胸がふさがるような感じ
レッスン曲ではないのだけれど、『クラヴィス』教本の中にあるJ.P.スウェーリンクの「涙のパヴァーヌ」をふと弾いてみようとしたのでした。
写真の、14~16小節目のところ。特に、14小節目から15小節目に移った瞬間。
あまりの美しさに「え、何?」と思い、胸がふさがれるような感覚になりました。そしてしばらく、弾き続けることができなくなりました。
しばらくたって、14~16小節目を何度も何度も弾いてみる。
やはり、その響きの美しさにクラクラしそうになりました・・・
こんな感覚、久しぶりかも。
しかし。
このような印象を受けたのはたぶん、415Hzに調律してある(それから平均律では調律していない)楽器だからだと思いました。
少し時間をおいたあと、ではピアノで弾いたらどうなんだろう、と。
チェンバロ(スピネット)とピアノとではおよそ半音ほど違って聴こえますので、同じように弾いても違う調のように聴こえます。
それでピアノで弾いてみた結果ですが・・・スピネットで弾いた時に感じた、あの強烈な感覚はまったく感じませんでした。。。
そこから更に。スピネットで弾いたときと同じようなピッチで聴こえるように、半音ずらして弾いてみたのですが・・・やはりあの不思議な感覚にはなりませんでした。ということは、単純にピッチの問題ではないのだ、と思いました。調律法が関係しているのかな。
うん、不思議、不思議。
こういう感覚をごくたまに味わうことができると、だから楽器はやめられないのかも、と思う。本当に、ごくたまに。なんらかの理由により、とてつもなく美しい響きができあがる瞬間というものがあるみたいです。
私の感じる楽しみって、たぶんピアノしか弾かない人たちとは違うのかもしれません、というか違う世界をちょこっとだけ知っているから感じるものも違っているのかもしれません。