佐藤洋一郎・渡邉紹裕「塩の文明誌」NHKブックス
「サラリー」の語源でもある塩。あまりにも身近にあるものだから改めて考えることもなかったが、シュメール文明の崩壊に塩が大きくかかわっていたこと、塩害が如何に恐ろしいものであるか、ということに初めて気がつかされた。
メソポタミア文明において画期的な発明であった「灌漑農業」が実は塩分の集積という塩害を確実に招来していたということ、十分な排水ができない国情になった時、経済に致命的な打撃を与えたということ、そしてメソポタミアとの交易関係があったインダス文明にも影響が大きかったことが指摘
されている。
確かにそういう側面はあり得る。また製塩技術というものが鉄と同じく森林の破壊につながっていること、これは分かりやすいし再確認させられた。食塩についても一番の消費者は実は食用でなく工業用(ソーダ工業)であり、ナトリウムは水酸化ナトリウムとなって洗剤、石鹸などの原料になり、その他金属工業、紙業に使われているということは知らなかった。ふむふむ・・やっぱり知らないことだらけだなぁ~^^!
<メモ>
・「混ぜればゴミ、分ければ資源」は水と塩にもそのままあてはまる。
・モーツアルトやカラヤンの故郷であるオーストリアのザルツブルクは「塩の町」という意味であり、塩が富をもたらした町であった。