周りに天才が多くて困ってますよって話
化け物じみた歌唱力を持つ天才
共感性の高い歌詞を書く天才
みんなに好かれる気遣いの天才
頭のきれる会話の天才
俺の周りは天才だらけです
彼らと話していると、毎度毎度刺激をもらいます
頑張ろう!という気力をもらいます
と同時に、その状況を俯瞰して見ている
第二の自分みたいなものが、横から
「なあ、じゃあお前はなんの天才なんだろうな?」
と真っ直ぐ目を見て語りかけてきます
全くもって心当たりのない俺は
その度、「なんなんだろうね、ははは」と
目を逸らして、力無く笑うほかないのです
そしてこの第二の俺というやつは
作曲のためにパソコンと睨めっこ中
行き詰まった途端に現れて
「嗚呼!なんという凡庸なフレーズ!
やっぱりお前に才能はなかったな!」
と隙あらば俺をネガティヴ沼へと
引き摺り込もうとしてきます
終いには「今全然関係無い過去の失敗談」なんかを
「そういえばお前あの時さー」の台詞を皮切りに
雄弁に語り始めるのです
ここまで来たら流石の自分も黙っておれず
「おいおい、待て待て、今その話全然関係ないし
第一、お前、来るなら来るでアポ取れや」
とささやかながら抵抗する姿勢を見せます
ところがどっこい、第二の俺は「待ってました」と
言わんばかりのニヤケ顔で
こう返してくるわけです
「は?ここに俺を呼んだのも
この話をさせたのも、全部お前だろうが」と
こう言われてしまったら最後
もう返す言葉がない
理論武装を叩き潰された5歳児の如く
だんまりを決め込むしかなくなってしまうのです
しかもこいつのタチが悪いところは
「何かを間違えた」「何かを失敗した」
という場面を必ず動画として残していて
のちに俺が何かに挑戦しようとした際
「前にこんな事あったけど大丈夫?
やめといた方がいいんじゃなーい?」
とその動画を見せつけ、水を差す
その度、俺は一瞬足が竦むのです
ねえ、こんなふうに思うのって俺だけ?
それとも、結構みんな似たような事思ってる?
病んでるとかでは全然なくてね
いやもうほんと元気だしね
ただ、純粋に気になる
これを読んでくれた
他でもないあなたに訊きたい
あなたもそんな事考えてる?
終