主任試験の話
主事で入って(キャリア採用以外の場合)、主任になるためには、試験に受からないといけない。主任試験は都のみ、管理職は特別区もあるのだが、出世するのに試験を受けなきゃいけない組織は、自治体でもそう多くないんではないかと思う。
昇進(出世)の話は、以下にて。
主任になるには
教養試験・論文・前年度の業績評価、で決まる。
教養というのはいわゆる公務員試験的な、勉強すればとれるもので、法律と中のルール(その名も都庁ルール)、条例なんかである。そもそも資格試験的な要素を入れた部分なので、この先身に着けてほしい知識が詰まっている。
論文は、あなたならこういう場合どうしますか、というもので、主任に求められる、後輩を教えながら課長代理をサポートする動きができるかを見ているらしい。ポイントがわかればだれでも書けるような気がするけど、そうでもないらしい。主任試験の時期になると、これを添削してもらっている姿を目にするようになる。
業績評価については、毎年自己採点&上司との面談→評価というプロセスがあり、これをベースとしてボーナスや翌年の給与額が決まる。試験でもそれを見られる。
私、病気休暇取ったけど?とか、昔なんかあったけど?という場合でも、直近でなければ問題ないらしい。この評価自体が基本的にBで、Aはなかなかつかないらしく(だから給与にも差がつかない)、よっぽど問題ない限りは大丈夫に思えるんだけど、どうやらこれで落ちる人もいるらしい。
ちなみに、若手じゃないのに主任試験にずーっと受かってない人には、それなりに理由がある。なんでこの人が課長代理以上?と思う人もたまにいて、それはたまたま誰かに評価されてなってしまったものなわけだけど、だれにも評価されずにいる人には、理由がある、というわけだ。
いつから受けられるのか
都への入り方はいろいろだが、学歴+都歴で最低27歳から受けられて、28歳から主任になれることになる。
本試験対象になる前年(つまり、26歳になる年)から、前倒しで一部試験を受けられて、受かった場合は翌年この部分が免除になる。3年は有効だったはずだ。私は前倒しに受かり、本試験を受ける前に辞めている。
ちなみに、管理職試験を受けない人は山ほどいるけれど、主任試験を受けない人はそうそういない(ずっと受からなくて、受けなくなる人はいる)。主任になれば違う局に異動できるし、したっぱを卒業できるし(高齢になったら特に重要)、入って数年だからやる気もある。というか、そもそも、受けるもんじゃない?
いつから勉強するのか
試験は9月末にある。日程だけ先に公表されて、あとで要項の公開されるものの、試験内容は毎年ほぼ同じ。GWあたりから試験のことを耳にするようになり、受かった人に勉強法を聞いたりする。局によっては、主任試験対策を自主的にやっているところもあるのだが、私のところは何もなく、何の盛り上がりもなかった。
私が勉強を始めたのは7月で、休みをとって勉強したこともあったし、今思えば仕事の配慮もしてくれていた。いつかの受験のようにカリカリやっていたわけではなく、休日を満喫しながらいろんなところで楽しく勉強するところから始め、ぎりぎり何とかなったのが正直なところだ。
試験対策
教養は公務員試験と同じようなもんで、進んでいく人にはこれを覚えてもらわないと困るな、という内容であることがわかりおもしろかった。法学部の友達は、一部懐かしいと言っていたけれど、対策なしにして合格するのはまず無理であろう。
対策本がいろいろあるので、まずはそれを揃えることになる。特別区の試験、管理職の試験でも使われるような本だけど、まあまあ高い。オンラインが安くて、ないものは庁内の本屋で買うとプリペイドカードが使えて安い(内部はみんな知っている話)。使い終わった本は全部オンラインで売ったなあ。
そして、都政新報という新聞にも試験対策コラムが載っていて、近くで購読している人がいたので、切らせてもらっていた。
そもそもこの新聞、誰が対象かといえば、都の人・特別区の人・それ以外の都内の自治体の人、つまり”国以外の都内の公務員”。もちろん全員が読んでいるわけではない。むしろ大御所しか読まない。
ここに、毎週だったかな、練習問題と解答、出題予想特集が載る(全部が当たるわけではない)。ちなみに管理職試験対策も載る。
試験当日
熱中症が心配すぎる気候の中、偶然にも、都の試験と同じ会場だった。今回は駿台模試はなかった。笑
休日なのでみんなカジュアルな恰好で来るのだが、こんなに大量の私服の人たちを見ることはないので、こいつら同僚のはずだけど、誰だろう…と思う。私の年は、オンラインで申し込みだったので、同じ局の人が同じ部屋で受けることもなかった。
難しい、と思ったので調子が狂ってしまい、ほんとにぎりぎり通過だったのだが、採点してみればこれは明らかじゃないかと思ったのが何問かあった。時間は実際足りるので、見直しをしない人はいないだろうけど、一呼吸おいてもう一度見てみる余裕を。ま、それも、準備期間や量の不足といわれてしまえば、そうなのかもしれないけど。
ちなみに、管理職もそうだと思うのだが、この試験監督は、管理職や希望者が"1日バイト"として割り当てられる。試験に関わる人は行けないのだけど、有給である。
試験後
週明け、自己採点してどうだったか教えて、と課長に聞かれた。それが何につながるのか一切わからないし、把握しておく必要がある理由もわからないのだけれど(なんか準備するのだろうか?)、教えた。
そして、まわりの人たちが、結果発表に合わせて飲み会を企画してくれた。受かったら祝勝会、落ちたらおつかれ会なのだそうだ。そして、日に日に嫌になり、断った。このときすでに、主任試験はPlan Bで、転職がPlan Aだった。転職が近くなると、飲み会などに参加しなくなる、という人は一定数いるのだという。
半年たって本採用になったときにも飲み会があったが、そもそも4月の歓迎会でセクハラにあっているので、このときも「この人たちは飲む口実を探しているだけで、私自身のことを心配したり気にかけてくれているわけではないのだ」と思った。だけど、異動の祭のような盛り上がりがなかったのは、試験に落ちる人もいるからという配慮であり、表現の仕方はさまざまであれ、まったくの口実だったわけではないのだろう、祝ってくれる気持ちもあったのだろうと、今は思う。
結果を聞く
主任試験に受かると、みんなに公表され、基本的に翌年か、2年後に違う局に異動することになる。前倒しの場合は、なんと結果は私には来なくて、課長を経由する。なので、まわりに人がいれば、私の反応を見て察するわけである。そして、こういうとき、必ず誰かが見ている。笑
ぎりぎり通ってたから、と言われ、よかったですー、と言って終わった。それだけで噂は広がっていった。
金曜日、私の分まで祝っとくからね、と言いながら、外野のみなさんは飲みに行った。
受かった私と、同じ担当で、一体何年連続やねん!?で本試験に落ちてしまった人の主役2人は、どちらも行かなかった。