世界の「古都」に行ってみました

「古都」って?

京都のユニークさ

京都は古都として知られています。国内だけでなく、海外でも抜群の知名度を持っています。
京都が面白いのは、歴史と現在が共存しているところです。苔むしてほどよく古びたお寺のお庭を眺めてゆっくりすることもできれば、デパートや繁華街で買い物も楽しめます。そういう京都の二面性が楽しく、またお寺や歴史が好きなこともあって、京都には何度も旅行で訪れました。
京都のように、過去の繁栄の痕跡を残しつつその同じ場所で現在も繁栄した都市であり続けている場所は、実は世界的に見ても数多くありません。世界には長い歴史を持つ、過去の繁栄を残すような場所はいくつもあるでしょう。しかしそれらのほとんどは現在では繁栄と縁のない小さな町だったり、単なる荒野だたりすることすらあります。

古都の定義?

ウィキペディアには古都は次のように定義されています。

ウィキペディアを見ると世界各地の古都が例として出ています。でも、それらの中で、京都に匹敵するような古い時代に首都だった歴史を持ち、なおかつ現在もそれなりに繁栄した都市となると、どうでしょう。
私なりに、そんな京都に匹敵するような古都を次のように定義してみました。

  - 過去に首都だったり国の中心的な都市だった。
  - 過去の繁栄を残すような寺社など歴史的な建造物などが残っている。
  - 現在も繁栄し都市として認識されている。

この定義に見合うような場所はどこだろうかと自分なりに考え、実際に行ってみたりもしました。もともと京都のそういう面が好きだったこともあり、どの場所に行ってもとても楽しめました。

行ってみた「古都」

これまで次のような場所に行ってきました。どこも何度か訪れたり、また将来また改めて行ってみたいと思っている場所です。

ローマ

ローマ帝国の首都でもあり、現在イタリアの首都でもあります。
歴史の蓄積がすごいです。ローマ時代の遺跡からルネッサンス期の建造物や現代的なビルなどが隣り合って建っています。街を歩いていると、アパートが並んでいる所にローマ時代の柱やら何やらが無造作に転がっています。
教会めぐりも楽しく、初期キリスト教の時期に作られた教会が現役で活躍していたり(当時のモザイク画が残っています)、ルネッサンス期に建てられたミケランジェロの彫刻がある教会もあります。ヴァチカンの美術館に行くと、いろいろな時代にいろいろな国の人たちが献上した絵画や彫刻が残っています。
そしてそのような歴史の蓄積の上で実際に皆さんが暮らしているのが見られます。そんな場所で泊まったりすることもできます。

イスタンブール

ローマ帝国が4世紀に東西に分裂した時、東ローマ帝国の首都になりました。東ローマ帝国(ビザンチン帝国)が14世紀まで続いたあとはオスマン朝の首都となり、トルコが20世紀に共和国になる前までオスマン帝国の首都でした。
オスマン朝はビザンチン時代の教会を破壊する代わりにそのまま利用しモスクに改造しました。それらの建物の多くはいまも現役のモスクとして使われています。ビザンチン時代のモザイクが壁に残されているモスクもあります。
むろんオスマン朝みずからが建造したモスクも多く残されています。面白いのは、そのように作られたモスクが、もともと教会として建てられたアヤソフィアを模していることです。
第一次大戦前まで首都だったこともあり、19世紀に交流のあったヨーロッパ諸国の作った教会などの建物も残されています。教会は多くが現役で、ミサに出たりすることもできます。
イスタンブールは現代の大都市でもあります。おいしく安い食堂やカフェめぐりも楽しめたり、ハマムでリラックスすることもできます。さまざまな国から人々が集まってきており、各国の料理を味わうこともできます。

