【番外☕】第80話によせて
1.第80話の解説のようなもの
本番外編は筆者による解説のような内容です。本来は、連載の途中で筆者による解説を挟まないほうがよいと思いますし、筆者の解説が正しいとも限りません。読みたくないかたはスルーされることをお勧めいたします。
(コメント欄ではいつも、解説のような内容も見境なく吐露しているのですが、今回はそれを自分から先にやっちゃおう!なわけです。)
◆◇◆
第79~80話は、もしかすると読者によっては、主人公が取って変わるような展開、なのではないでしょうか。というのは、夫に共感する人、感情移入しやすいと感じる人も少なからずいらっしゃるのではないかと。
noteデビューに先だって書いていたFacebook版(ラストの1ヶ月のみを描いていた)でも、夫に共感する人が続出、ということを経験しています。
夫は良くも悪くも人間なのです。弱かったり、傷ついたり、自分を守ろうとしたり、優柔不断だったりしながら、最終的に取る行動は強くて健気でまっすぐで、そのうえ成長もします。
翻って彼は、人間離れしていて僧侶みたい。その恋愛観や思いというものは私たちには理解がしづらい。だから共感もできないんじゃないかと思います。私も理解しきれていないから、うまく表現することもできていないように思うのですが、彼の見ている世界を想像してみていただければ嬉しく思います。
以下は第80話を書いていて自分で気がついたことです。推測なので正しいかはわかりません。
この時点で彼は、マリが夫のことを愛しているなんてことは、とっくに織り込み済みであったのではないか、と思ったのです。そして、この夫が最終的にはマリと別れないことも、すべてわかっていたのではないかと、そんな気がするのです。
マリは日頃、夫のことを見ないようにしてきたので、このときに深く対話してやっと、愛していたと気づくわけですが、それは少し前に彼がマリについて言っていたセリフ:
「オセアニアのほうに一妻多夫の部族がいる。一人の女性が複数の男を従える。あなたを見ているとそのような感じがする。」
(第46話「こうして、二人には愉氣が不要になった」より)
が顕在化したに過ぎなかったのです。彼は既にこの頃から、複数の男を愛する女としてマリを認識していたのではないかと思います。
彼はそれを理解した上でマリと付き合っていたから、嫉妬もなかった。彼はそれができる男だったのではないかと思っています。
「私は嫉妬は感じない。仮にキミが『夫と毎晩セックスしています』と言ったって、何も感じないよ。」
と言っていました。(このセリフは書き損なったので、おそらく最適な場所を見つけて加筆することになるかと思います。)
彼だけを愛しているつもりになっていたマリは慌てますが、すべては彼の認識通り、想定内のことで、彼は落ち着いていたのでしょう。ただ、こんなストレスを受けつづけたら自分の体はもたないよ、それは望まないと冷静に指摘したのです。
2.2年の月日
第80話を投稿した6月28日は、マリが彼と最期に会えた日からちょうど2年の日でした。彼が亡くなった日ではなく、最期の入院の日です。
その日のことを思い出すときに伴う痛みは今、遠いのに深さを増しているようにも感じられます。
🍌 🍌 🍌
第80話あたりは、今からちょうど2年半前くらいの出来事を綴っています。ということは、この時点で二人に残された時間はあと約半年です。物語の半分を過ぎた頃でしょうか。物語の前半のほうが記録が多かったこともあり、この先のほうが短いんじゃないかと思います。
本当に、長い長い思い出語りにお付き合いくださり、改めて感謝いたします。
※ヘッダーに大好きなkeiさんの絵を使わせていただきました。
本文内容とはあまり関係ないのですが、達観した彼の眼差しを思わせました。ありがとうございました。
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