【読書会】「プルーストとイカ」 知識と言葉が紡ぐ学びの世界 -109
○記憶と知識の基盤を探る
弟子:師匠、「プルーストとイカ メアリアン・ウルフ」の本で読書会をお願いします。「文字を読む」について考えさせてもらいました。
弟子:この本に「個人的知識の基盤を形成するには暗記という非常な努力が必要」とありました。暗記とは、学校のテスト対策のようなイメージが強いですが、重要と言えば重要ですが、何か意見があれば聞かせてください。
師匠:ここで言っている「暗記」は、単なる丸暗記ではなく、知識を深く脳に刻むプロセスを指していると考えている。暗記することは、その知識が脳内で他の情報と結びつき、新たな洞察やアイデアを生む基盤となる。ネットで調べるだけでは、この「知識の結合」は生まれにくいんだ。次の言葉にもあるように、さまざまなものをつむぎ合わせることが、知識の断片をパズルのように作っていくのだと思っている。
弟子:ネット検索なら手軽に答えを得られますが、それだと脳にはあまり定着しない、ということですか?
師匠:ネットで調べた情報は「一時的な知識」としては役立つが、それが本当に自分のものになるには、反復や内省が必要だ。暗記の努力を通じて、その知識が自分のものになったとき、初めてそれを他の知識や経験と結びつけて使うことができると考えている。
弟子:暗記はただの負担ではなく、知識を織り込むための糸みたいなものですね。それを基盤に、対話でさらに深める…知識の成長を感じます。
○言葉を覚えるには団らんが必要
弟子:言葉を覚えるのが必要になってきますね。「流暢な単語認識を進めるのは語彙と文法の知識」とありますが、語彙を増やすにはどうしたらよいのでしょう?暗記をするのは、どうしても大変な気がします。
師匠:その通りだ。言葉を覚えるには、ただ暗記するだけでなく、それを使う場面が必要だ。それが「団らん」や「会話」だね。特に家族の中での自然な会話が重要だ。
弟子:家族との会話ですか?なんだか、シンプルですね。
師匠:シンプルだが、非常に効果的だよ。家族や親しい人との会話は、心を開きながら自然に行われる。そこで出てくる言葉やフレーズは、無意識に脳に染み込む。それは、ただ単語帳を見るだけでは得られない感覚だ。研究でもそのような成果が出ているようだ。
弟子:確かに、家族で話しているときは、辞書にはない言葉の使い方を覚えることもありますね。親の言い回しや語彙が自然と自分の中に入ってくる感じがします。
師匠:そのとおりだ。言葉のシャワーを浴びるのだ。子どもにとっては、自分を支えてくれる人からの言葉になる。いとおしいものだ。言葉を使う文脈や感情、状況を一緒に覚えることで、語彙は深まる。そして、人間の脳は、ただのデータベースではなく、繋がりを作る仕組みがあるからね。だからこそ、団らんのような自然な場面が大切なんだ。
○言葉の重要性を総括する
弟子:「流暢な単語認識を大きく進めるのは、語彙と文法の知識」という言葉、繰り返しになりますが印象的ですね。語彙を増やすことが言葉の理解を助ける、ということですね?
師匠:そうだ。その語彙と文法を覚えるプロセス自体が、脳の学習能力を鍛えるんだ。言葉は単なるツールではなく、私たちの思考や感情を形作るものだからね。
弟子:言葉を大事にすることで、私たちはより豊かな知識と表現を得ることができる。だからこそ、暗記や会話のような地道なプロセスを軽視してはいけないんですね。
師匠:そのとおり。記憶と団らん、そして言葉の結びつきを大切にすれば、私たちの学びと成長は無限に広がるよ。
弟子のひとりごと
この本では、読字の重要性が語られていた。そして、ディスレクシア(読字障害)のことも書かれていた。言葉を読むのが苦手という人は、環境によるものもあり、「努力してないから」ということではない、も学んだ。
多様性の社会。自分が言葉を読むのが好きならば、それを鍛えて、より良い社会をつくり上げていきたいものだな。