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Y7-3. 歴史を物語るレンガづくりドック
工場をバックにした2基のクレーン。建屋の手前に
1号ドライドックが、建屋の向こう側に造船台がある。
■浦賀船渠=住友重工業浦賀造船所
以後、浦賀船渠㈱は、住友重機械工業と社名を変えるが、通称、浦賀ドックとして地元に根を下ろして事業を展開してきた。
平成15年に工場は閉鎖してしまったが、数々の駆逐艦や帆船の海王丸、2代目日本丸、さらには石油タンカーなど、1000隻以上の船舶を建造してきたこの造船所は日本の造船史に欠かすことができない輝かしい歴史を持っている。
造船事業そのものは、新工場を横浜市夏島に建設し、機材を移して稼働中だが、浦賀ドックの敷地内は建屋も含めてほとんど手つかずで残されている。
中を見学する機会は、年に一度開催される公開行事「咸臨丸フェスティバル」や「中島三郎助まつり」、不定期に開催される見学会しかないのだが、実は貴重なドックなどは外から見ることができるようになっているのだ。
京急浦賀駅から浦賀ドックに沿って右(西)の道路を700メートルほど行くと工場入口がある。
ドックの歴史が書かれた看板があるので、これを一読して先に進もう。
しばらく行くと、塀が低くなっていて、タワークレーンが見えてくる。中を覗くとドックが目の前に見えるのだ。
しばらく行くと、今度は塀が金網になっていて、工場をバックにクレーン2基が見える。
中にははいれませんので、外から見てください、という工場のイキな計らいであろう。住重さんやるではないか。
現在、この一帯を再開発するとの話もある。レンガドック、造船台を含めて公開・保存されることを期待したい。
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先に行くと、工場の塀越しに中のドックの様子が見える。
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■115年の歴史――浦賀の1号レンガドック
浦賀ドックの広い敷地の中には、長さ150メートルの造船台、148メートルの1号ドライドック、クレーン、ポンプ室、巻き上げ用のウインチ、機関工場などが残されている。
1号ドックは、明治32(1899)年に作られたもので、長さは148m、幅20m、深さ8.4m。修船用のレンガ造りのドライドックである。
オランダ人技師デ・レーケの基本設計、ドイツ人技師ボーケルの指導で杉浦栄次郎が築造した。杉浦は、横須賀製鉄所でドック作りを学んだ技術者の一人だ。
レンガの積み方は、一段に長手小口長手小口・・・と交互に積み、それを段ごとにずらして積むフランス積みである。
レンガは110年の稼働を経て老朽化し、色はくすんで見えるが、きれいに洗浄すれば鮮やかな色によみがえりそうだ。
ドックには船舶をウインチで引き入れるが、そのためのウインチがゲートの左右に各1基ずつある。
船が入った後、船をドックの底に置かれた台の上にセンターを合わせて正確に誘導するため、先端部の左右に各1基、中央部分に1基の合計5基が設置されている。
クレーンはドックの左右に2台あって、1基は7トンのジブクレーン、もう1基は「石川島 昭和18年 20T」の銘鈑が付いたタワークレーン。
タワークレーンの上部は取り外されて、近くに置かれている。
クレーンは、ドックに沿って動くようにレールの上に載せられている。
設置以来70年を経過して風化し、さびてはいるが、手入れしてペンキを塗り直せば、ジブクレーンとともに、見事なモニュメントになりそうだ。
ドックと2台のクレーン、どちらもその雄姿を見せてくれる日が近いことを期待したい。
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ドックの壁面はきれいに5段の階段状になっている。
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小屋の右手前にブルーのウインチが見える。
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クレーンのブームは外されて横に置かれている。