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再訪 「浄瑠璃寺」

 数えたら、26年振りだった。
京都府・木津川市の、奈良県との府県境に位置する「浄瑠璃寺」。

 noter さんの記事でここにおわす秘仏・吉祥天女像が特別公開されていることを知りました(11月末まで。次回は1/1〜15)

 前回訪れたのは9月で、まだ吉祥天さまの開扉期間ではなく、見ることが叶わなかったのです。
 
 その旅は台風に直撃され、行きの新幹線はかろうじて動いていたものの、乗り換えて奈良に入った後、確か近鉄は止まってしまったのではなかったかな?
 昼過ぎに奈良国立博物館に入った私たちは、風雨のためそこに閉じ込められました。地下の喫茶室で横なぐりの雨を眺めて過ごしたことを思い出します。

 (その時の台風で同じ奈良県にある室生寺の五重塔が破損したことは大きなニュースになりました)


 そんな天候だったのですが、私はなんと傘を持っておらず…
何も考えてなかったのかな?
 頼りになるのはパートナーが持っていた折り畳み傘一本。
ビニール傘を買うこともせず…、びしょ濡れになりました。

 幸い夕方には一過となったので歩いて駅までをたどります。
 
 まだ低く雲が垂れ込める中、だあれもいない、鹿さえいない興福寺の境内にさしかかると、五重塔が影を広げるように立ちはだかり、私たちだけが時空を超えて放り出されたかのような感覚がしました…

 あっ、「浄瑠璃寺」の話でしたね。

翌日に奈良駅前からバスで向かいます。
当時は「浄瑠璃寺前」で停車する便がありました。40分位揺られて到着。
 少し雨が残っていましたが、阿弥陀堂と三重塔が池を挟んで向かいあうお庭は静かでした。

 今回、久し振りに訪うと、あれ?こんなに小さなお庭だったのか!

 私が大きくなったから?いやいや充分大人だったんだけど…、
快晴の空の下でみると違う印象をうけるのかな?

九体阿弥陀仏とともに吉祥天を見上げる。

 こちらもなんと小さな!かわいらしいお姿!

朝日新聞社 『日本の国宝』より


 こんなに小さいお姿だったのですね。
クローズアップした写真で見るとちょっとイジワるそうな印象を受けるのだけど、ただただ愛らしい…。

 ほの暗い阿弥陀堂のさらに厨子の中では、お顔とお手が白くひかるように浮かんでみえました。

 パートナーとの思い出の場所でしたが、こうして再訪すると前回の記憶が上書きされてしまうのが、少し惜しいような気もします。
 
 それでも、この文章を書くために昔の旅の断片を集めたのは良かったかな。チケットやパンフレットなどを整理することができました。きちんと記録していなかったのが悔やまれますが、仕方なし。

 26年前の旅ではお彼岸の中日だったため、浄瑠璃寺・三重塔内の秘仏・薬師如来さまが公開されていました。全くの偶然だったけれどそのために日付が特定できました。
 台風だったことものちのち二人でよく思い出話しになりました。

 境内では猫の声が響きます。昔いた猫の子孫かなあ…


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