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「食の好物=性癖」説が爆誕した話

 さあ、好きな食べ物の話でもしようか。

 ……初対面の人と初めて交わすベタ中のベタな話題だ。それにしても、何の脈絡もなく突然そんなことを聞くのはどうなのだろう。

 しかし、目の前にいる知らない人間の正体を暴く手段として「好きな食べ物はなんですか?」と聞くことは非常に意味のあることだと思う。

 というのも、好きな食べ物というのは結構性格が出やすい。
 同じく三大欲求の一つである性欲に基づいた好みは、その人間の正体をこれでもかというほど丸裸にしてしまう。それはもはや例を挙げるまでもない。

 つまり、好きな食べ物=性癖と言っても過言ではない。……いや、流石に過言だな。でも使えるからタイトルにしよう。

 私の食の好みはそこそこ幅が広く、挙げればキリがない。
 しかしその熾烈なレースを勝ち抜くのは、おそらく杏仁豆腐と海老カツだろう。

 杏仁豆腐と言っても、シロップの中で果物と共に沈んでいるひし形に固められた寒天のものではなく、プリンのように固められたものが良い。
 ひし形杏仁豆腐との違いは何なのだろう。寒天とゼラチンの違いか、あるいは牛乳を使っているか否か。まあどっちでもいいや。

 杏仁豆腐と言ってまず浮かぶのは、あの香り。
 独特で特徴的で、漢方っぽさも混ざっているのに全く嫌いにならないほのかな甘さ。そしてあれを鼻から肺へ突き抜けていった途端、なぜかどんどん食欲が湧いてくる。

 それ以外においても唯一無二のものを持っており、甘すぎないほどよい甘味に滑らかな舌触り。
 そして、油や味が濃くてずっしりと来る中華料理の悪い部分を打ち消す、お前そういや漢方だったなというのを思い出させてくれる謎の効能。……これに関しては気のせいかもしれないが。

 とにかく美味しくて、なおかつ後味が驚くほど良い。これほど素晴らしいスイーツにはそうそう出会えない気がする。

 そして海老カツ。これも実のところ、店や商品によって当たり外れがある。油が強すぎたり、エビの旨味が出ていなかったり。
 もしかすると、味のバランスの調節が難しい食品なのかもしれない。

 数ある海老カツの中で個人的に最も良いと思うのは、マクドナルドの海老フィレオだ。
 カツ専門店とかあまり行かないので調査不足ではあるのだが。
 
 海老フィレオの海老カツは、油と海老カツのバランスが素晴らしい。お互いを助け合い、力を引き出し合っている。
 確実にいるのは分かっているのに、全く重さを感じさせない油と、最大限引き出された海老のジューシーな旨味。
 そして野菜にもパンにも合うあの見事な協調性。チェーン店なのにこの至高の海老カツバーガーを作れるというのはお見事という他ない。

 これが私の好きな食べ物。
 ところで最初に、好きな食べ物から性格が読み取れると語った。しかし、これはどう解読したものか。……私は一体どういう性格をしているんだ?

 もしかすると厳選しすぎたのかもしれない。性癖でも「巨乳と赤面が特に大好物です!」と言われてもあまりピンと来ない。もう少しリストアップするべきだろう。
 これを含めての性格かもしれないけど。

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