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横綱の休場数をみる
今年の照ノ富士は27勝12敗51休と休場率が57%余り。いまさらとはいえとにかく休場が多かった。しかし昨年は15勝4敗71休。休場率が79%。皆勤は1場所。1年を20日で暮らすいい男どころではない話。
とはいえこの2年で優勝3回。決定戦を2度制し皆勤場所で必ず優勝。休場が多いとはいえ他の力士が同じく優勝できるかとみると難しいこと。陥落のない絶対安定の地位とはいえ。務めは果たしているともいえる。
年間でこれほど休場の多い横綱がいたのか。平成以降で見ると
曙
1999年 26勝8敗56休
貴乃花
2001年 39勝6敗45休
2002年 12勝3敗75休
若乃花
1999年 28勝20敗42休
武蔵丸
2003年 5勝9敗69休
朝青龍
2007年 51勝9敗30休 出場停止2場所
2008年 45勝16敗29休
白鵬
2018年 31勝8敗51休
2020年 24勝8敗33休
2021年 17勝1敗57休
鶴竜
2017年 18勝17敗55休
2020年 13勝9敗53休
稀勢の里
2017年 25勝17敗33休
2018年 11勝15敗64休
各横綱で目立つのはこんなところだ。
休場率6割以上(6場所で55休前後)の年があるのは曙、貴乃花、武蔵丸、白鵬、鶴竜、稀勢の里。現役最終年も多い。
まずは貴乃花の長期休場である。2002年は12勝3敗75休の83%。前年も39勝6敗45休の50%。意外にも1999年も36勝23敗31休。この年は黒星の数が目立つ。明確な怪我があったとはいえ記録上では休場の多い横綱となってしまう。
白鵬。休場率は20年が44%、21年も76%。実績があるとはいえ晩年はほぼ休み通しだった。現在の立場といいもっと早くに進退を決しても良かったのでは。最後の優勝など蛇足といってもいい位…
稀勢の里。休場人生といっていい横綱生活だった。2017年は5場所で33休の44%。18年は64休の71%。再起果たせず終わったのは周知のこと。
意外なところでは鶴竜。2017年は5場所休場で18勝17敗55休の61%。 照ノ富士の昨年に匹敵するが優勝もなくこれはかなりの不成績。照ノ富士以下ではないか。
それ以上に驚きなのは何の話題にもならなかったこと。休場の推移を見ても、優勝翌場所の初場所休場、次は10勝したものの、再び連続での途中休場。さらに連続で全休。どんどん悪化している。引退説、引退勧告並みの決議が出てもおかしくない。しかしこの年の注目はほぼ稀勢の里で鶴竜なぞ誰も気にしないという状態だったのは得。全休で存在感を消したのもある。ちょうどその頃は稀勢の里の去就以外に、日馬富士の暴力騒動、白鵬の物言い云々など場外の話題が多かった。
さらに2020年が13勝9敗53休の70%。結局翌年も休場続きで、このまま引退となってしまった。2017年のような成績で何事もなく過ぎる自体、鶴竜の影の薄さを象徴してるともいえる。これほど存在感の薄い横綱も少ない。
この中では曙の記録が少々違う。この後2000年に2度の優勝を果たし復活した。それ以外の場所も13勝2回、12勝1回と最終盤まで優勝争いの中心に。60%台の休場率ながらここまで調子を戻した例は珍しい。しかしもはや膝は限界。翌年初場所休場し其のまま引退となった。横綱としての引き際はかなり鮮やかともいえる。
昭和も調査。といっても年2場所では比較が難しい。戦後、横綱審議委員会創設以降の昇進に限った。
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