本当の悲しみって?『悲しみよこんにちは』読書会
11月24日(日)、第10回読書会を行いました!
会場は仙台市市民活動サポートセンターの研修室。三方を窓に囲まれ、たっぷり光が入る、開放的なお部屋でした!
今回の参加者は、初参加の方を1名お迎えして全員で8名での開催。
まず自己紹介!「好きなお酒」は?
はじめに、自己紹介からスタート!
今回の課題本『悲しみよ こんにちは』の作中で、主人公のセシルがお酒を飲む場面が多いので、「好きなお酒(または飲み物)」について聞きました。
ウィスキーや日本酒、クラフトビール、モスコミュール、翠ジンソーダ、(お酒が苦手な方は黒豆茶やぶどうジュース)などなど…。
いろいろなお酒の名前が出てきて、早くも来月の忘年会が待ち遠しくなりました。本談義しながら飲みたい!
続いて「おすすめ本」紹介。
自己紹介のなかで「最近良かった本」「好きな本」を一人1冊教えていただきました。
どうしてこの本を選んだか、とそれぞれ熱く語ってくださるのを聞いていると、どれもこれも「読みたい!」となってしまう。おもしろそう!
自分ひとりでは出合えなかった発見があり、いつも刺激をもらっています。
さて、いよいよ!課題本の感想です!
課題本はサガン『悲しみよ こんにちは』!
一人ずつ作品を読んで、どんなことを感じたか、話していただきました!
参加者の感想をご紹介!
・(サガンは)18歳でここまで感情の機微を書けるのがすごい。
・セシルは、自分の中で十字架を背負って生きていくんだなと思った。
・第一部までは少女漫画みたいな話なのかと思ったが、虚無感がすごくあると感じた。
・読後感は「怒り」だった。お父さんが良くない。大人が大人としての役割を果たさない、家族の機能不全の話だ。
・20歳の頃に読んだときはネガティブな印象は受けなかったが、再び読んだらアンヌの気持ちになった。傲慢な小娘のセシルに怒り、ストレスを感じた。
・セシルは本当の意味での悲しみは分かってないんではないか?
・この作品を読んで、自分でもびっくりするくらい感情が動かなかった。どこにも共感できなかった。若い頃に読みたかった。
・セシルは、本当の愛も悲しみも知らずに、今後どうなっていくのか。
・めちゃくちゃ好きな作品だった。セシルがかわいいと思った。
・セシルは悲しみしか知れない人。苦しみや葛藤ができない人だと思った。
・サガンは18歳でここまでの女性像、男性像を描けるのは、ものすごい作家だったんだろうと思った。
・ステップファミリーの話として読むこともできるが、アンヌが母親になろうとするのはやっちゃいけない、傲慢なことだ。
・セシルはセックスに対して幻想的すぎると感じた。シリルとした後にも情熱が続いているのが怖い。
・父親が恋人をとっかえひっかえしているのを見せられることがセシルの愛を欠けさせるのでは。父と娘の関係のいびつさがそこに出ている。
・この歳でこんな価値観が植わってしまって、女としてこの先どうなるんだ。一対一の関係を築けるのか。
・性の描写が直接的には書かれていなかった。情熱的に描かれていていて、耽美であり文学的だけれど、日本の文学にはなさそう。
・エンターテインメントとして、すごく面白かった。
・アンヌが自殺か事故かは、セシルにとってはおそらくどっちでもいい。セシルは十字架なんか背負ってなくて、「罪」を楽しんでいるから。
この作品は、「面白かった」「怒りを感じた」など、心を揺さぶられた声がある一方で、「共感できなかった」「感情が動かなかった」という人がいるのも興味深かったです。どの感想も、よく分かるんですよね。
言われてみたらたしかにそうだ、と思うのです。
また、自分がこの小説をいつ読むか、によっても、年代ごとに感じ方が大きく違ってくるだろうと思いました。
さらに、サガンが弱冠18歳でこの作品を書き上げたことについて、皆さん一様に驚嘆していました。
「サガンの他の作品も読んでみたくなった」という声にうなずく姿も。絶版になっている作品が多く、古本屋で探してみようということに。
フリートークで深堀りしていく…
ひとりずつの感想を聞いた後は、フリートーク。
他の参加者のコメントを聞いた上で感じたことを話し合います。
「セシルは今後どうなっていくのか」や、父娘の関係性について、
アンヌはどういう気持ちで別荘に来たのか、どういう女性なのか、
物語を盛り立てる脇役について、などなど…。
その他にも、グッときた箇所や、おもしろかった描写なども教え合って、時間いっぱい、この作品を味わい尽くしました。
最後に、今回読書会に参加しての感想をお聞きしました。
「ひとつの作品に、いろいろな捉え方があるんだなぁ」
「みんなの話を聞いていると、自分の感想が出てくる。参加するって大事だと思った」
「一人で読むより、皆さんの意見を聞いて考えが変わった。捉え方が広がった」
「他の方の感想を聞いたことで、さらに作品の理解を深めることができた」
などなど。今回もまたあっという間の、濃い3時間でした。
ご参加してくださった皆様、ありがとうございました。
次回は12月22日(日)13~16時半
仙台市民活動サポートセンターにて
『塩狩峠』(三浦綾子 著)を課題本に開催します!
すでに定員まであと2名となっていますので、ご参加希望の方はお早目にお申込みください。