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大学の研究室は刑務所~B4編~

どうも、院生ニートと申します。
久々に大学関係の話をします。

タイトルにもありますが、大学の研究室の話です。
「研究室は刑務所」ってタイトルを見て、この記事を開いてくれた人は、今まさに研究室で苦しんでる人たちでしょうか?
それとも将来的に研究室に配属される予定の人達ですかね?

自分としては読んでくれるだけで嬉しいのですが、大学生だけでなく、これから理系進学を選ぼうとしている高校生子供の進路選択に悩んでいる保護者の方にも読んでほしいと思ってます。

研究室生活といっても、学士過程、修士課程、博士課程、、、etcと色々なフェーズがあるんですけど、今回は学士過程の話をします。(学士過程ってのはまあ普通の大学生をイメージしていただければ問題ないです)


自己紹介、自分の状況

現在、自分は工学系の大学院に所属している修士2年(M2っていいます)の学生です。
修士とか博士とかがなにかよくわからない人は、大学6年生みたいなものだと思ってもらえばいいです。

自分の大学では大学4年(B4っていいます)から研究室に配属されるため、研究室生活は3年目になりますね。
なので、研究室生活3年分の経験を語ることができます。

博士に進むつもりは一切なく、ちゃんと卒業できれば来年から働く予定です。
ちなみに自分はメーカーではなく、金融業界の会社に入る予定ですね。工学系の中ではかなり珍しいと思います。(どうしてそういう仕事を選んだかも下記で触れます)

嫌だったこと

ここからは学部4年生時代に絞って、自分が研究室で経験したことをかなりネガティブな視点で語っていきます。
今までは結構丁寧な言葉遣いでしたが、もしかしたら汚い言葉を使うかもしれないので注意してください。


① 「君のことを学生ではなく、研究員(社会人)扱いします」

自分が研究室に入って初っ端に言われた言葉がこれです。
この言葉、一見そこまで違和感はないでしょう。自分も後になってこの言葉の真の意味を理解しました。

それは君=無給の労働力って意味ですよ。

学生はなぜだか研究室に貢献することを求められました。
ちゃんとした指導なんてほぼありません。まあ研究室によるでしょうが。
この段階で皆さんに気づいてほしいのが、研究室に入ったところで何かを学べるわけではないです。

大学4年は研究室に入らないと卒業できないので仕方ないですが、無理して大学院に行ったところでほぼ意味がない訳です。だって何も身につかないから。(別に院卒なんて日本じゃほぼ無価値だしね)

何も身につかないどころか、学費を払って労働することを強要されます。
もはや奴隷です。だからタイトルで研究室=刑務所って言ったんですね。

自分は研究室に入って1カ月ほどで既にこの理不尽に絶望してましたね。


② 指導員との相性の悪さと年齢差

自分ははっきり言ってかなり不真面目な学生でした。大学に入ってから勉強なんて最低限しかしてなかったです。

一方、B4の頃の自分の指導員は30代ぐらいの女性だったのですが、その人は社会にでることなく博士課程まで進み、その後もずっと大学で働いてるような人間です。

はっきり言って人種が違います。

指導員たちは勉強するのが当たり前だと思ってます。
当たり前じゃないですよね? ほとんどの大学生なんて勉強してないでしょ?(受験生たちは毎日10時間以上勉強してるのにね)

だからもう会話のなにもかもが噛み合わないんです。ここら辺から、自分は本音で喋ることを封印しました。

あと自分の研究室は博士課程の留学生が大量にいました。なので公用語がまさかの英語でした。(地獄)

まあ英語に関してはジェスチャーで乗り切りましたし、そもそも英語が使えなくても卒業はできるのでここは今回は目をつむります。(英語が公用語なんて研究室はさすがに珍しいしね)

