完読「大菩薩峠」全10巻
中里介山の大長編『大菩薩峠』(筑摩書房刊の四六判愛蔵版で全10巻、1巻あたり平均540ページ)を、3ヵ月かけて読了した。原作は、第一巻「甲源一刀流の巻」から第四一巻「椰子林の巻」まで、1913(大正2)年から1941(昭和16)年まで28年かけて新聞連載と書き下ろしで発表されたものである。まずその息の長さに驚かされる。
執筆時期は次のように分かれるという。鹿野政直によれば、A群(1913年9月12日~15年7月23日、原作第一巻「甲源一刀流の巻」から第五巻「龍神の巻」まで)