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素・炒・煮・油、カスリメティの美味しさをMAXに引き出す調理法を発表!|#21-23

カレー屋さんで『乾燥した葉っぱがトッピングされたカレー』を食べたことがある人、結構いるんじゃないでしょうか?

そう、あれが「カスリメティ」です。


だんだんと「カスリメティ=スパイスカレーにトッピングすると本格的に見えるスパイス」という暗黙のTipsが根付き、洋食の仕上げ飾りで使われる乾燥パセリ感覚で使っている人が多くなってきた印象があります。

なんとなく似ていませんか?


この気軽なトッピングが横行しはじめてから、本来はそう使うものではない!と提唱する人が増えたものの、インド人シェフがいるカレー屋さんでトッピングする店が出現したり、インドでもやってたけど…?という玄人意見があったりと、ここ最近カスリメティの使い方については迷走気味に。

そもそもカスリメティとは、フェヌグリーク(種のスパイス)の葉っぱ部分のスパイスで乾燥ハーブ。
インド周辺諸国では、加熱調理しているパターンが多いようです。

また食品メーカーさんに「乾燥ハーブは全般的に虫が湧きやすいので取り扱いが難しい」という事実を聞いてから衛生的にも火は通してほしい…!と思うようになってしまいました。

ちなみに、我々は密閉できる容器で保存して手で触らないようにしています。


カレー三兄弟としては ”調理方法の正否” を問うのではなく、一番おいしくなる調理法があるならそっちを食べたいんだ!という食欲優先で、カスリメティの底力の引き出し方を研究することにしました。


実験(1) カスリメティ単体を味わう

まずカスリメティを単品で調理して、味・香り・食感など多角的な観点からどんなスパイスなのかを体感してみます。

■ 調理方法

1:調理しない
2:炒る( 熱を入れる ) 
3:煮出す( 水分+熱を入れる )
4:テンパリング( 油分+熱を入れる )

【仮定】
油で加熱すると甘みと旨みに変わるので、「4:テンパリング」が一番底力を引き出せそう。

\検証中の音声と共にお楽しみください/

■ 検証結果

1:調理しない
・意外に香りがしない
・ずっと口に含んでいると昆布のような味がした後、苦味を感じる
・口に入れた瞬間舌触りが悪い、葉っぱの繊維が邪魔


2:炒る( 熱を入れる )
 
・ふぁ〜っと香る、焙煎香と旨味がくるが後味が苦い
・葉っぱの繊維も崩れるので舌触りも悪くない
・これがトッピングされてるのは邪魔にはならなさそう


3:煮出す( 水分+熱を入れる )

・おいしい薬草茶感覚
・豆のお茶(ハーブティー)っぽい


4:テンパリング( 油分+熱を入れる )

・口に入れた瞬間「おいしい」
・香りが立っている(特有の甘すぎる香りがなくなる)
・苦味がほぼなくなる

検証結果まとめ
100度以上で加熱すると、苦味がなくなり独特の甘すぎる香りが抑えられつつ、旨味が増すことから「4:テンパリング」が一番おいしかった。

カレーにトッピングするのであれば、カスリメティを炒った方が香りが出て葉の繊維も気にならないので、炒った方が食べやすいと感じた。


実験(2) カレーベースに調理別カスリメティを追加して食べ比べする

■ 実験用・カレーベースのレシピ

ターメリック--- 小さじ0.5
カイエンペッパー --- 小さじ0.5
コリアンダー --- 小さじ3
クミン --- 小さじ1
玉ねぎ --- 1個(300g)
生姜すりおろし --- 小さじ1
ニンニクすりおろし --- 小さじ1
トマトピューレ(6倍濃縮) --- 大さじ1

■ 食べ比べ項目

1:乾燥カスリメティを〈そのまま〉カレーベースに振りかける

2:乾燥カスリメティを〈手で揉んで〉カレーベースに入れてから一煮立ちさせる

3:〈煮出したカスリメティ茶〉でカレーベースを作り、一煮立ちさせる[ カスリメティ茶分量=水 100ml:カスリメティ 0.4g ]

4:〈ココナッツミルク〉でカレーベースを作り、乾燥カスリメティを〈手で揉んで〉カレーに入れて一煮立ちさせる
※南インドやスリランカで、ココナッツミルクとカスリメティを合わせないのは、そもそもカスリメティを使う食文化が無いから…という前提で、新しい味の組み合わせになるのかを検証。

5:カスリメティを〈テンパリング(高音の油で熱する)〉してカレーベースの仕上げにぶっかける

6:白米2:玄米1の割合で炊き、炒った乾燥カスリメティをマジか?って量を入れて混ぜ、塩味・しょうゆ味のおにぎりを作る

\検証中の音声と共にお楽しみください/

■ 検証結果

1:乾燥カスリメティを、そのままカレーベースに振りかける
・少量だと存在感が薄い。
・香りはするが、味がわかりにくい。
・香りと味が薄いのでカスリメティを追加してみたところ、美味しさよりも葉っぱが口の中に残って食感が悪くなってしまった。


2:乾燥カスリメティを、手で揉んでカレーベースに入れてから一煮立ちさせる

・まとまって一体感ができている。
・( 1 )と比較すると、味や香り、甘みがでている。
・口には違和感は残らないが、苦味がある。(でもこの苦味が好きな人もいそう)


3:〈煮出したカスリメティ茶〉でカレーベースを作り、一煮立ちさせる[ カスリメティ茶分量=水 100ml:カスリメティ 0.4g ]