ただ英語とか関係なく、この留学生たちとも価値観が合わなかったですね。

そりゃそうだって話なんですが、わざわざ留学して研究してるような人たちなんでメチャクチャ真面目で研究熱心なんです。

自分みたいにとりあえず大卒とりにきた人間とは、もはや違う生物だと言っても過言ではないくらい違いましたね。

あと留学生や指導員、教授たちは研究で食っていくというのが自分と大きく違うでしょうね。
自分は研究を仕事にするつもりなんて1ミリもなかったんで、そりゃ真剣になんてなれるかよって話です。(まあこの部分は自分に非がある気もするけど)

あと年齢差もつらかったですね。

自分と同じ日本人で、同じぐらいの年齢の人はほぼいませんでした。
研究室の人間は、若い方でも30代。あとは50、60のオジサンオバサン。
別にオジサンオバサンが嫌いなわけじゃないですけど、話はまったく合いません。

え? 会社もそんなもんだって?

確かにそうでしょう。上司はみんな年上でしょうね。
でも会社は給料もらえるじゃないですか。
金をもらって上司と会話してると思えばまだ我慢できるかもしれないですが、学生は無給なんです。
なんで無給でオジサンオバサンと会話しないといけないんですかね。

あと会社の方が研究室より人数が多いでしょうから、当然同年代の数も多いでしょう。
だから若者の価値観も多少生き残ってると思うんですよね。
でも研究室って若者がほぼいないんで、学生の価値観なんて一切考慮されません。
あまりにも苦痛だったんで、この段階で比較的若い空気感の会社に入ろうと決意しましたね。

③ 指導が下手すぎる

大学で働いてる人たちはとにかく教えるのが下手です。
まあ高校までと違って、教育ではなく研究が仕事なのでこれは仕方ないです。

ただ、「背中を見て学べ」という昭和時代の職人気質の教育法(もちろん誤った教育法)がかなり蔓延してます。
給料も貰えず、学費と20代という貴重な時間を払って職人のような理不尽な世界の洗礼を受けます。

自分が初っ端で喰らった洗礼の話をします。
まず指導員に論文を複数渡されました。「これを読んで次のミーティングで論文についてプレゼンして」って言われました。

ここまでは普通の指導です。
ただミーティングまで時間がなかったんで、複数の中から読みやすそうな物を選んでまとめました。

そしたらミーティング前日になって、「これじゃない!」とか言われました。

だったら最初から言えよ、って思いましたね。前日になって新しい論文を急いで読んでパワポにまとめなきゃいけないとか、マジで絶望でしたね。

これはあくまで一例で、他にも指導が下手だと感じる瞬間はたくさんありました。

指導員たちは論文を渡せば、学生が勝手に理解してくれると勘違いしてます。
教授とか准教授になって、リアル大学生に授業してる人たちは皆気づいてるけど、そんなんじゃ学生は勉強しないですよ。
ここら辺は若い指導員の方が意外とわかってない気がしますね。(まあ年配の教授達が学生指導を諦めてるだけかもしれないですが)


④ 実験が死ぬほどつまらない

これは完全に個人の感想ですが、実験がとにかくつまらなかったです。

まず実験なんて基本的に自分の将来に何の関係もないです。
プログラミングとかをするタイプの研究なら、まだ将来に繋がりそうですが、実験なんてこの研究室でしか活かせないですからね。
実験が好きな人じゃなかったらマジで地獄ですよ。

更に実験系の研究をしている場合、リモートワークができません
シミュレーション系の研究だと、パソコンさえあれば研究できるのでリモートワークできるのですが、実験は大学に行かないとできません。必然的にリモートワークはできなくなります。

ここら辺でメーカーに就職するという選択肢がなくなりましたね。
会社にもよるんでしょうが、モノづくりって基本的にテレワークできないですよね。今のご時世、テレワーク不可能な仕事って若者からはかなり不人気だと思いますよ。

あと自分は研究テーマの都合上、クリーンルームという部屋で実験してました。その部屋ではクリーンウェアという全身白タイツみたいな恰好して実験します。
で、この恰好で実験するのって結構疲れるんですよね。

