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チー牛無双? チー牛は無双できねーよ、創作大賞感想

 それは暑い夏だった。
 エアコンの効いた部屋で、noteの創作大賞を調べていると、とある記事が目立っていた。

 チー牛無双

 そのタイトル。
 そのサムネイル。
 それらにハートを射抜かれた。

 チー牛無双だと?
 チー牛が無双できるわけがない。
 だって、俺だから。

 暑さのイライラをぶつけるためだけに、俺は記事を読み始めた。


 まず、294文字のあらすじ。
 鯖田ソロがヴァージョン5に襲われて牛になる話。
 うーん、分かりづらい。


 次に、654文字の補足。
 西暦2050年に、ゲームが現実を侵食し、日本ではサイバーポリスがNPCと戦う物語らしい。
 なんだ、王道のファンタジーではないか?
 興味をそそれ、そのままプロローグに突入。


 圧倒的な疾走感だった。
 報道番組を通した世界観の提示から、いきなり敵の進行。そして、主人公の覚醒と姉との別離。
 限られた字数で、求められた事を伝える。
 まさに職人の仕事。
 実際に読んでほしいが、俺が特に凄いと感じたのは、音海律歌の登場シーン。字数を節約しながら、そうやってカッコよく見せるのかよって驚いた。


 流れるように第2話へ。
 そこで時間軸が1年も飛ぶ。
 しかし、違和感はない。だって、第1話も春で、第2話も春。季節感の移動がない。おそらく読者に配慮しながら、主人公の変化を描こうという試みなのだろう。俺には詳しく分からんが。
 などと想いながら読んでいると、やたらとプロテインを飲む教官が現れる。
 で、そいつが死ぬ。
 うへっ、たった4000文字しかないから、容赦なく殺すな。そう思った時、予想外の人物が登場して、第3話へのURLで終わる。
 ここまで読んで、書くのが上手い事が分かった。何よりもキャラの設定や意味合いが分かりやすい。
 作者は、そのキャラが死ぬと知っている。だから、無駄死にさせないように、存在価値を与えながら印象を残すようにしていた。しかも、強い大人が死ぬことで、一瞬で、敵の強さをアピールしてくる。


 とまぁ、感想を語りつつ、第3話へ。
 ネタバレ防止で、あえて敵の正体を防ぐが、最終話で主人公の葛藤と成長が描かれ、次の目的を提示して終わっていた。
 評価が高い要因は、動けなかったソロが、人のために戦った事だと思う。たった3話、それで主人公の成長が描かれている。
 そこに感心させられた。


 てか、冒頭を覚えているだろうか?
 俺はチー牛だ。
 チー牛が無双できるわけがない。
 そう思っていた。
 というか、この日本には大量のチー牛がいて、俺と同じく無双はできない。そう思い込んでいる。

 でも、このチー牛無双。
 第1話の補足の1行目に、こう書いてある。

 『チー牛だって世界を救える!』

 これ、現代社会の男に刺さるフレーズであると思う。
 チー牛の俺だって世界を救えそうだから。
 明日から、仕事、頑張ろう!

 たとえ今年の夏が暑くても……




 俺みたいなチー牛が主人公の作品
 気になる方は、下記URLから読めるぜ

チー牛無双


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