単純な質問に絶句【創作:読めるラジオ】
[この番組は、ひとりっ子のひーちゃんが視聴者の様々な悩み・愚痴・不安・期待を自分の事のように真剣に考える視聴者一体型ラジオです。]
[なお、ラジオ内容は全てフィクションです。特定の人物とは一切関係ありません。すべて作者の妄想です。]
皆さんこんばんは。
ひーちゃんの日常、始まりました。
皆さんのお相手を務めますのは、生まれてこの方ひとりっ子、ひーちゃんです。
この番組は、リスナーが抱えているモヤモヤをひーちゃんの主観100%でお話していきます。
もしかしたら、傷付く方も、救われる方もいるかもしれません。「こんな考えをする奴もいるもんだ」と軽い気持ちで捉えてくださいね。
それではさっそく参りましょう。
ラジオネーム[空飛ぶわらび餅]さんからです。
[ひーちゃんこんにちは。いつも楽しく拝読しています。突然ですが、ひーちゃんは「絶句」したことありますか?先月会社での人事異動で、僕の親世代の上司が隣のデスクにやってきました。その上司は僕のことを舐めまわすように見てから「君はいくつ?彼女はいるの?結婚はまだなの?」と話しかけてきました。今はコンプライアンスを意識している社員が大勢いるし、上司も女性にこのような質問はしません。ただ同性の僕には何の躊躇もなく話すのを見て、生まれて初めて「絶句」を知りました。自分と全く違う意見や考え方をする人を見ると、人は黙ってしまうものなんですね。小さなモヤモヤが心残りでコメントしました。ひーちゃんはこんな時どのように対処しますか?]
空飛ぶわらび餅さん。コメントありがとうございます。
わらび餅が空を飛んでいたら、私も絶句するかもなー。
さて本題ですが、私もあります。絶句。
私は基本的に日常生活で驚くことがありません。なぜなら、自分の家族にいつも驚かされるからです(良い意味です)。毎日驚いていると、外に出た時に「こんなもんか」と感じてしまうことが多いです。
でもそれは家族。面白い、で済む驚きだからです。この人と根本的に考えが違う、金輪際関わりたくない、と思ったら絶句になりますね。
ずっと前ですが、良くしてくれた(していると思っていたんだと思う)同性の上司がいました。自分はサバサバしていて、思ったことをすぐに言葉にしてしまう、と常に言っているような人でした。
そんな彼女と話している時、LINEを開く機会がありました。私のLINEはスマホと同じようにロックを掛けていて、スマホを開くパスワードとLINEを開くパスワードの二段階認証を行なうようにしていました。スマホのロックを解除して、LINEのパスワードを打っている間、それに気付いた彼女が言ったんです。
「え、なんで彼氏もいないのにパスワード掛けてんの?」
嘲笑っていたのか、単純な疑問だったのか、暗い店内であまり顔が見えませんでした。
絶句でした。ああこの人、友達いないんだろうなって思いました。
その時私がどう返したかも覚えてません。愛想笑いだったかな、忘れちゃったな。でもこの人に自分のことを話すのはやめようと思いましたね。
空飛ぶわらび餅さんの「絶句」との共通点は、単純な疑問を何のフィルターも通していないのが伝わっている、ということでしょうね。私も、空飛ぶわらび餅さんも、この人、その言葉で他人がどう思うのか、自分のことをどう思ってしまうのか、そんなことを微塵も意識しないで発しているんだなって思ったんでしょうね。
可哀想だなって、思いませんか?
可哀想だな、から「絶句」ってあると思いませんか?
もしかしたら、空飛ぶわらび餅さんの上司も私の上司も、考えすぎだと私達のことを小馬鹿にするのかもしれないです。でも、そんな人を見る度に、人の気持ちも考えられないような人に育たなくて良かったって心の底から思います。
だから空飛ぶわらび餅さんも、可哀想だなって思ったらいいんです。注意もしなくて良いし、戦わなくても良い。ああそうです、恋人もいませんし結婚もしていませんよ。それよりこの資料確認してもらって良いですか?それくらいで良いんです、仕事上の会話なんて。
でもモヤモヤってそれじゃ消えないんですよね。その時はまた、私が受けたモヤモヤの話をしてあげます。共有しましょうよ。
私達は、人のことを考えられる人間なんですから。
明日もお仕事、無理せず。帰宅の際にまた読みに来てくださいね。
以上、ひとりっ子のひーちゃんでした。