリスト生誕地を見に行ってみることでした。
調べるうちに、ベツレヘムにはバンクシ―の壁画があること、それはパレスチナ分離壁に描かれていることなどが分かり、行ってみることにしました。


分離壁のかんたんなあらまし

イスラエルはヨルダン川西岸地区に分離壁を作りました。
目的は、パレスチナ自治区とイスラエルを分離するためです。コンクリートの壁で、けっこうな高さがあります。
(分離壁の歴史などはここに載っています。)

ベツレヘムはヨルダン川西岸地区にある都市です。パレスチナ自治政府が管理しています。
すぐ向こうはイスラエルなので、ここベツレヘムにも分離壁があります。
どんなものなのか、見に行ってみました。

場所

ベツレヘムに分離壁があるのは知っていましたが、どの辺りにあるのか、事前に調べようと思ってもなかなか分かりませんでした。Google Mapにも特に記載がありません。
行ってみて、ああこうなっているのか、とようやく分かりました。
私が分離壁を見た場所(よくいろいろな人の写真に出てくる場所)は、ここ。青く線を引いた場所です。

バンクシ―のホテル(The Walled Off Hotel)にも近い場所。

パレスチナにはヘブロンという歴史ある街があります。エルサレムからヘブロンまで行く街道(Via Hebron)がベツレヘム市街を通っているのですが、その街道のど真ん中に壁が建っています。

もともと街道筋なので、お店やガソリンスタンドやらが並んでいる。ただ多くは閉店している。

なぜこういうやや無理がある場所に壁があるのかというと、壁の向こう側にユダヤ教の聖地があるからです(Rachel’s Tomb)。
Rachel’s Tombは、ほかの多くのこの地域の聖地と同様、ユダヤ教だけでなくイスラム教やキリスト教にとっても聖地なのですが、いまはユダヤ教徒が行き来できるだけです。イスラエル側からしか行けません。

行き方

ベツレヘム市街から歩いて行けます。
エルサレムからでも十分日帰りできる距離です。
そもそも、エルサレムとベツレヘムは10kmも離れていません。ニュースなどでも耳にすることの多いパレスチナやイスラエルの街ですが、それぞれが50km四方に収まる程度の場所に集まっています。思っていたよりも狭い範囲です。
エルサレムとベツレヘムも、本来なら市内バスでも行き来できる距離なのかもしれませんが、エルサレムからのバスは直通してくれません。
東エルサレムのバスターミナルには、ベツレヘム行と書かれた市内バスがあります。が、実際にはベツレヘム市街に行ってくれるわけではなく、壁の向こう側で降ろされます。

東エルサレムからここまではバスで来れる。壁は真っ白。

そのあと、国境のような長い通路を通って向こう側に行きます。

行ってきます。
長い通路。検問とか特にない。なお、パレスチナ側から入る場合は検問がある。

壁画

ベツレヘムはバンクシ―の作品があることで有名ですが、実は分離壁に描かれているのは一点のみ。ほかの作品は市内各所に点在しています。

天使の絵がバンクシ―の作品。最初に載せた地図の青線の真ん中あたり。

壁には単なる落書きのようなものやら、旅行客が残したメッセージやらが描かれています。単なる壁なので、べつに誰かが何か管理しているわけでもなさそうです。
ただ、メッセージ性の高い絵も多く描かれています。描かれた人のことのこととか検索しながら歩くと、けっこう重い気分にさせられます。現代世界史の真ん中に来てしまったことを感じさせられます。

バンクシ―のホテルから少し坂を登ったあたり。
パレスチナ的には有名な人たちの絵が壁の左右に描かれている。

おわりに

ベツレヘム市内には、キリストの生誕地をはじめ古い教会が多く建っています。また、砂漠の真ん中の修道院など、郊外にも興味深い場所がいくつもあります。私もそれぞれの場所に行ってみましたが、日本の文化や景色とはまったく異なるものを見ることができました。
そのうえ、ベツレヘムには分離壁など現代人にとって重い場所もあります。いろいろな思いが入り混じり、考えさせられることも多くありました。
ベツレヘム自体は平和な観光地でした。地元の食事もスイーツもおいしいです。どこかでそのことも書こうと思います。

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