20代末から始めたドイツ美大受験に関するまとめ(美大受験あたり)
本記事は備忘録的に使用することを想定しており、一般に見られるような誰かに向けた丁寧な記事にはならないことを、予めお伝えしておきます。
しかし、誰かのお役にたてば、幸いです。
前提 1.当時の私自身のアートの方向性について
私自身、かなり長いこと、私がなんのジャンルのアーティストなのかよくわかっていませんでした。
私がよく使うものは、映像・言葉・既製品・電子部品などで、元々メディアアートの学部の出でしたが、ゴリッゴリのメディアアート作品を見ていると、「自分のはなんか違う気がする…」とも思っていました。また、大学卒業後はしばらく文化施設で働いていて、ペインティングや彫刻に触れる機会が多かったことも影響していそうです。
前提 2. ドイツで美大生になる方法について(ざっくり)
通常ドイツで美大生になろうと思ったら、正規ルートでいくか、聴講生からの飛び入りでなるか、があります。
私の場合は色々な経験者の方々から、「とりあえず聴講生(ゲストスチューデント)になってから、教授に頼み込んで編入するという形をとるとよい」というアドバイスをもらっていたため、そうすることにしましたが、最終的には普通に受験しました。
普通に受験するとなったら、申請フォーム、マッペ(いわゆるポートフォリオ)、英語で書かれた日本の大学の卒業証明書、必要なドイツ語能力の証明書、課題あたりを準備して、大体3月あたりに各大学に応募します。
大学によってはUni-assistなる有料の制度を使用しないと受験させてくれないところもあります。
なぜ(ざっくり)と書いたかと言えば、各大学によって必要な提出物がなにもかも違うからです。応募方法も、郵送、持ち込み、オンラインと多種多様です。
なので、私がお勧めするのは、とりあえず最初にエクセルで志望校受験条件を作ることです。
申請フォーム
各大学が所定のものを持っているので、ホームページからダウンロードできます。結構ややこしいのでしっかり時間かけたほうがいいです。
マッペ(いわゆるポートフォリオ)
大学により、サイズ、形式、梱包のルール、何もかも違います。要確認。
英語で書かれた日本の大学の卒業証明書
私は日本にいる間に発行してもらいました。手元にくるまでに二週間くらい待った記憶。大使館が発行を手伝ってくれるという噂もあるので、すでにドイツにいて卒業証明書持ってない人は一回問い合わせるのはありかもしれません。
まだ大学を出ていない方は当時はセンター試験の結果が必要でした。今は共テだけOKになっちゃってセンターの結果持ってた人は受け直し涙みたいな話をちらっと聞いた気がしますが詳しいことはわかりません。中退の方は単位証明書と中退証明書でもいける説があります。
あと、卒業証明書は原本を提出しないで、事前に市役所に行って卒業証明書の公的なコピーを発行してください。私はこれを知らず、安くもない英訳卒業証明書を大量に購入してしまい、まだ手元にたくさん残ってます。大学によっては原本受け取ってくれないところもありました。
必要なドイツ語能力の証明書
TestDafを受ける人が私の周りには多かったです。TestDafの場合は、たとえばC1を受けたとして、結果C1に届いてなかったとしても「リスニングはB2レベル」というふうに評価を出してくれる的なことを聞きました。それで友達は全部がC1までいかなかったけど美術史の院受かったりしてた。
私の場合はとりあえずB2とっとけば全方面融通が効くと決まっていたので、Telcという一番安かった試験を受けました。他にも色々ありますが学校によってテスト機関のOK・NGもあります。
課題
大学がテーマを出して、それに即した作品を作って提出しないといけない場合もあります。
受験生・聴講生に共通していること
教授にコンタクトをとって面談の機会をもらい、マッペを見てもらい、どうしたら先生のもとで学べるかと伺うことが重要らしい。聴講生になる場合はそのタイミングで書類にサインをもらうらしい。
受験生も、よほど自信がない限りは、先生と事前に面談を取り付けるほうがいいです。なにせ何百人という出願者がいるわけなので、その中に混ざって見つけてもらおうとするなら相当うまくやる必要があると思います。逆に面談することで、もっと相性のいい学校や先生を紹介してくれたりもあります。
私の場合(時系列順に)
2020年1月 UdKのアート&メディアの教授に「聴講生にしてください!」と、コンタクト
4月ごろもう一度連絡をくれと言われる。
2020年4月ごろ コロナのため会うことが叶わず。
しかし、オンラインで話す機会を5月末ごろもらう。
2020年5月末 マッペ見せ、面談
オンラインで話したが、聴講生をとっていないことが発覚する。ポートフォリオだけみてもらい、添削を受ける。*この時点で、一般的にほとんどの美大の受験は終了していたが、アート&メディアだけは受験ができることがわかり、普通の受験を勧められる。
