SwitchBotで猫フン防衛システムを作ってみた
これまでの猫フン対策
長年、近所の野良猫によるフンに悩まされていた。4畳程度の庭に、大体週に1回くらい、ひどいときには三日連続でフンがされているのだ。
これまでの対策としては、とげとげマットを敷いたり、コーヒーのカスをまいたり、市販の超音波式の猫除け装置を使っていたりしたが、完璧には防げず、QOLを確実に下げていた。
超音波式はこのなかで一番効果はあったが、単二電池4本が意外と早く切れるのが不満だった。また作動していると子供がうるさいというので、昼間は電源を消すが、うっかり電源を付け忘れた夜間に被害にあってしまうことがたびたびあった。
ソーラー式も試したが、これは車で引いてしまいすぐに故障した。
猫除けの最も効果的な対策は何かを調べたところ、水で追い払うことが非常に効果的であるとのこと。
市販の商品もあるが、歩道に面したうちの狭い庭には、さすがにこれは置けない。
市販のものでダメなら、エンジニアのはしくれとして猫除け装置を自作できないものか、しばらく考えていた。こちらのように電子工作を含めて自作してしまう猛者もいるので、いつか自分も挑戦しようかと思っていた。
SwitchBot(スイッチボット)とは
そんな時に偶然見つけたこの商品。無線でスイッチのオンオフ操作ができる指ロボットである。
この指ロボットと、センサやカメラを組み合わせれば、そこまで難度の高い電子工作や、水や電源回りの工事もせずに、猫除け装置を自作できるんではないかとひらめいたのだ。
自作装置への要求仕様
自作するにあたり、基本的な要求仕様をまとめてみた。
庭に侵入してきた猫を検知し、放水して警告することでフンをする前に追い払うこと
当然、庭の前を通る歩行者に水はかからず、近所の人にもその存在を気づかれないこと(近隣とのトラブルは避けなければいけない。動物愛護法もあり、決して猫を傷つけてはいけないし虐待と思われてもいけない。)
イニシャルコストは30,000円以内、ランニングコストは年間1,000円以内
その他、メンテナンスの手間として、バッテリーの充電は2週に1度以内、水の補充は週に1度以内
完成したシステム
完成し庭に設置した状態がこちら。
実際に猫除けシステムの一部として機能しているのは、以下の赤外線式の人感センサと放水装置、そして屋外カメラ。
バケツの中は以下のようになっていて、電動スプレーにSwitchBotボットがとりつけられている。SwitchBotボットの動作の様子もわかるかと思う。
システム構成と主要なパーツは以下の通り。SwitchBot製品を4種類使っており、これらは自宅のWiFiネットワークに接続している。(色々含めるとイニシャルコストはほぼ目標通り)
■SwitchBotボット
前述の指ロボット。
■SwitchBot人感センサ
屋内用だが、簡易的な防水のためにポリ袋にいれて無理やり屋外に設置した。
100円ショップで買ったプラスチック製の透明ケースに入れたら赤外線は透過しないようで正常に検出できなかった。ガラス製なら大丈夫そうなので、そのうち入れ替えてみたい。
■SwitchBotハブ
人感センサと指ロボットを連携させるためのハブ。これだけは屋内に設置。
■SwitchBot屋外カメラ
現象の観察用。夜間でも観察可能な赤外カメラ。
■電動スプレー
ボタンを一度押すと連続噴射。2Lの容量。USB充電式。動物愛護の観点から強力な電動水鉄砲は避けた。
■バケツ
SwitchBotボットの雨除けと、電動スプレーのカモフラージュ用。水が出るところに穴をあけた。
SwitchBot製品はスマホのアプリで動作を連携することができる(オートメーション機能)。今回は以下のオートメーション設定をした。
時間指定できることは後から気付いたのだが、システム運用上、かなり大事なポイントになっている。うちの場合、被害に遭うのは夜~早朝なので放水の時間帯も夜~早朝に限定した。これにより、昼間に人が庭に入ったときに水がかかることを防げる。さらに、一日あたりの水の消費量も減ることで電動スプレーへの水の補充頻度も格段に減らすこともできた。
当初は、人感センサは使わずSwitchBot屋外カメラの動体検出をトリガとするつもりだった(動体検出の種類として人体検出、ペット検出の選択もできることになっている)。しかし試してみると、1回だけ昼間に猫を検出してくれたが、それ以降はなんの検出もなく、ばっちりフンがされていたことが3回もあったため、猫検出の直接の手段としては断念した。
そこであきらめず代替手段として人感センサを、追加購入した。
試しに自分が検知エリアに入ると、おおよそ5秒で放水が開始された。猫にとって、庭に侵入してから5秒以内に脱糞することが可能なのかは謎であるが、そこは試すしかない。
なお、SwitchBotボットの電動スプレーへの取り付け部品は、所有している3Dプリンタを使って製作した。設計はFreeCADという無償CADソフトを使った。電子工作はしなかったものの、慣れてないCADに苦労したり、現物合わせでの繰り返しの3Dプリントにはなかなかの手間がかかった。(需要があればデータ提供も検討)
設置後の経過
システムを設置してから1週間は被害を防げていたが、8日目に被害が発生。放水エリアを避けたところに排泄されていた。残念ながら屋外カメラでは検出できなかった。ひとまず、ノズルを拡散気味に調整した。
そして、その翌日、ついに決定的瞬間を屋外カメラが捉えることができた。
バケツでカモフラージュされた放水装置の正面にいた猫ちゃんが、放水開始とともにびっくりして退避する様子が鮮明に映っている。
まずは、効果が確認できた。今後の興味は長期的な被害抑制率だが、どの程度になるか記録をとっていきたい。なにせわかっているだけで、近所の猫は4匹もいるのだ。
システムズエンジニアリング
要求仕様の整理を含めたシステム設計を円滑に進める目的で、システムズエンジニアリングというシステム設計の手法を使った。
複数の視点で分析したシステムの全体像を以下に示す。ここから見えてきた課題は、放水エリアをどこにどれだけの範囲に設定するのが最適か、対人対策のコストと合わせて見極めることだと考えた(自分や家族は濡れたくない)。
一方で、もし検知エリアや放水エリアを広げたい場合は、指ロボットと電動スプレー、人感センサを個別に増設してネットワークに追加接続すればよい。あまり意図していなかったが、拡張性の高さはIoTデバイスを使ったメリットだと感じた。その気になれば、より重層的なIoT猫フン防衛システムが構築できる。
(だんだん楽しくなってきたので予算度外視になりそうである。)
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