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4-13.品質はいいが値段は高い…では困るが、値段は高いが品質はいい…なら売れる。
ワコール会長 塚本幸一
世をあげて低価格時代である(1990年代中頃)。海外ブランド品も円高のおかげで販売価格が下がり、安くなければ売れないと言われる。
高品質・低価格でなければモノは売れないと言われるそんな時代に、他社の商品に比べて価格は少し高いが、高い評価を得て人気を集め、売り上げを大きく伸ばしている商品がある。
ワコールのファンデーションである。
その秘密を塚本はこう語る。
「当社の商品は、値段は高いが品質はいい、というイメージだから消費者に受け入れてもらえるのです。これが逆に、品質はいいが値段は高いとなったら売れません」
衣料品の品質が良いという要素には、
・商品のデザイン・アイデアが優れている、
・使用している素材の質がいい、
・縫製がきちんとしていて、長持ちする、
などがあるのだが、それが消費者の信頼を得て、ワコールの製品に愛着を持ったリピート客も多い。
ワコールの商品が高価格で高いシェアを持つに至ったのは、ある時期、逆に低価格を維持したことが少なからず力となっている。
昭和48年のオイルショック後、石油を素材にした繊維商品を出している多くのメーカーは千載一遇のチャンスとばかりに値上げを行った。
その時にワコールは、消費者が困っている時にそんなことをするのは商道に反しているとして、逆に、思い切って小売価格の2年間凍結を発表したのである。
それが消費者の好感を呼び、同社に対するイメージが向上したという。
品質と価格という、商品購入に当たってポイントとなるこの2つの要因のうち、どちらのイメージが消費者の頭により強く残るだろうか。それはケースバイケースであろうが、標記の塚本の言葉は、かみしめてみる価値がありそうだ。