【SN@P新潟支援パートナー特集】06_株式会社新潟管財企画
今回は『にいがたでの創業を応援するSN@P新潟支援パートナー』をテーマに、支援パートナーである株式会社新潟管財企画 執行役員 栗原悠祐さんにお話を伺いました。事業部を分社化し、独立させた経験を持つ栗原さんならでは目線からSN@P新潟の魅力をお伝えします!
挑戦できる環境を自らつくる
ーー新卒入社した会社を退社し、広告クリエイティブ制作で独立。その後、再度企業へ入社、事業部の分社化までを主導された栗原さんですが、まずはこれまでの経歴についておおまかに教えて下さい。
栗原:僕は生まれが新潟ではなく、大学まで県外で育ちました。新卒で産業廃棄物を扱う企業へ入社したことが、新潟への移住のきっかけでした。入社後は希望した研究職ではなく、営業職として働きましたが、その中で取引先の職人さんから「広告、Web、チラシの制作業務に悩んでいる」と聞くことが多くありました。
そこから徐々に本業の傍ら、自らクリエイティブの制作を行うようになっていきました。本業につながる成果を出していたこともあり、会社からは副業として認めてもらっていました。
入社して2年半ほど経った頃、副業での収入が本業を超えたことを機に退社しました。しかし制作実績がまだ少なかったため、ある企業で「アルバイトとして広告やWebを大量に制作する」という1年を過ごしました。その代わり、「制作物は全て自分の実績として持ち出すこと」を条件としていました。そこから徐々に制作会社としてやりくりできるようになっていきました。
ーー自社商品の営業の際、同時に制作業務まで受注し、かつ自分で制作まで行っていたのですね。その後はどのように事業を進めてこられましたか?
栗原:移住者ということもあって、行政と関わるようになっていきました。外の目線が重要な観光系のイベント企画・運営を仕事として任せてもらえ、そこから色々と広がりました。
また同時期に、今も勤めている㈱NKSコーポレーションからイベント企画の仕事も受けていました。当時、「MRを利用したゲームの事業に挑戦したい」という想いがあり、ちょうど活用できそうな国の補助金に目星をつけていたのですが、個人事業主では受託できないものでした。そこで県内各地で劇場の指定管理に取り組むなど文化事業を行っているNKSと手を組んで、プロポーザルを取りに行くような動きをしたことがきっかけでした。
ーー栗原さんは、遊園地を丸ごと貸し切るような大規模イベントも企画・運営されているのだとか。ぜひ詳しく伺いたいです。
栗原:全国的にも他にはないと思うのですが、毎年サントピアワールドを貸し切り、サバゲー(サバイバルゲーム)を行うというイベントを運営しています。毎年12月第1週に行い、今年で7年目を迎えます。各回での参加人数は、コロナ前で200人、今は150人に絞って開催しています。去年は2週に分けて開催するなどの対策も行いました。1週間で延べ600人弱が参加する規模のイベントです。
初開催時のみ運営にがっつりと入り込み、あとは自走できる体制を整えました。今は、名誉プロデューサー的な関わり方で司会を少し担当する程度のため、それほど運営に携わることはありません。自分がやりたいと思ったことを、環境を整えて実現してきました。
常に掘り下げて考えること
ーーここからはSN@P支援パートナーになった「きっかけ」について伺えますか?
栗原:今は分社化して単独の法人になっているわけですが、お陰様で創業してから毎年成長させてもらっています。そういった経験から、シンプルに「頑張りたい人がいれば、頑張って欲しい。それを手伝いたい。」という想いがあります。
僕は「新しいなにかが出てくること」それ自体を面白いと思っているので、その支援をできることが、SN@P新潟支援パートナーとなったきっかけとしては大きいですね。
ーー個人事業主と、分社化・独立を経験した栗原さんはどんな方に起業を勧めますか?
栗原:大前提として「起業=新しいことを始める」であれば、独立して新しい会社を作る必要も、社長である必要もありません。やりたいことに割けるリソースが思いの外限られてしまうし、「組織をきちんと運営する」という仕事も生まれ、リソースを割かなければなりません。
しかし自分の責任で、仕事を1から全部やれることは、起業の大きなメリットだと考えています。ここに魅力を感じる方にチャレンジしてほしいです。
ーーSN@Pでは支援パートナー企業として、どのような支援をされていますか?
