【師弟対話】仕事の進まなさを受け入れる:求めない、心の余裕を保つ、伝える -098
○任せても、仕事が進まない
弟子: 師匠、この人に仕事を任せても進まないと思ってしまうんです。そんな時に怒らない、は心がけているのですが、真綿で首を絞めるみたいな感じになって、それはそれですごいプレッシャーを与えているな、と思っています。
師匠: 仕事を任せて進まない、これは誰しも経験することだ。真綿で首を絞める、か。次のネットフリックスの話のようだな(太字は私がしたものだ)。
とはいえ、どうしたらいいか悩むよな。自分でやった方が早いとか。そう思ってしまうよな。一時の忍耐や見極めに役立つこともあるが、それが単なる放置になってしまうと問題だ。
弟子: 放っておくのはダメでしょうね。
師匠: 敢えて何も言わないというのも、ひとつの策ではあるとも思っている。
大切なのは、その人の状況や能力を理解し、適切なサポートや指導を考えることだ。「進まない」ということが、その人の意識の問題なのか、スキルや知識の不足なのかを見極めるのだよ。時には、本人に自分のペースで進むことを許し、見守ることが必要なこともある。
弟子: 気持ちは見守っているんです。でも、待てないというか。
師匠: 「結果が出ない」を受け入れる勇気も必要だ。そして、どう進めていくかを見直し、他のチームメンバーに協力を仰いだり、適切な役割分担を再検討することだ。すべての仕事が計画通りに進むわけではないことを認めつつも、何を学べるか、次にどう改善できるかを考えていくのだろうな。
弟子: 進まない状況を客観視し、自分の学びにして、今後の対策を見つけることが必要なんですね。
師匠: 仕事は人と人の関わりで進んでいる。思い通りにいかないことも多い。いや、思い通りにいかないことこそ普通かもしれん。そう思って、そこから何を見つけ出すかが、成長と次の一歩につながる。
○怒る、ブツブツ言う
弟子: 怒るとかブツブツ言うのは意味ないですよね。
師匠: 怒るとかブツブツと愚痴を言うのは、意味がない。感情をぶつけるのは、相手にプレッシャーを伝えている。本人は余計、やる気をなくしてしまうだけだ。問題の本質には近づけないどころか、離れていっているぞ。相手を不安にしているのだ。不安にすると、やる気を出すという要因はないと次で言っているぞ。
弟子: 相手が萎縮して、改善に結びつかないですよね。実際、いやな顔をされました。そして、自分も過去、そんな指導を受けたことがありますが、前向きに考えることができなかったです。ただ、逃げたかった。夜は酒に逃げた。
師匠: なかなか厳しかったんだな。弟子も苦しんでいたな。だがな、それを今、自分が、自分の部下にしている、と考えることも必要ではないか。怒りや不満をぶつけて、自分の気持ちはスッキリするだろう。怒号をあげるとかではない。弟子には、少し厳しい言い方にはなるが、自分が気持ち良くなる行為をしているのだ。
今言っている私も、そんな雰囲気で、申し訳ない、と思っている・・・
弟子がしていることは、表面的な解決でしかない。相手が何を感じ、どう受け止め、どう行動するかを考えたとき、怒りではなく、対話や指導が求められる。
弟子: 対話、指導のつもりと思っていますが、たぶん自分は、そういう対話が下手なんでしょうね。だから自分は、嫌みなことを言ってしまう、言わないと、この人はわからない、と思っているんだと思います。
師匠: 「どう伝えるか」は大切だ。冷静に状況を伝えることも必要だが、受け取る相手にとっては、どう思うか、わからないな。そして、伝えている自分もそれは自分の思いなのか、それとも正義の味方になっていないか。
理解してもらえるように話すことは必要だし、共感を示す、改善策を共に考える姿勢も必要だ。わかってもらえないこともある、という気持ちもわかる。
○割り切る
弟子: 「仕事が進まなくても、仕方ない」という割り切りも必要ですね。「これは最低限、守る」さえできていればいいという割り切り。たとえば、人に危害を与えないとか。
師匠: そうだな。仕事が思うように進まないこともあるが、そのたびに一喜一憂していては心が持たない。次のような言葉で、大丈夫と思うことも必要かもしれんな。
そして、時には「仕方ない」と割り切る姿勢も必要だ。
弟子: 全てをコントロールするのは無理ですし、そこにエネルギーを使いすぎると自分も疲れてしまいますね。
師匠: その通りだ。仕事が進まないことに対して割り切るとき、その基準を「安全」であるかどうかに置くのは良い考えだ。危険や重大な問題が伴わない限り、焦らず状況を見守ることも大切だよ。無理に結果を急かしても、逆にミスやトラブルを招くことがある。それを自分の糧にしていけば良い。
弟子: そう考えると、一歩引いて見守ることも、重要な判断なんですね。
師匠: その通りだ。見守るには忍耐が必要だが、それによって相手が自分の力で進めるようになることもある。無理に進めさせるのではなく、自然と進んでいくように導くのが理想だ。
弟子: 相手に求めるのでなく、「自分はこう思う」とだけ言っておこうかと思います。
師匠: それで良い。「求める」ことは、時に相手に圧力をかけたり、期待が外れたときに不満を生んだりする。あなたは、あなたでいいんです。そういう気持ちを持つのも大事だぞ。
一方で、「自分はこう思う」と伝える。自分の考えをシンプルに事実として伝える。相手に間違えた感情を与えない、そして、相手に自分で考える余地を残す。
弟子: なるほど、自分の意見をシェアするだけなら、相手がどう受け取るかは自由に任せられますね。押し付けるでもなく、ただ自分の立場を示すだけですね。
師匠: 自分の意見を伝えることで、相手は参考にするかもしれないし、別の視点を得るかもしれない。それによって、相手自身が自発的に行動を起こすこともある。重要なのは、相手が自分で考えて進むこと。人のやる気は十人十色だ。
弟子: 確かに、自分の考えを共有するだけで、求めることのプレッシャーも減りますね。相手も気負わずに受け止められる気がします。
師匠: 求めすぎることなく、意見をシェアすることで、柔軟で前向きな関係を築くことができるだろう。次のような言葉がいいかもしれんな。