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濃厚!カフカ『変身』読書会!

2月23日(日)、「仙台市市民活動サポートセンター」研修室にて
第13回読書会を行いました。
初参加の4名をお迎えして、12名での開催となりました。

自己紹介からスタート。

まずはおひとりずつ、参加した理由とおすすめ本について、紹介していただきました。

オススメ本から、その人が見えてくる

初参加の方が『ザリガニの鳴くところ』をおすすめされていたので、おや、と思ったら。
Instagramで作品を検索していたら、この読書会を知り、今回参加されたのだとか!
(『ザリガニの鳴くところ』は第1回オンライン読書会の課題本)
こんな巡り合わせもあるのね〜!と驚きました。
どこでどう繋がるか、分からないものです。

さて、いよいよ!課題本の感想タイムです!

課題本はカフカの『変身』!

新潮文庫と角川文庫の。訳の違いも興味深い

新潮文庫の累計発行部数ランキングでは
『変身』は13位なのですが(2024年時点)
いくつもの出版社から、さまざまな翻訳で出されています。
新潮文庫だと、より上位にランクインしている『老人と海』や『異邦人』と同じくらい、たくさんの人に読まれてきた超ベストセラー作品です。

そして今回驚いたのが、カフカの研究書や『変身』の解説本の多さです。
いつも関連本をいくつか持って行くのですが、その数があまりに多くて、数冊しか紹介できませんでした。

『変身』などの著作を読み解くものや、カフカ自身による手記や日記、父や恋人へ宛てた手紙なども数多く出版されています。
カフカについて知りたくなったら、たぐりよせられる糸口が無数に用意されているんですね。
100年以上前から現代まで、私たちをずっと魅了してやまないカフカ。
その代表作『変身』を読み終えて、参加者の皆さんは、一体どんな感想を持ったのでしょう。

こんな「感想」が聞かれました。

・虫の描写がリアルすぎて、気持ち悪い。
・引きこもりの子どもとか、家族の誰かが、当人たちにとって不都合なことがあったときにどうするか、と読みながら感じた。
・暗い人が書いた本だと思ったが、暗いだけじゃなく、マゾヒスティック。
・ずっとグレーゴルの視点で語られているのに、グレーゴルが死んだ後に視点のブレを感じた。
・自分が主人公だったら、どうするだろうと考えながら読んだ。YouTubeで『変身』を「変心」と解説していてなるほどと思った。変身したことで、家族、特に妹の心が変わっていく。自分の人生の終わり方を考えてしまった。
・なんで虫にされちゃったのか、一切書いてない。人の心が変わっていく。不条理だなと思った。自分の国を持たずに何千年も生きてきたユダヤ人であるカフカ。だからこういう表現になったのかも。
・救いようがない話だと思った。どこかに希望があるのではと思ったが。サラリーマンの末路として、虫になったことに喩えていると思った。
・時代は違えども共感できる部分がある。仕事に行きたくない、家にいる理由、行かなくていい理由が生まれる。
・不条理すぎる。変身どころじゃない。タイトルのニュアンスが軽いと思ったが、妹の虫(兄)に対する態度や家族の変化も含めて「変身」なんだろう。
・家族が虫に対してずっとびっくりしていて、隠す。助けようと思わないところに疑問。
・あっけなかった。いつのまにか亡くなってしまう。家族は、虫がいることを受け入れるわけではない。救うという姿勢はない。解説の「人それぞれの解釈をしてほしい」というのが印象に残った。
・虫になったイメージを膨らませて気持ち悪くなり、「ヤバいものを読んでしまった」と思った。
・「虫も大変なんだな」「グレーゴル、がんばれ!」と思えてきた。実際に床を這いずって歩いてみた。視点の高さの違いに新鮮さを感じたが、ポジティブに感じたのは自分が人であるからだなと思った。
・最後に死んじゃって不条理。人間くさくて面白い。価値観は時代によって違うものと、同じ部分がある。グレーゴルが憎まれたのは社会概念によるものではないか。家族・家庭も社会と捉えられる作品。
・虫になったのは妄想?と最初思っていた。家族が支えていくものが定番かなと思うものの裏切られる。グレーゴルは見捨てられ、家族三人は救われる。現実社会でも尽くす人こそ報われないっていう点はリアルだなと思った。
・自分が主人公だったら、家族がこっそり貯金していたことを知って「良かった!」と思えないので、グレーゴルの心のきれいさを感じた。
・突飛な状況で始まる。メタファー。どういう状況を例えているのか。カフカが結核にかかっていることで感染、看護・介護、家族問題など色々重ねているのではないか。
・家族の対応の仕方で、変化が透けて見える。家族は虫としてどう捉えているのか。グレーゴルの死による悲しさはあるが、ラストの家族の再出発は個人的に良かったと思った。
・カフカの他の作品を読んだことがある。作品ごとにギャップがある。カフカは突飛な状況から始まり、感情表現は淡々で独特な文体である。『変身』はコミカルに話が進んで面白い。

せつこ。さん、感想まとめ、ありがとうございます!)

フリートークで深堀り

それぞれの感想を聞いて、思ったことを自由に話していきます。

思い思いに、感じたことを話す


「最後は虫として死んだのか、人として死んだのか」
「グレーゴルはなんでご飯を食べなくなったのか」
「なんで父親が投げつけたのがリンゴだったのか」
「そもそも、この虫ってどのくらい巨大なのか」
などなど、読んでいて疑問に思っていたことや、
他の参加者の感想を聞いて浮かんできた問いについて、じっくり話しました。

印象に残った場面を一緒に読み直す。

話は尽きず、あっという間に、お時間となりました。
今回は、初参加の方が多かったのですが、一人で読んでいる時には思いつかなかったことを、対話をしていく中で発見できたそう。
また、他の人の感想を聞いて解釈が変わったり、
新たな視点に気づいたりして、とても面白かったという声が聞けました。

『変身』は、本の薄さの割に、どんどん深堀りしてしまう作品でした。
普段は人に話さないような自分自身のことをつい熱く語ってしまったという人も。
カフカ、改めてすごい作家だなと思わされます。
いつもに増して濃厚な回になりました。


ご参加くださった皆さん、ありがとうございました!

さて、次回3月23日(日)の読書会は、
仙台市民活動サポートセンター 研修室3にて
川端康成『伊豆の踊子』を課題本に開催します!


初めての方も大歓迎です。
本好きな方も、本を読むきっかけを探している方も、
友達をつくりたい方も、どうぞお気軽にご参加ください!

祝!1周年のお祝い会

1周年おめでとう!の乾杯。感無量。

2024年2月にスタートした
読書会アパート3号室ですが、早いもので1年が経ちました。
この日は、近くのイタリアンバーを貸し切って、お祝い会を開きました。

初めて顔を合わせる方々も多く、
読書会の参加歴が新しい順に改めて自己紹介。
同じ回から参加している人を「同期」と呼び、(笑)
その回の課題本から取って
「斜陽族」「破戒族」「雪国族」などと呼んでいたのがとても面白かったです。
最古参の「こころ族」(第一回の課題本は夏目漱石『こころ』)は貫禄すら感じました。

さらに、「みんなで本を持ちよって」というカードゲームを
やってみました。

カードに書かれたお題に合う一文を、手持ちの本の中から
見つけて発表するという大喜利のようなゲームで、
みんなで読んだばかりの『変身』を片手に大いに盛り上がりました。

本好き同士でやると楽しいカードゲーム

参加してくださった皆さんのおかげで1年間、続けて来られました。
ありがとうございます!
2年目に突入しますが、どうぞよろしくお願いいたします!

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