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【白井未衣子とロボットの日常《反転》】1・捕囚の日《14》

※先に《共闘》ルートの『1・正夢の日』『2・復讐の日』を読む事をオススメします。
※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。

【ブラッドガンナー】は右手のハンドガンの銃口を上に向けて、あと数十キロという地点で止まった。
回避行動の取りやすいように、上空で漂う状態になった。

『俺の名前は武人や。ラルクとちゃうで。』
武人はエストに訂正を促した。
この言動には、呆れの感情が込められていた。
エストには、武人の発言が虚偽だと感じ取った。
『僕は知っている!黒と赤のボディのHRは、火星圏タレスの象徴だろう!』
『単体の黒も単体の赤も存在するで?属する専任の研究者がほぼ1人やから、色は偏るけどな!』
『その発言は!出身をバラしたとみなすぞ!』

その後エストは叫んだ。
あああああ!と一番高い母音を用いて。
【ティア・ルーチン】の凶暴な口は、エストの叫び声で牙が丸見えになった。
あれで噛み付かれると、ロボの装甲に穴が開くだろう。
【ティア・ルーチン】が脅威に感じられるのは、他の要素もある。
武人が輸送機で見た時の、雄叫びの威力。
彼の雄叫びは、敵を寄せ付けないようにできている。
【ブラッドガンナー】も極限まで距離を詰める事はしなかった。
雄叫びの威力で吹き飛ばされる。
無駄なダメージは避けたい。

そこで武人は、一定の距離を保ちながら、ハンドガンで敵の体力を減らす作戦を考えた。
雄叫びを無闇に阻止せずに。

周りを寄せ付けない程の叫び、情緒も不安定だと武人は推測していた。
機敏な自分が空中でちょこまか動くと、相手をイラつかせる。

【ティア・ルーチン】には武器らしき持ち物は見当たらなかった。
適度に煽り続けていれば、相手は疲弊して自滅するだろう。
トドメはその後と、武人は考えていた。

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明日もお楽しみに!

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