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自治体の温暖化対策計画の作り方

仕事の内容は書かないつもりだったんだけど、先週colloquiumでclimate change/urban architectural historyの話を聞きまして、
「私、2か月前まで日本の自治体のClimate action plans手伝ってましてん」
と、簡単にプロセスを説明したので、ここでも書こうかなと思った次第。日本は法律があってマニュアルがあって従う形だけど、国によってやり方は違うよね~。環境省マニュアルに載っているから、隠すことでもないし。
あくまで私の見解ですよ。その道のプロでもなんでもなく、数年仕事をしていた人の趣味ブログと取ってくださいね。

「ブログって趣味になるんですか?」
「仕事じゃなくて好きでやっていることなら、趣味ですよね」

ちなみに、Climate Changeって、hotだし、やりたい人がたくさんいそうな分野なのだが、実際にやりたいという人(学生含む)には出会ったことがない。CVに載せておけば使える経歴だと思ったけれど、使えたどころか、質問を受けたこともない。苦笑


コンサルの仕事の取り方

ついでに、コンサルの仕事について聞かれたことがあるので、書いておくと、

  • 依頼主に関わらず、事前に相談があります。

  • 依頼主は、「どうもこういうことらしいんだけど、詳しくはわからないので調べてまとめてほしい」「モノ(計画)を作ってほしい」「こういうもの(政策、しくみ)を予定しているので、その準備のための資料を作ってほしい」といった形で依頼してきます。つまり、闇雲では来ませんし、依頼がないのに行くこともないです。

  • 物事はそんなに速く進みませんので(良くも悪くも)、可能性を探る→計画をつくる→実行する、を数か月~1年かけて1つずつ進めていくことになります。

  • 公共の仕事(入札)の場合は、仕様書があって、仕事の内容が書いてあるので、それに従って進めることになりますし、提案書もそれに合わせて作ります。

  • 民間の場合は、入札がないので、相談のあと合意すれば契約になります。

  • 事前相談がない場合でも、入札を見てできそうな内容であれば、エントリーすることはよくあります。事前相談がなくても仕事を取れることもあるし、相談があっても他の業者に取られることもあります。この仕事のおもしろいところかもしれません。

  • 私の経験ではーですが、仕事が取れないことよりも、予想外に取れすぎること、依頼が来ても忙しくて断ること、のほうが多いです。この仕事を20年くらいやっている人たちがいて、勝手に依頼が入ってくるから、なんですけどね。

温暖化対策計画の作り方

大きく分けると、

  1. CO2を計算する

  2. 分野に分ける

  3. 将来を描く

  4. 政策を考える

となります。

1. CO2を計算する

まず、今のCO2を計算します、というか、データを持ってきます。自治体のものがあればそれだし、一切ない場合は、自治体排出量カルテを見ます。
そして、このまま何もしなかった場合、CO2がどこまで伸びるかを計算します。どうやってやるかって?簡単には、将来の人口を元にします。日本の人口はどこかで減少する予測なので、何もしなくても、人口と共にCO2も減っていくことにはなります。

2. 分野に分ける

マニュアルに沿って大きく分けると、産業・業務・家庭・運輸、もうひとつ加えるなら廃棄物、となります。この分野ごとの排出量の比が、自治体によって違うので、自治体の性格みたいなものがわかります。どの分野の対策が必要なのかもわかりますが、特に産業が多い場合は、自治体の政策ではどうしようもない(企業がそれぞれ目標を掲げていて、それに沿ってがんばってもらうしかない)ので、困ったね、となります。苦笑

3. 将来を描く

基本的には、2050年にcarbon neutralを達成することが目標となります。イメージも作ります。ここでのポイントは2つ。
まず、森林吸収について。排出量を0にしなくても、相殺して0ならいいので(実質排出量ゼロ)、森が多い自治体の場合は、ここを大きく取ります。
さらに、排出0にすれば、それ以外はどうでもいいわけではなく…生活は続くので、carbon neutralでありながら、住みやすさやら何やらも達成しましょう、という目標を立てます。ここで、地域性というか、環境以外の地域の課題も考えます。これを調べるのも、この仕事のおもしろさと言えるのでしょう。このために調べていると、私はいつも(今回提案書を出す)自治体のことが好きになってしまい笑、応援したい気持ちになっていました。

4. 対策を考える

目標を決めたら、どうやって達成するか考えることになります。
ここで政策とか、企業と協力するとか、新しい技術開発を応援するとか(2050年まではまだ時間があるので)、そういうことが出てくるわけですが、基本的にはどの自治体でも、打てる手だったり、考えられることは同じで(太陽光とかね)、少し地域アレンジを加えることになります。今は政治的に難しいことでも(洋上風力とか水素とかね)、可能性としてはありなので、イメージには入れます。
そして、細かいことを言うとー、まずは国がやってくれること(省エネ)を引き、それでも足りない部分を自治体でやろう、という計画にします。

それ以外の仕事

この計画作りがいわゆる定型業務で、ほかにも、実証だったり、中小企業対策だったり、色々やりました。何かきっかけがあって思い出したら、書こうかな。

Colloquiumでの意見

話を最初に戻しまして。
「Policyにおいて、citiesができることとして、意見はあるか?」と聞いたのですわ。
んで、Radicalな人のcrappyな意見(私の意見ではなく、本人談)によると、

  • Net zeroではなく、削減量を測るべき

  • 目標を立てるときに想定しているのは、運用時のcarbonのみで、embedded carbonは含まれていない
    →建物がcarbon neutralでも、建てるときのcarbonについては考えられていないということ

  • 現状の生活レベルを維持することを前提としており、快適室温すぎるとか、肉食を減らすとか、飛行機に乗る回数を減らすとか、そういうことは考慮されていない

という話でした。そういう意見もあるのね。
参考になったかな?

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