メチャクチャ性格悪いこといいますが、「一流大学(旧帝)までいってなんで俺は肉体労働してるんだろ」って思っちゃいました。

すごく最低な考えだなって自分でもわかってるんですけど、率直にそう感じてしまいましたね。

この先、自分は一生こういう事をしながら生きていくのかな?って思ったら、自分の将来に絶望してしまいましたね。
まあ工学部ってそういう場所だということをもっと調べてから入学するべきでした。


⑤ 価値観の違いすぎる説教

ここまで読んでもらえればわかると思いますが、自分はやる気のない不真面目な学生です。そしてそのことに指導員も気づき始めます。

不真面目な学生には当然説教しますよね。

で、その説教の内容がもう的外れすぎるんですよね。

例えば「○○教授とお話できる機会はホントに貴重なんだよ!」とか、「この共同研究の論文には君の名前も載るんだよ!それは名誉なことなんだよ!」みたいな説教をされたことがありました。

いやそんなこと言われても、自分にはまーったく刺さりませんよ。

まず教授の存在なんて学生からしたら面倒くさいだけです。さっさと単位よこせとしか思ってないです。
そして論文に名前が載るとか、全然興味ないです。大学卒業したら論文なんて一生読むことないでしょ。

言葉の節々から価値観が違いすぎることがわかるんですよね。ほとんどの学生は研究に対してそこまでバリューを感じてないんですよ、、、(これに関しては大学全入時代の弊害ですかね)

あとは「就職なんて気にしなくて大丈夫。○○教授を信じてればどこかの会社に入れるよ(←なお、この人は不安定な技術職員の模様)」って言われたこともあります。
いやいつの時代だよ、、、と。今の時代、そこまで大学とか教授に力はないですよ。今の時代、理系だろうが高学歴だろうが、内定は自分の力でもぎ取らないといけないんですよ。

まあ総じて、研究の魅力を語れば学生がやる気を出すと勘違いしていますね。根本的にリアルの大学生を何も知らないです。

大学側は大学=研究する場所って認識なんでしょう。でも学生側にそんな認識は存在しないです。(こればっかりは、どっちが悪いとかそういう話じゃないと思う。)

今の学生は自分にメリットがあるかないかをモチベーションに生きてます。
受験勉強を頑張るのは、学歴=メリットだからです。勉強が好きだから頑張る訳ではないのです。

だからこそ「給料を払っていない」学生に当然のように研究室に貢献することを求めてくる環境は地獄なんです。給料というモチベもメリットもない状況で努力を強いられるのはホントに苦痛です。

下手したらブラック企業以下の待遇ですよ。


⑥ 大学院に行きたくないが、時期的に就活は間に合わない。

これが理系最大の闇だと思います。
就活のシステムが完全に文系向けのため、大学院から逃げられません。

どういうことか解説します。

まず今の就活は基本的に大学3年生(院生ならM1)からスタートします。要は卒業年の前年からスタートする訳です。
3年生の内からインターンに参加して、あわよくば早期選考ルートに乗ります。早期選考ルートに乗れなかったとしても、その会社のことや業界について知ることができるので参加する意味はあります。あと、その会社を目指す学生層がどんなもんかも把握できます。
で、なんやかんやあって早い人は3年生の内に、大半の人は4年の頭に内定をもらいます。
つまり、3年生が就活の勝負なんです。

しかし理系は3年生の時期はかなり忙しいです。大学の講義がより専門的になり、授業も増えます。文系みたいに1,2年生の内に単位を全部取るなんてこともできません。
だから、理系が3年生で就活するのはそもそも厳しいのです。

そして理系学生が研究室に配属されるのはだいたい4年生からです。
だから自分には研究が合わないと気づいても、自分の学年の就活時期は既に終わってるのです。
こうなったら休学して就活するか、大学院に進むしか選択肢がないのです。

就活は複数内定がもらえたらそこから選べます。会社は嫌なら転職すればいいです。
でも学生はそうはいきません。4年生なら大学を辞めたら高卒になります。大学院生は辞めても大卒ですが、新卒カードは消えてなくなります。
つまりほとんどの場合、学生はブラック研究室から逃げられないのです。だからこそ教授や指導員は学生という立場の弱さにつけこんできます。

