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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第二部 #5

交流戦三カード目を前に、今季の12球団「遊撃手事情」を書き留めておく。特徴として、多くのチームでレギュラーショートに若手が収まってきた印象がある。

6月2日現在で、規定打席に達している選手は9名。打率上位から記すと以下のようになる。

村松(中日)、長岡(ヤクルト)、紅林(オリックス)、水野(日ハム)
村林(楽天)、源田(西武)、今宮(ソフトバンク)、門脇(巨人)

この中で、小園は三塁との併用が多く、広島ではここまで入団4年目、矢野雅哉のスタメンでの遊撃出場が増えている。阪神は木浪が規定打席にわずかに足りていない状況だが、主戦ショートであることに変わりはない。

残りの1チーム、横浜DeNAは開幕当初こそ、新人石上泰輝、二年目の林琢磨、八年目の京田陽太等の日替わりでの起用傾向にあったが、5月10日に森敬斗が1軍に昇格してからは、32試合に出場。打率.250越え、盗塁4つを記録するなど、入団5年目の今季、レギュラーを確固たるものにしそうな勢いをみせている。

このように振り返ると、改めて今季の急激なショートの若返りが見て取れる。現時点で30歳を超えているレギュラーショートは今宮と源田の二人だけで、木浪は今年30歳。その他の9人はいずれも20代。25歳以下は森、長岡を含め6人もいる。

今季躍進した村松、友杉、長岡等は総じて打てるようになった。昨年台頭した紅林、村林、木浪、門脇も守れることを前提に、打撃を向上させレギュラーを手繰り寄せた。

彼らの交流戦以降の活躍に関しては不確実ではあるものの、シーズン前、多くのチームで「なかなかショートが固定できない」とされていた課題は、現時点では改善されつつある。

ショートのポジションにみられる若返りの傾向は、今ドラフトに大きく影響するだろう。

「2024ドラフトは、宗山塁(明治大)ドラフトになる」と多くのドラフト愛好家は、2023ドラフトが終わる前から予想していた。現に、今季のNPB開幕前、宗山が井端監督に侍JAPANへ選出された時もSNSなどではそのような空気が溢れていたと記憶している。

しかし、開幕して2ヶ月が経った時点では「宗山ドラフト」なる予測は薄れつつある。ショートに目途が立った、もしくは立ちそうな球団が増え、「即戦力遊撃手」の補強を最優先課題とする球団が当初より減少しているように、個人的には感じる。

そうした中で、宗山を1巡目に入札する球団はどこか。

答えは、全日本大学選手権、都市対抗、夏の甲子園とアマチュア野球の一大イベントが消化されるにつれて見えてくるだろう。が、併せて、NPB各チームの「レギュラー遊撃手」のパフォーマンスにも注目していく必要がある。

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