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ブレーキとアクセルの踏み間違え事故について

 もういい加減に「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」という事故はやめにしませんか。
「老人の暴走」「老人から免許を取り上げろ」「免許の更新の際は認知度テストをする」とか様々な意見が出ているが、私は常に違和感がある。
もちろん、歳を取れば判断力は鈍り、動体視力も衰える。だから、ある程度の歳になれば自ら運転を退くのは当然の事だ。
ただ、ここ最近にきて年寄りの暴走事故が多いことは時代の過渡期であると思う。
日本にモータリゼーションは定着し、一般人も容易に免許が取れるようになった年代が80台を迎えているからだ。
しかし、時代のせいにだけにしては置けない。
自動車メーカーは自動ブレーキや自動運転など安全を重視した取り組みを行なっている。しかし、老人の暴走事故は後を絶たない。

 先日もブレーキとアクセルを踏み間違え、奈良公園で暴走した軽自動車は観光客を跳ね飛ばし、台湾からの観光客1名の死亡。日本人1名は重体という。
数年前には池袋駅で幼い子供と母親が上級国民と称される老人の暴走の餌食になり、世間を騒がせた。
その時、上級国民はブレーキを踏んだが止まらなかったから車のせいだ、とトヨタを非難した。

被害者にまともな謝罪をせずに収監

 もちろん、メーカーは車の検証も行ない運転ミスという結審が下ったが。
しかしながら、ブレーキとアクセルを間違える行為は、私の記憶する中で80年代や90年代は殆ど聞いた事がなかった。もし、あったとしても近年のように毎年6000件以上の事故数は無かったように思う。
何故か。
 私は事故数の多いとされるプリウスやアクアなど最近の車を乗った時に一発で分かった。
事故を起こしやすい一番の原因は、シフトレバーの位置だ。
それまでの普通車のシフトレバーの位置は運転席と助手席の間にある。だから手探りでもギアが何処の入っているのかが直感的に分かるし、視覚化される。
 しかし最近の車、特にプリウスはシフトレバーはダッシュ面に小さなつまみがあり、その小さな操作となる。だから、ドライブに入っているのかリバースに入っているのかはメーターパネルの表示を確認しなければならない。思い出してほしい。運転中にいちいちメーターパネルでギアの位置を確認する人がどれほどいるか。しかも高齢者は昔からシフトレバーの位置は運転席と助手席の間にあり、日常的に手を添えていたはずなのだ。
運転技術の向上は慣れでしかない。その慣れが知らぬ間に安全の一旦も担っていることもある。
 プリウスというハイブリッド車に乗り換え、最新技術の車ではあるが、高齢の運転手は慣れていないのだ。
増してや、エンジン音もしない。どこか異質の車である。だから、咄嗟の行動の初動が遅れるのだ。遅れるから焦る。焦ると体が突っ張ってしまいパニックに陥る。あとは推して知るべし。
プリウス型のシフトしか運転したことがないという若年層ならば、古い車のシフトレバーはわからないだろうが、老人たちはいくら自動ブレーキを付けても事故は減らないだろう。

 そしてもう一つ。ハイブリッド車に多くみられるクリープの無さ。
 クリープはオートマ車でギアをドライブに入れてブレーキを話すと緩やかに助走する現象だが、ハイブリッド車はその動きが殆どない。だから、エンジン音もしないので、アクセルを踏むと急発進してしまう現象が起きる。
シフトレバーの可視化はされておらず、エンジン音も鳴らない。アクセルを踏めば急発進に感じる高齢者は多くいるはずだ。
メーカーは違った意見を出すかもしれない。ギアをニュートラルにすればそれも回避できるという回答もあるだろう。しかし、昔の車にさんざん乗ってきた高齢ドライバーがパーキングボタンを押せばニュートラルにする事は出来ると知っていたとしても咄嗟の時に奥の方まで手を伸ばしてボタンを押す事など現実的ではない。
更にペダルにも問題がある。
アクセルとブレーキのペダルが近いだけではなく、その段差が大きい事も指摘されている。
踏み間違いに気が付いた時に、段差が大きく足が引っ掛かってしまうのだ。


  結論は、プレーキとアクセルの踏み間違え問題を解決するには、高齢ドライバーの訓練はもちろんの事、車メーカーはシフトレバーを従来のように運転席と助手席の間に戻すべきである。
お洒落や足元の開放を行なうためにシフトのスイッチングを変えてしまうことが咄嗟の判断を狂わすのだ。
それからハイブリッド車でも発進時に高齢者でも気づく位の音を発生させるべきである。

 乱暴な意見では70台を超えたらマニュアル車に乗らせれば、アクセルとブレーキを間違える事故は起きないと言っていたコメンテイターがいたが、あながち間違えていないと思う。
 高齢者で運転するということは本人だけの問題ではなく、公道を行き来する人々全体の問題になっているという事を認識しなければ、不幸な事故は無くならないだろう。
とにかく、ハイブリッド車などといった便利な商品の盲点はとても大きな社会問題を生み出している気がする。

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