エルサレム

エルサレムはユダヤ人の国の首都として作られました。旧約聖書はそもそもユダヤ教の聖典として作られました。エルサレムは旧約聖書にも表れていて、旧約聖書が記された時代にはすでに存在していたことが分かります。嘆きの壁は、その当時に作られたユダヤ教の神殿の壁とされている場所です。
エルサレムにはキリストが磔刑にされたと言われる場所があります。その場所に聖墳墓教会が建てられました。(キリストが生誕したとされる場所はベツレヘムにあります。エルサレムから10km程度しか離れていません。キリスト教がもともと地域宗教として始まったことが分かります。)
キリスト教は世界各地に広がり、各地でそれぞれ異なる宗派が作られました。それぞれの宗派にとってキリストが生涯を過ごした地は重要です。そのため、エルサレムにはキリスト教各派の教会が建てられました。エチオピア正教からギリシア正教やアルメニア正教、カトリックやプロテスタントまで、それぞれの教会を見て回ることができます。それぞれにこだわりがあり、美しいです。
イスラム教にとってもエルサレムは重要な場所です。嘆きの壁のすぐ向こうに、イスラム教徒の聖地である岩のドームが建っています。キリストのお墓のある聖墳墓教会から数百メートルも離れていません。3つの宗教の聖地のそれぞれが至近距離で共存しています。
旧市街はそれぞれの宗教に基づいて区切られています。いまも人々が住み、市場もあったりします。境界を越えるとがらっと雰囲気が変わります。
新市街は西ヨーロッパのように石造りの建物にカフェのテラスが並んでいます。カフェの雰囲気はヨーロッパなのに、出てくるパンやお菓子が中東風なのが興味深かったです。トラムも走っていて、いつも混んでいます。東エルサレムには中東の市場のようか活気ある街並みが続いています。日本人と分かると、相撲やアニメやジャイカの話を振られたりします。

モスクワ

14世紀ごろに成立したモスクワ公国が徐々に力をつけ、15世紀末には現在のロシア東部にあたる部分を領土として確定させました。以後、現在にいたるまでロシアやソ連の首都としてあり続けています。
クレムリンはモスクワ公国の時代に作られた城塞で、それ以来政治の中心として機能しています。歴代皇帝が戴冠した教会も、ソ連時代に共産党大会が開かれた大きな会議場もクレムリンにあります。クレムリン宮殿はロシア帝国の時代からソ連や現在いたるまで政治的な中心として機能し続けています。クレムリンは観光客も入ることができ、そういう歴史的な教会などを実際に見て回ることができます。
現在のモスクワのインフラストラクチャーはソ連時代に整備されました。ソ連時代の繁栄を誇示するモニュメントもあちこちに作られました。西ヨーロッパなどとは異なる独特の味わいがあり、そういう建造物を見て回るのも面白いです。
そのような建物がある街の中にも、地元に人に使われている古い教会が残されていて、歴史的に価値があるイコンを見て回ることもできます。美術館にはそういうイコンが集められていて、近くで見ることもできます。
モスクワはロシアの経済の中心でもあり、街中でも活気を感じることができます。いまも旧ソ連諸国との結びつきがあり、中央アジア各国の料理が気軽に食べられます。

アテネ

パルテノン神殿が街のどこからでも見えます。重要な彫刻類は博物館に保存されていて、間近で見ることができます。
アテネは独立後の現代ギリシャの首都です。それまではオスマン帝国内の、どちらかというと一地方都市に過ぎませんでした。つまり、古代ギリシャの時代から現代ギリシャまでの間に空白のような期間があるのです。その間はコンスタンティノーポルがギリシャ社会の中心地として栄えました。コンスタンティノーポルはイスタンブールの旧名で、ギリシャではいまでもイスタンブールのことをコンスタンティノーポルと呼んでいます。
近代ギリシャは海運業で栄えました。海運で大いに儲けた富豪たちが買い集めた絵画が展示されている美術館がいくつかあります。集めた絵画はそれぞれの富豪の趣味によるようで、古いイコンを集めた美術館もあれば、近代印象派やそれ以降の現代絵画を集めた美術館もあります。



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