自分もこの例に漏れず、研究室から脱出する方法がありませんでした。
結局、研究なんてしたくもないのに大学院に行く羽目になりましたね。今思えば、休学して就活するというのもアリだったかもしれないですね。

余談ですが、自分は金融業界にアクチュアリーという職種で就職する予定です。
3年間の研究室生活が地獄すぎたので、逆に就職先をどうするかをメチャクチャ考えました。
研究室で感じたことは、風通しが悪いことは致命傷だということです。
例えば研究室なら、教授が学生の単位を握っているため学生は下手にでるしかありません。それを向こうも理解しているからやりたい放題してきます。研究室は無法地帯です。労働組合もありません。

研究室のような風通しが悪い場所は、自分には地獄だということを痛感しました。だから理系就職の定番であるメーカーは選択肢から外しました。メーカーは社員の多くが(陰湿な)理系で、勤務地が田舎であることが多く、風通しが悪いと思いました。待遇もずば抜けていいという訳ではないですし、行きたい理由が見つかりませんでしたね。(メーカーに行きたい方、すみません。これはあくまで個人の意見です)

長々と語りましたが、要は就活市場は文系中心のため、理系は肩身が狭い。ということです。
理高文低時代とか言っている人がいますが、あまり理系の実態を知らないのかなと思います。
ブラック研究室では留年や中退する人は結構いますし、ごくまれに自殺する人もいます。

企業の社員が自殺でもしたら、メディアはこれでもかと報道します。しかし大学内の出来事など、メディアは取り扱ってくれません。ましてや理系の実態なんて世間からしたらマイナーですから、研究室環境の劣悪さなんて報道してくれません。このように風通しが悪いため、大学の研究室は一生変わりません。

これを読んでいる人はくれぐれも大学院に行かないことをオススメします。


⑦ その他

最後に大したことないけど、ちょっと嫌だったことを書いていきます。

まずは大学4年生の頃、みんなが楽しそうにキャンパスを歩いている所、自分だけ研究室に向かうのが虚しかったですね。

大学生といったら、サークルや部活といった楽しい物が中心なはず。
にもかかわらず、自分は毎日実験で一体何やってんだって思いましたね。しかも無給。

それに加えてこの地獄があと3年あるのかという絶望感もありましたね。
今は修士2年の11月ということであとちょっとで解放されますが、4年生の当時はそれはもう毎日絶望していましたね。

それから世間の人が「理系=大学院進学が普通」とか言ってるのにムカついてましたね。いやお前らどうせ大学院なんて行ったことねーだろと。
たしか今の大学院進学率はせいぜい1割程度。つまりほとんどの人は大学院なんて行ったことない訳です。
にもかかわらず、何も知らないやつが大学院を語ってる訳です。ホンマむかつくわ。
理系大学院生の自分から言わせてもらいますが、大学院に行くメリットはあまりありませんよ。大卒と院卒の待遇はほぼ変わらないですからね。

最後に卒論を書かなくていい学部にムカついてましたね。
なんで自分たちは卒論を書かないと卒業できなにのに、彼奴らは卒論を書かずに卒業できるのでしょう。
卒業難易度が全然違うのに、卒業したら同じ大学名を名乗る訳でしょ。やっぱり納得できないですね。

まとめ

ここまで悪口を書いていきましたが、結局なにが言いたいのかというと

  1. 研究室の環境は劣悪。そして何も得られない。

  2. じゃあ大学院に行くのやめようと思っても、就活の時期が悪く逃げられない。

  3. 結果的に3年間の刑務作業が確定してしまう。

ってことですね。

既に4年生以上のひとがこの記事を読んでも今更何もできないのですが、まだ大学3年生以下の人や、高校生、受験生の子供を持つ親御さんたちにはよく考えてほしいですね。

理系に行くにしても、就活を視野にいれて学生生活を送ってください。


以上です。ここまでありがとうございました。
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