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Photo by
elmo1erika
ブラック・ジャックになった
「先生そこです」
どこを切ればいいかわからずにいると、目力のある女性看護師が教えてくれる。
患者は若い女性。
スーッとメスで切ると腎臓が露わになる。
腎臓に繋がっている血管を一本一本切り、血が流れ出ないように処置をする。
「よっ」
悪くなっている腎臓を摘出する。
意外と軽い。
新しい腎臓を縫合していく。
ふー
無事に終わった。
「お疲れ様です。お見事でした」
「ありがとう」
二人だけでやった初めての腎臓移植手術は成功。
「あんな釣糸みたいに硬い糸じゃダメです。もっと軟らかくて細い糸を開発してください」
病院に出入りしている業者に頼む。
医者になって初めて人を救った。
メモメモメモ、、、
これは忘れてはいけない。
こんな貴い夢は二度と見ることがないかもしれない。
職業に貴賤なしとはいうけれど、直接的に人を救う仕事は貴い。
1月から病院ばかり行ってるから、こんな夢を見たのか。
日曜日に取れそうなコートのボタンを縫い付けたから、こんな夢を見たのか。
去年の健診で腎臓の数値が良くなかったからか。
全巻持っているブラック・ジャックの影響か。
まあ、いいや。
昔、海沿いの道を走るバスの中で、追ってきた刑事を刺した夢を見たこともある。
そのときは最悪な気分だったけど、今回は最高の気分。
朝から、ひと仕事終えた。
夢は夢とわかるまで、五感は機能していて、考えて動いてるから、現実としか思えない。
メスで切る感覚もあったし、腎臓の重さも感じたし、手術をやり遂げた充実感まであった。