栗原:主にブランディングの部分です。
新しく作るプロダクト・サービスが「市場からどのように理解されるか、また理解されるべきか、さらにはどうしたらより売れるのか」を導き出す支援というのが僕の得意分野ですね。
先日も起業を目指すある学生さんとちょうどメンタリングの際に話したのですが、
◎より細かく分解していき、どんな要素が含まれているかを分解できなくなるまで考える。
◎どのような組み合わせだと、より新しく、効果的な施策になるのかを考える。
を一緒に突き詰めることは支援パートナーとしても、普段のお仕事としても好きなことなので、ぜひ手伝わせてほしいです。
ーーブランディングの部分や思考を深めるため、日常から栗原さんが意識していることはありますか?
栗原:普段からそういった視点で考えることでしょうか。
例えばクライアントさんとの商談時に、「ご希望のホームページ制作よりも、今準備が必要なのはこちらではないですか?」という提案ができることもあるじゃないですか。常に「困っている」を要素分解し、ボトルネックはどこにあるかという部分まで思考を深めていることが重要だと考えています。
僕が好んで用いているのは「ブランドエクイティ」という考え方です。ざっくり言うと「どれだけ知られているか」「どのように知られているか」などの5つの軸から分析する手法です。文章では伝えきれない部分も多くあるので、興味がある人にはじっくりお伝えします。ぜひ声をかけてください。
あとは得意な事業領域で言えば、観光系のお仕事をさせていただくことも多いので、隣接する事業領域で困っている人の力になれるかもしれないですね。
「やりたいこと」は明確か?
ーー起業の際、大切にすべきことはなにかありますか?
栗原:「やりたいことを明確にしておく」ことだと思います。
目標が明確でないと、なかなか続かないという危険性がある上に、本人のやりたいことがはっきりしていた方が支援する側も提案しやすいという理由もあります。
働く上で大変な時期は絶対にくるものです。やりたいことを見つけてそれに熱意を注げることが、まずは起業の第一ステップではないでしょうか。当たり前のことと思うかもしれないですが、「なぜ起業したいのか」を自分の中で、クリアにしておくことがとても大事だと考えています。
また起業に限らずですが、「自分のモチベーションのありか」を知ることはとても重要です。「稼ぎたいのか」、「自由に生きたいのか」、「責任の重い仕事がしたいのか」どこが自分のモチベーションに繋がるのかという自己理解の深さで、その後の生きやすさが全く違ってくると思います。モチベーションの維持は大変なものなので、対処方法は知っておくにこしたことはないはずです。
ーー栗原さんは「掘り下げて考える」を大事にされていますが、事業やプロジェクトを考える際の「掘り下げ方」にコツはありますか?
栗原:まずは要素をまとめてみて、抜け漏れがなく、他に必要な要素はないと断言できるところまで考え抜いてみてください。すぐ実践できる方法として、メリット、デメリットを全部並べ、内容が近い/遠い等の基準を作って並べてみることから始められると思います。
要素を分解して再構成する力は、ビジネスにおいて大切なスキル。磨いて損はないはずです。
あとは因果関係を意識できるかではないでしょうか。数字やデータはまとめた時点ですでに「こういうデータを集めたいという意図のもと集めている」という点には気をつけてほしいです。掘り下げることからは少々脱線しますが、信用できる情報をもとにしているかという点は常に意識する必要があると思います。
やりたいことをやってみたらいい
ーー最後にひとことお願いします!
栗原:どれだけ手を動かせるかということと、何事も掘り下げて考えてみるといいと思います。例えば「なぜ起業したいのか」という観点であれば、「会社に縛られず自由に働けるから」なのか、「自分でやった成果が目に見えやすい」という実感が得やすいからなのか…。1段階でも、2段階でも、3段階でも、掘り下げられるだけ掘り下げて考えてみることが、大事ではないでしょうか。
あとは、「いいな」と思ったことを何でもいいからやってみること。やってみてわかることはやはり多いです。人に迷惑をかけず、かつ自分への致命傷にならない程度であれば、学生であればなおさら挑戦してみたらいいと思います。