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鞄の中のマイワールド

買い物帰り、車の助手席

布製の小さな手提げ鞄を、母親が子供を抱っこするかのように大切に抱え、中のものをせっせと整理し始める娘。時々座席下に落としてしまったり、ばらまいたり、その動きのせわしなさったら、運転しながらの視界の隅でも認識可能。

最近、少し出掛けるだけでも、自分のものを鞄に入れて持ち歩くことに喜びを感じている5歳の娘。

グミ、絵本、おもちゃの指輪、ビーズのブレスレット、色鮮やかなタオルハンカチ。大人に邪魔されない自分だけの世界を詰め込んでいるのだろうか?


よくTVで目にする、女優さんのバッグを抜き打ちでチェック!という企画を思い出した。大きなブランドのバッグに、化粧ポーチ、くし、サプリメント、顔用パックまで入っていたりする。「それ、要る?!」と突っ込むリポーターに共感する。でも彼女達にとって美容は命綱なんだろうな、と納得もする。


娘は帰宅すると鞄の中身を一つずつ出し、横一直線に、そして種類別に丁寧に並べ始める。先ほどスーパーで取ってきたであろう、キャンペーンチラシが何枚も出てきた。「それ、要る?!」と、思う。


私のバッグの中身はといえば、特に変わったものは入れていない。携帯電話、財布、ハンカチ、ティッシュ、カードキー…。最近は、読みかけの文庫本を入れておかないと、落ち着かない。出掛けても読めるかどうかわからない、むしろ読めない場合が多い。ただ、もし読む時間があった場合、側に本がない状況に陥るのが不安なのかもしれない。

いつしか本は、私にとってお守りのような存在になった。


バッグの中身は、いわば持ち主の人生の縮図。


100万円が当たります!ディズニードリームキャンペーン!夢をつかもう!そんなチラシを忍ばせ、夢と希望でパンパンになった鞄を引っ提げる娘。

今から宝探しに行こうよ、とでも言いたげに目をキラキラさせる彼女に、今日も前を向く元気をもらう。

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