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Hasselblad instax SQ Back[003]

今回のメインは前回の記事で紹介したプロトタイプの結果と考察だ。
テストなので手元にあった灯油ランタンを撮影してみた。
(以下はデジタルカメラ写真)

また、以前同じHasselbladにて撮影した灯油ランタン(ランタンは全く同じ型のものではなく、近い形の別のモデル)の写真を以下に示す。白黒なので比較になりにくいがHasselbladの本来の描写の確認用だ。

では結果を見てもらおう。

うむ。見事に大失敗だ。比較とかそういうレベルじゃない。ほとんど検証要項を確認できる形にならなかった。少し横着しすぎたか。しかしランタンのタンク部分が多少写り込んでいるため、感光自体はしているようだ。
この失敗物からいくつかの原因と改善点を探る。

1. 割り箸で挟んで引き抜くというプロセスが思った以上に難しい。指で一部を挟むせいで力が均等に加わらず、現像液を全体に伸ばすことが出来なかった。
2. instaxSQフィルムの現像液のポットは、液が全体に均等に行き渡るようにフィルムに対して3つ配置されているため、同時に破ることが難しかった。こちらも割り箸のはさみこみの強度が不均一だからと思われる

根本的な原因は割り箸にある。その他にも細かい点として、このプロトタイプでは、巻き上げクランクを回すとフィルムバックに連結するギアがテープで塞がれていたため、破れてしまっていた。まだ検証出来てはいないが、フィルムが送り出されるごとにカートリッジ内で隙間が生じ、感光面までの距離が離れているような不安があるので、こちらは既成品と同じく、バネなどで背面から押してあげる必要がありそうだ。

まだDirty prototypeなのであまり高度な改善方法を選ばず、身近なもので解決したい。そこで以下の方法を試した。

1. 現像液のポットを破き損ねた場合、引き抜いた時点でフィルムが感光してしまうので、引き抜く際に電気を消し、暗闇で作業する
2. 割り箸で挟み込むと均等に力が入らないため、暗闇でフィルムを引き抜いた後に定規をヘラのように使い、現像液を押し出す(写真上部は台座に使った無印良品の手鏡)

また、こちらの記事で解体/検証したタカラトミーのプリントスの背面パーツをカートリッジ背面に追加して、パーマセルテープで留めることで感光面までの距離を一定にする工夫をしてみた。

改めて撮影と現像を行ってみた結果は以下だ。

結果としてあまり変化は無かった。割り箸よりも現像液の流し込みは行いやすかったが、やはり均一に全体に広がらなかった。また、フィルムを一度外に出してから現像したためか、全体で明度が高く、コントラストが低い。遮光がうまくできず、露光してしまっているのだろう。定規がステンレス製だったためか、現像液のポットを表面側から傷つけてしまい、表に露出する形になってしまったものもあった。

まとめ

今回のプロトタイプはなるべくすばやく、身の回りにあるものだけで確認作業ができるよう目指したものだったが、見事に失敗した。しかしこのプロトタイプのおかげで、本プロジェクトに現像プロセスの正確性が求められるということがわかり、アイディアの中にあった「すべてのパーツを3Dプリントで行う」ということの難易度が確認できた。おそらく強度の高い素材を使用したり、送り出し機構部分のみ別のパーツを新たに作成する必要が出てくる可能性があるだろう。この件に関しては、「機構」「素材」「入手性」「価格」等といった要因の中でバランスを取る必要があるため、次回は現像機構に関してより深くプロトタイピングしつつ、感光面の距離の検証などを行う流れにしたい。

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