【3D Print New Normal】Stratasys3Dプリンター グレーグラデーションチップ制作
前回はJ8シリーズ3DプリンターにおけるCMYKWTのマテリアルの数値と濃度の関係性を把握するためにカラーチップのサンプルを作成した。今回は、前回作成したグレーの色味をより細かく作成し、目的の色味を出せるCMYの濃度関係を検証する。
前回作成したカラーチップのうち、画像の上 C10:M8:Y2、下 C10:M8:Y1の2種の比率が現状のサンプルの中ではグレーに近いものの、ニュートラルなグレーとは言い難いため、この2つの比率をベースにもう少し広げたサンプルを作成する。
Prototyping
作成にあたって今まではC10,20,30の3種を作っていたが、この方法だと比率を保持したまま濃度を調整する利点があるものの、各色のバランスを微調整することが難しい(C10%の比率に合わせるしかない)ため、今回はC30%をベースとして0.2mm厚、1mm厚の2種類のチップを作成した。
C:30%を固定とし、左から右にYを6%から1%づつ減少、上から下にMを25%から1%づつ減少するように12種のカラーを作成した。
結果(2枚目はバックライトを配置して撮影)
検証での学び
・C30:M23:Y4のチップが作成したチップの中で最もニュートラルなグレーとなった。Yは前後1%で黄緑寄り、青寄りとなったが、Mの下限のため、M22の場合の色味は確認できなかった。
・0.2mm厚のオブジェクトでも問題なく色味の違いは確認できた。
C:30%におけるグレーグラデーションチップの作成
今までの検証の結果、C30:M23:Y4あたりがニュートラルなグレーに近いような印象だった。そのため前後でどのくらいの色の振れ幅があるか確認できるようにグレーのグラデーションチップを作成した。
C:30%を固定し、M:20~29%、Y:1~8%でそれぞれ1%ずつ割合が変化するチップを作り出力した。
GrabCAD Printにて指定した様子。左上から右下にかけて微妙なグラデーションが見える。
結果(2枚目はバックライトを配置して撮影)
検証での学び
・C30%に対してM22~24%、Y3~4%の範囲でグレーの色味を再現できた。
・C30%に対してYが5%以上で黄色みが強くなることがわかった。
・C30%の場合80段階のグラデーションを作り出せたが、左右端で所定の色味が強く出るため、解像度は低めであり、グレーを選定することができる範囲は少なかった。
C:50%におけるグレーグラデーションチップの作成
今まではCMYそれぞれ最大33%でのグレーを想定し、各色の最大値を30%としてグレーを作成してきたが、これまでの検証でおよそC30:M23:Y4程度の比率でニュートラルグレーの作成ができることがわかってきたため、分解能を上げるためにC:50%を基準としたグラデーションチップを作成した。
最大値をC50:M41:Y9として80段階のグラデーションチップを作成。
カラーマテリアルの合計値が90%以上と濃くなる(今までは40~70%)ため、チップの厚みを1mmから0.5mmまで薄くして作成した。
結果(2枚目はバックライトを配置して撮影)
検証での学び
・C50%に対してM40%、Y6%の範囲でグレーの色味を再現できた。(理論上は25:20:3の指定でも可能なはず)
・C30%に比べてグレーの再現幅が広がり解像度があがった。
・C50%に指定した場合、Mの数値を40%程度しか上げることができず、ニュートラルなグレーをグラデーションの中心に置くことはできなかったため、オレンジ寄りのグレーを再現することはできなかった。
・ニュートラルなグレーを中心に置いたスケールを作りたい場合はC45%程度で固定したグラデーションチップを作成することが必要である。
まとめ
今回の検証の結果によってJ8シリーズ3DプリンターのCMYマテリアルによるグレーカラーの生成比率がおおよそ確認できた。
これにより各カラーマテリアルの配合を直接指定した調色が可能になった。
次回は厚みによる濃度の変化を踏まえた実験を行い、アイディアに立ち戻ったプロトタイプを作ってゆこうと思う。