初場所はどうなる?
番付発表。霧島の横綱の行方がメイン。高安と宇良が小結になった。宇良は序二段陥落からの新三役。ようやく三役も動きが出てきただけに悲願という所。しかし大関へと駆け上がる日本人が出ない。気づけば貴景勝だけが日本人大関となっている。ようやく琴ノ若が狙う所まで来たがどうなるのか。
入幕が5人と多いが新入幕は2人。大の里は期待高いがもっと落ち着いてほしい。ろくに組み止めないまま前に出てバッタリのケースが多かった。もはや師匠の悪癖を受け継いでいる。しかし幕内でどれほどやれるか楽しみではある。十両は再十両2人に新十両2人。幕下上位が若隆景に伯桜鵬などと下手な幕内より濃い顔ぶれ。
木村庄之助が9年ぶりに誕生。といっても後任の伊之助はない。本来玉治郎が昇格のところ据え置きで退職してしまった。庄之助本人が何を思うかよく分からないが単に昇格でうれしいのか複雑なのか。呼出次郎も立呼出に昇格。定年まで1年である意味青天の霹靂だったが、その呼び上げぶりは週刊誌の記事になってしまった。本人は個性と割り切っているのか… 先輩の拓郎の証言もあるが稽古不足は否定できない。音程はともかく声の伸びは練習でカバーできるはず。てるのふーじーでずり落ちるような呼び上げは如何か…
両者とも技量面で問題あると一部スポーツ紙などに書かれるのは威厳に関わること。定年までの1年を最高位に相応しい土俵で締めてほしい。
東龍が引退。長く十両に在位したが幕内では壁が高かった。ようやく勝ち越したのは今年なのだがそれ以降ガス欠のように力が落ちてしまった。自己最高位更新、大勝のあと急激に番付を落とすケースは意外とある。モンゴルながら地味な相撲ぶりで目立たなかった。
力士数が599人。昭和54年以来の500人台に突入した。輪島北の湖全盛の輪湖時代以来ということになるがこの頃は人材豊富で何の悲観視もなかったはず。しかし現在は照ノ富士は開店休業状態で進退も迫る。他の大関も先が明るいと言えない。いやがおうにも暗い話を考えてしまう。
定員を見ると三段目が90枚に対し序二段が98枚。序ノ口17枚。再度の三段目削減も近い。新弟子検査基準の撤廃などで150センチ、50キロでも入門可能と半ば小馬鹿に宣伝されたが効果は見られない。
やはり相撲部屋の集団生活や待遇面がネックではないか。ある意味幕下以下の力士養成員は協会職員を兼ねている面もあり協会の労働力搾取ともいえる。養成員は十両以上の力士の世話や相撲部屋でのちゃんこ番などに従事しているが公式には46万~99万円の収入。一方相撲部屋には相撲部屋維持費(力士1人あたり年6回11.5万円)、稽古場維持費(力士1人あたり年6回5.5万円)、力士養成費(幕下力士1人あたり毎月7万円)が支給される。合計すれば力士1人あたり年間186万円が部屋の収入である。力士が単なる職員となれば平均70万程では雇用はできない。
参考にサッカーJリーグのJ2、J3選手の年俸を調査するとJ2は平均400~500万という。J1から降格直後の場合J1基準の契約である場合もあるがプロリーグの割に低いと感じた。J3となると多くても200~300万でクラブによっては0円のケースもあるらしい。そもそもJ3の場合ほとんどがアマチュア契約でプロとは名ばかりのシステム。スクールのコーチなどアルバイトをする選手がほとんどである。今年大宮アルディージャのJ3陥落が決定したがかつてJ1定着していたクラブもアマチュア並みの扱いとなってしまう。J2からの降格制度もなかった時代もあり競争は熾烈である。
選手数や規模も異なるがたんなる地位で相撲と比較するとJ2は十両、J3は幕下~三段目相当か。比べると十両は知名度の割に待遇の良さが目立つが、幕下が序二段と同格扱いなのはどうかと思う。
現状力士養成費は部屋の収入にかなり大きな割合を占める。それがベテラン力士が増える要因でもあり実質マネージャーの代わりとなっている場合も多い。マネージャーであれば給与を払う必要があるが、「力士」である限り協会から養成費が出る訳でこの違いは大きい。かつて幕下まで20場所(のち25場所)で昇進できない力士は養成費打ち切りという制度があった。現代に適用すると幕下は半数以下まで減るだろう。
ある意味運営の補助となっている以上、養成員が急減すると巡業や本場所にも支障が出るはず。数字にはっきりと表れたからには、協会は待遇の改善も含めて本腰を入れるべきだろう。
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