・カスリメティ感は( 2 )よりも強い。
・昆布のような出汁風味が追加されるので米との相性が良さそう。
・( 2 )と比較すると( 3 )の方が甘くて軽い。
・軽い割に嫌味なく香りが残っている
・( 2 )と似ている。
→ 水・カレーベース・カスリメティの量は( 2 )と同量で、カレーに入れるタイミング(最初に水で煮出して入れる/途中で揉んで入れる)が違うだけなので似ているのかもしれない。


4:〈ココナッツミルク〉でカレーベースを作り、乾燥カスリメティを〈手で揉んで〉カレーに入れて一煮立ちさせる

(反省)
そもそもココナッツミルクベース+カスリメティでのカレーベースがおいしすぎた。カスリメティの有無で比較実験しないと、味の変化がわからないということがわかった。

・苦味が全くない。
・カスリメティがココナッツミルクの甘味を後押ししている可能性があり、メープルシロップ感がある。
・甘いものと相性が良さそう、インドでパンに練り込むのは甘くなるからなのかもしれない。


5:カスリメティをテンパリング(高音の油で熱する)してカレーベースの仕上げにぶっかける

・香ばしさも加わって、ダントツで美味しい。
・カスリメティの良さを引き出すにはテンパリングするのがカレー三兄弟的には最強。

(追加検証)
ココナッツミルク+テンパリング=最強説。が浮上したので( 4 )と( 5 )を混ぜて検証。

・ココナッツミルクが強いので、カスリメティが弱くなってしまった。
・カスリメティを引き立てるのは、シンプルなカレーベースの方が勝ち。


6:白米2:玄米1の割合で炊き、炒った乾燥カスリメティをマジか?って量を入れて混ぜ、塩味・しょうゆ味のおにぎりを作る

・食べる前から海苔とお茶っぽい香りがする
・美味しいが、カスリメティが口に残る。(玄米を入れたのも要因)
・焼きおにぎりにした方が合いそう。
・お米と合う、一緒に食べると旨味がわかる。


【追加実験】
7:炒ったカスリメティをカレーベースに振りかける
・肉も入っているのに、カスリメティだけ口内や歯に残る感じがする。

(考察)
単品調理で味わった際に、炒ったらトッピングもアリかも?と思ったものの、カレー(液体)と併せて食べるとカスリメティの物質としての存在感を感じた。ルーが少量だった為、余計そう感じた可能性アリ。

熱々でシャバシャバのカレールーにトッピングされたものを混ぜると、熱と水分の反応によりおいしく感じるのかもしれない。


実験結果まとめ

カスリメティはテンパリング(高温の油で熱する)してカレーベースに入れる」のが、一番美味しく食べられる調理方法である。

(考察)
■ カスリメティのエッセンスは脂溶性である。
・カスリメティの香りや旨味などの魅力は、高熱の油で熱することで最大限に引き出される。
・熱に反応するため、冷たいものには合わない。
・ロティやパンなどの甘いモノとの相性はいいが、アイスなど冷たいモノには合わない。



【番外編】

長男が思いつきで持ってきた「カスリメティおにぎり」は、乾燥している葉の口触りが良くないってことだったので、実験結果を以てより美味しく食べられる手法を探りました。

■ 前提条件:米(おにぎり)
・おいしい条件 1:カスリメティは、水か油で非乾燥状態にする
・おいしい条件 2:テンパリングする( = 油+熱)

上記のおいしい条件に、カレー要素「GG(にんにく・生姜)、玉ねぎ、肉(ジョンソンヴィル)、ガラムマサラ、カレー塩」を入れてできる料理…。

そう、カスリメティカレー炒飯 です。
鉄のフライパンで高熱で炒めたことによりカスリメティの旨味成分が溶け出し、炒めた玉ねぎのメイラード反応による甘さが追加され、そこにジョンソンヴィルの重厚な肉感が合わさって、とても美味しいカスリメティカレー炒飯が出来ました。

カスリメティはカレー以外の調理に使っても美味しいんですね。


カスリメティの基礎知識

・カレーを作る際に多用されるフェヌグリークという種のスパイスがあり、英語ではフェヌグリーク、インドで最も多くの人に話されているヒンディー語ではメティと呼ぶ。

・フェヌグリークの葉を生の野菜として使うとメティリーフ。乾燥させたドライハーブにするとカスリメティと呼ぶ。種、生の葉、乾燥した葉の3つの使い方がある。

・フェヌグリークはマメ科の植物で、地中海原産。インドだけでなく、西は北アフリカ、東は中東、南アジアで多用されている。

味と香り
・フェヌグリークの特徴は種のままだと苦味が強いが、油で加熱すると甘みと旨みに変わる。その甘さからメープルシロップの追い香り付けに使われることも。

・カスリメティは、その苦味と甘みとどちらも持っている。スモーキーで、渋みのような風味もある。

インドでの使いかた
・フェヌグリーク(ヒンディー呼称:メティシード)とメティリーフはインド全土で使われるが、カスリメティは、インドの中でも主に北インド料理で使われることが多い。

・代表的な料理はバターチキン。カレーを煮込んだあとの仕上げに入れてひと煮立ちさせて作る。

・ほうれん草のカレーではマリネ液として使う。お肉以外にも、カッテージチーズをマリネする時などにも使用。マリネした食材は必ず火を入れて仕上げる。

・ロティやパラタなど、パンに練り込むこともよくある。

次男の研究結果より

\#EP4:1〜3話はコチラから/


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[出演者]
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次男|福岡裕介
三男|竹中直己(タケナカリー)
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[制作]
ディレクター|ヨーコ・ビンダルー
編集・BGM制作|南場 四呂右
ジングル制作|老師
カバーアートデザイン|中屋 辰平
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[提供]
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