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甘い音楽

いつからバンドが好きになったのか、それは割と明確に分かっていることだと思う。

私が好きな音楽について簡単に振り返る。

小学生〜中学生の時はもっぱらYUIを聴いていた。お年玉やお小遣いでほとんどのアルバムを買ったし、出演するテレビや、雑誌などのインタビューにも目を通していた。

初めてギターをやってみたいと思ったのもYUIの影響。シンガーソングライターである彼女の楽曲には、ロックバンドを彷彿させるギターサウンドがつきものだった。

Rolling starRainはその代表例とも言えると思う。柔らかい歌だけではないのがYUIの最大の魅力。ふわふわしているだけではない、芯の通った真っ直ぐな歌詞も。

YUI

中学生になって、1年〜2年生の時はback numberMr.Children、RADWIMPS、Silent Siren(現SILENT SIREN)を聴いていた。

バンドと言ってもジャンルはバラバラ。

どちらかと言うとザ・ロックというよりもバラード多めのバンドが好きでよく聴いていた。

そんな偏りのあった私が15歳の時に一気に幅広い音楽を知り、聴くようになった。

きっかけを与えてくれたのは当時通っていた塾の講師。おそらく私はこの人に出会っていなかったら今のようにジャンルを超えて音楽を聴くことはなかったように思う。

当時の私は学校に友達が少なく、居場所がない期間がとても長かった。というのも、幼い頃からの友人が中学校でいじめに遭い、友達としてただ普通に話したり、休憩時間に一緒にいるだけで私までクラスメイトから悪口を言われたり、無視をされたりしていたからだ。

今もたまに思い出して泣きたくなるくらい毎日が嫌だった。あの3年間だけは異様に長く感じた。
そうやっていじめていた人たちが今は結婚して親になってたりするのを見ると本当に吐き気がする。

できるだけ学校にはいたくなかったし、同級生と関わりたくなかった私は3年生の時に隣の駅の少し離れたところにある塾に通うことに決めた。

理由は簡単、同じ中学の人が1人もいなかったから。

個別の塾だったけど、数人友達はできたし、後輩とも仲良くなった。あの狭い中学校が嫌なだけで、外に出たら同い年の子達と普通に話せたことが実は結構嬉しかった。

この塾で出会った講師が音楽的な部分でも私を変えてくれることになる。

その先生は出会った頃、赤髪のザ・バンドマンだったので第一印象はちょっと怖かった。

塾にも慣れてきた頃、私の担当者がその先生になった。良い印象があまりなかったので不安に思いながら授業を受け始めた。

当時の私は人に対する信用があまりなかったから、人にそっけない態度を取っていたことも多かったのにその先生はずっと明るく話しかけてくれたし、授業もとても分かりやすかった。
ここで初めて人を見かけで判断してはいけないなと反省もした。

ある日の授業前、先生はBUMP OF CHICKEN天体観測を私の横で歌っていた。

「この歌知ってる?」

先生が言ってきて、そこから好きな音楽の話になった。

どんな音楽が好きか聞かれ、私は冒頭でも話したようにback number、ミスチル、RAD、サイサイあたりを答えた。

そう答える私に先生が言った一言は今でも忘れない。

甘い音楽しか聴かないんだね」

甘い音楽???ちょっとバカにしてる???とさえ思ってしまった。甘い音楽ってなんだよって思いながら授業受けたのをよく覚えている。

その日から先生にはたくさんの音楽を教えてもらった。BUMP OF CHICKENや plenty、MAN WITH A MISSION、KNOCK OUT MONKEYなど。今までの私にはない世界。

先生自身もバンドをしていたこともあって、楽器の話を聞くのも楽しかった。

中学校とは違う環境が楽しかったのはもちろん、バンドの話をしてもらえるのが1番の楽しみだった。

結局推薦で高校に行ったから親には塾に行かせた意味とは???と今でも言われるけど真面目に勉強していたし、得たものはたくさんあった。

ここを選ばなかったら今みたいにライブに行くことが好きな人間にはなってなかった。

嫌な記憶が多い3年間だったけど、それを救ってくれるくらい大切なものを見つけられて本当に良かった。

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