囲碁史記 第61回 因島の神童本因坊秀策登場
虎次郎誕生 秀策は文政十二年(一八二九)五月五日、備後国御調郡三浦村大字外之浦、現在の広島県尾道市因島外浦町に生まれた。因島は、かつて毛利元就を支えた村上水軍が拠点とした瀬戸内海の島で、現在では西瀬戸自動車道(しまなみ海道)で本州および四国と結ばれている。
父の桑原輪三は雑貨商。妻カメとの間に二男一女があり、秀策は次男である。輪三は対岸三原から入婿している。実家の安田家は代々庄屋を勤める士分に近い家柄であった。
秀策の幼名は虎次郎。母カメは碁を知っており、胎内にあるとき