この時教授に言われたのは「あなたの作品的にはうちの学部じゃなくて視覚芸術(Bildende Kunst)を受けるべきよ。あるいはDüsseldorfとかどう?」という念押し。
この時面談をしてくれた教授には「うちの学部応募したらとりあえず私に連絡ちょうだい」と言われ、一応アート&メディアを受けてはみたのですが準備不足に加えて気分はすっかりBildende Kunstに傾いており、「一応応募はしたんですけど、アドバイス通り来年Bildende Kunstを受けることにします」と連絡。結果、「メディアの才能はあるが、カリキュラムがあっていない」という理由で不合格通知をもらいました。(今にして思えばこの時「ぜったいあなたのもとで勉強したいです。おねがいします。」と言っていたら多分受け入れてくれてたんだと思う。後悔はしてないけど本当にばか!!そして後々わかったのですが、この教授は私が今通っている学校の出身でした。)
2020年6月〜12月にかけてマッペ作り、語学勉強と語学試験(そして30代へ突入)
マッペ作り
私の場合はドローイングが一切なく映像やインスタレーションが面だったので、タイトル、サイズ、マテリアル、制作年、それらを解説するテキストやなんやを合わてAdobeイラストレーターでA4縦サイズの冊子を作り、印刷会社に発注して10冊くらい印刷しました。(今も継ぎ足し方式でその作品集を使い回ししてます。)
参考までに 作品集リンク⇨http://sayakakuramochi.digick.jp/artwork
語学勉強
この時コロナだったことは私にとってある意味幸運でした。余計な誘惑がなく、朝7時半起床→8時半まで散歩→9時から11時リスニング→11時から13時単語帳→13時から17時テスト用テキスト(途中、昼食と昼寝一時間)→17時から筋トレしてジョギングしてスーパーで買い物して夜ご飯作って風呂入って食べる→22時ベッド
という健康生活を送ることができました。
リスニングが弱かったので、Deutsche Welleというニュースサイトの2分半くらいのニュース音源を紙に書き取りして添削するっていうのを毎日やっていました。単語も増えるのでかなりおすすめです。
語学試験
一発では受かりませんでしたへへ
しかし、テスト内容は大体決まっているので、正直結構暗記ゲーに近い気がします。この辺は需要があれば書くかもしれません。
2021年1月〜 応募準備
そう言えば、ベルリンのWeißensee Kunsthochschule だけは募集が11月ととても早いです。学部もデザイン寄りなので私はスキップしてます。
1月に、ケルンメディア芸術大学のDiplom2とやらの応募、応募締め切りがあり、とりあえずで出しておきました。
小話 Diplom制度について
昔はドイツにおいてはDiplomと呼ばれる、バチェラーマスター一貫型のカリキュラムが主流だったらしいです。今は理系とか技術系の一部の学校にこの制度が残っているようですが、多くの一般大はバチェラー、マスターになってます。
このケルンメディア芸術大学もDiplom制度をとっているのですが、バチェラー行程から勉強する9セメスターの募集と、マスター行程から勉強する4セメスターの募集がありました。が、私はこの制度を全く理解しておらず、編入制度かなにかかと思って軽いノリで受けました。
その後、UdKのBildenKunstとHamburgの美大にも願書を提出しましたが、2月頭くらいだったかな、ケルンの大学から面談に招待されて(この面接、他の人はいろんな質問をもらってそれに答える、だったらしいけど、私の時は「20分あるからこの時間使って自由にプレゼンして」っていわれた。)、面接を受けたら何やかんや合格し、3月頭にはもう合格通知を受け取っていたので、結局そのままケルンメディア芸術大学に進学しました。合格してから、マスター課程であるとしり、丁度学位も自分は学部で止まったので、なんだちょうどいいじゃんって感じになり、ここにいくことに決めました。
私の受験期はこうして幕をとじました。
ついでに、UdKからは、「メディアの才能なし」「色彩感覚の欠如」という理由で不合格通知をもらいました。Hamburgにいたってはそもそもマッペが全然条件を満たしてなかったので、「書類の不足」で不合格通知をもらったような記憶があります。
改めて見ると一切参考にはならなさそうというか、ノリと勢いと運で乗り切った感じがします。しかし、時にはそういう勢い、パワーっていうのは大切だと思います。
そんな感じの受験期でした。何か質問とか要望があったらまた書きます。なければ、次は最近やってることを書くと思います。おしまい。
Sayaka
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