ナニーの面接~ピジュンに会ったとき~
ピジュンとのエピソードはたくさんあるのだけど、とりあえずピジュンとの出会いだけは先に書いておこうと思う。
「この人で間違いない!」とか、「ぴっかーん⚡!」ときたという出会いだったわけではないのだけれど、自分の判断は間違いなかった。
私は、正直すごく優柔不断で、あらゆることにおいて、自分の判断が正しかった!と思えることはほとんどないのだけど、
ピジュンに関しては、彼女と生活する中で、自分の判断の正確さに自分自身に握手を求めたくなる気分だ。
タイではナニーを雇っている人も多い。
日本人の中では「アヤさん」という総称がある。
外国人が多いバンコクは出入りも激しいので、バンコク在住の人たちのfacebookグループでも、「引っ越すことになりました!私が雇っていた最高のナニーをどうぞ雇ってください!」という投稿がしばしばある。
ただ、難しいのは「最高」の定義だ。
暮らしにおいて、「最高!」の中身はそれぞれ違う。
ナニーについても、色々とやってもらいたい人もいれば、最低限のことをやってもらえればいい人もいる。
私はとにかくOちゃんを大事にして、安全が保障されれば、多少掃除が雑でも、食事がおいしくなくても、問題ないと思っていた。
実際に面接したのは3人。面接の前に直感的に「違う」と思ってお断りした人もいた。
それぞれ過去に住み込みで働いたことがあり、経歴はもうしぶりなさそうだった。
だからこそ、誰がいいか、1回で判断するのは無理だと思った。
母は面接直前になっていきなり「住み込みは危ない」とかさえ言い出した。
お金を盗まれることもあるんじゃないかとか、言い出す。
(勘弁してくれ)
私にとっては、娘と2人で海外に赴任し、誰か頼れる人がいない方が怖い。なのに言葉の呪縛とは恐ろしいもので、母にそう言われると、間違った人を選べない!!という責任を感じだ。
面接した人のうち、母は笑顔がいいといって、別の人を推奨してきた。しかし私は彼女よりもピジュンがよかった。
どうしてだろう?
正直、結局は「直感」という安易な言葉に収まってしまうのだが、
私は、母が出した麦茶を大切そうに飲むピジュンを好感を持った。
土曜日の夕方。ピジュンにとっては、直前まで勤め先の家で働き、自宅に帰る途中の面接。
背負っていたリュックをおろして、汗をぬぐいながら、麦茶を「あーおいしい!」という声が聞こえそうな感じで飲んでいた。
全部飲み干して、「コップンマーカー(どうもありがとうございます!)」と。
実際にピジュンはこの日から約1カ月後から働き始めるのだけど、
この日が、私の新しい人生のスタートだったと思う。
人を信用するのは簡単じゃない。でも信じてみなければ築けないこともたくさんある。それを学ぶ生活が始まった。