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【神7】アル中を隠しながら30年弱ライターを続けられた秘技 その1
これまでの記事を読んでくれている方はとっくにご承知だろうが、私は重度のアルコール依存症だ。めんどくさいから「アル中」と略そう。だけど仕事上では、アル中と悟られたことはほとんどない(と思う)。
アル中に対する世の中の偏見は一筋縄ではいかず、まあ、概して「意思が弱い人間」だとか「いいかげん」だとか「だらしない」とか思われる(まあ、間違ってはいない)。フリーランスでそう思われたら仕事を依頼されるわけがない。そのため、私はアル中を隠す努力を怠らない。
アル中の症状として代表的なものに、「手が奮える」「足がふらつく」「発汗」などがある。これらは外から見ても分かりやすい。それゆえに、隠すのも簡単。
例えば手が震えたらポケットの中に手を隠せばいいし、人前で手を出さなければいい。ただしライターの場合、取材や打ち合わせ時にはどうしてもペンを使用するから手の奮えを隠すことはなかなかに難しい。そんな時に私が重宝しているのがボイスレコーダーや携帯のボイスメモだ。録音機能のおかげで私は無双と化した。近年では録音した音声を文字化してくれるソフトもある。
足がふらつくことに関しては、もう潔く杖をつくのが良いと思っている。体を支える何かがあればふらつきも減らせるし、足を労ってもらって一石二鳥だ(ごめんなさい)。事実、私は家の中でも杖をついていた。これは部屋で酔っぱらって転倒して怪我をしたことが幾度もあるからだけど。
そもそもアルコールの過剰摂取は筋力の衰えにもつながる。そこで私は自宅でできる筋トレと室内ウオーキング、踏み台昇降運動を始めた。これらが功を奏したのか、最近ではなんと駅の階段を手すりなしで登れるようになった。電車とホームの隙間だって以前ほどは怖くない。
アルコールによる発汗。これが結構いちばん厄介かもしれない。更年期も相まって、一度汗をかくと止まらない。誰も汗をかいていない建物内や車内で1人だけ大汗をかいているのは恥ずかしすぎる。って誰も見ていないでしょうが。
汗を回避するために、私は汗をかくシチュエーションを極力避ける。走りたくないから、焦りたくないから、基本的に1時間前行動を心がけている。
特に顔汗が厄介で暑苦しいのでオンライン打ち合わせ時対策としてエアコンを新調した。日焼け止めやファンデを塗るとこれまた汗線がふさがれて大汗をかくので塗らない。
第一、顔になんかを塗っていたら飲み屋のおしぼりで顔を拭けなくなる。汗でメガネが曇ったり濡れたりするから外出時は基本的にメガネもかけない。あと、冬でも基本的にコートの下には半袖を着ている。
お酒を飲んでいると悟られないようにするためには、「入れ物」も重要だ。バッグの中にビールや酎ハイの缶なんて入れていた時には、一発でアル中だとバレてしまう。そこで私はちょっとおしゃれな水筒を購入した。
水筒を持つのが面倒な時は、500mlのお茶のペットボトルに焼酎の水割りを仕込む。電車の中で取り出しても、まさか中に入っているのが焼酎とはバレるまい。
と、外見的な意味ではアル中は割と隠せる。オンライン取材や打ち合わせが浸透して、アル中には本当に良い時代になったと思う。ただし、対面の時は話が別だ。「臭い」でバレる。ご存知かどうか分からないが、アル中は息だけでなく汗までアルコール臭いから隠せない。
対面時のアルコール臭対策として、私に欠かせないのが「マスク」「ガム」「緑茶」「コーヒー」「歯磨き粉」「制汗剤」「タバコ」だ。これらを私は『神7』と呼んでいる。1時間程度の対面取材や打ち合わせなら、ひとまずアルコール臭を誤魔化せる(と思っている)。まあ、キスやらセックスでもしない限りは。
(その2へ続く→)