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息子と一緒に初めてフットボールを観に言った日(ロンドンで子育て)
イギリスは4月18日に発表された、欧州スーパーリーグ創設計画のニュースでこの数日間てんやわんやです。
ご存知ない方のために説明すると、欧州スーパーリーグ計画とは、選ばれた一部のビッグ・クラブだけで行う新たなリーグを創設しようという計画です。
具体的にはレアル・マドリッドなどスペインから3チーム、イタリアから3チーム、そしてイングランドのマンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、チェルシー、アーセナル、リヴァプール、トッテナムの6チームから構成。つまり金持ちチームです。
しかし金持ってる=強いとも言えないのがスポーツの面白いところ。2016年にイングランドの弱小チームであるレスターが大番狂わせでプレミアリーグ優勝し、欧州最高峰の王者を決めるチャンピオンズリーグに出場した事は記憶に新しいです。(岡崎慎二選手が所属していた頃ですよ!)
岡崎選手と一緒に活躍したヴァーディ―選手は、数年前までセミプロでプレーしながら工場勤務もしていたという逸話もあり、地元レスターでは皆が大興奮。国中に感動を巻き起こしました。小さく弱い存在が巨人に打ち勝つストーリーは、どこの国でも人々の琴線に触れるのです。
もし欧州スーパーリーグが実現すれば、資金力に恵まれた限られたチームのみの勝負となり、その様なドラマは見られなくなってしまいます。金満主義の権化のようなこの計画、発表直後から各クラブのファンから政治家まで、国中から大顰蹙の嵐でした。
スタジアムの前で選手の乗るバスをファンにブロックされてマンチェスター・シティは早々に撤退を発表。それに続き、イングランドの6チーム全てが撤退を表明しました。早い!
これでいいのだ。
前置きが長くなりました。知ったかぶりして書いたのですが、実は私はよくフットボールの事を知りません。
フットボールへの興味も知識もない両親の元に生まれた息子は、なぜか生まれた時からボールが大好きでした。
今でも忘れません。言葉を話し始めた頃、「ダディとマミーとどっちが好き?」と愚門を発した私に対する息子の答えは
「ボール」
でした。質問の答えになっていませんが、とりあえず両親よりボールの方が上だという事は分かりました。知らない方が幸せな事もある。
初めは子供のフットボール教室に私が連れて行ったものの、小学2年生の頃には友達から聞いたクラブに入ると自分で決めてきて、息子のフットボール人生は始まりました。
我が家はアーセナルのお膝元で、息子も当然の様にアーセナルファンになりました。スタジアムに試合を観に行きたいとねだられるも、私はチケットの買い方も分かりません。とりあえず映画を観る感覚でスタジアムのボックスオフィスに赴き「今日の試合のチケットありますか」と聞いたら目を丸くし宇宙人を見たかの様な係員に狼狽されました。
チケットを買うにはまずメンバーになるのが良い事、良いマッチのチケットは事前に予約しなければならない事、通常は当日券など手に入らない事などを、不憫そうに説明してくれました。映画のチケットよりもずっと高い事も分かりました。
そんなこんなで、いろいろ面倒くさそうだしメンバーになる程のパッションは無かったので、息子のフットボール観戦デビューは一旦頓挫したのですが。
それから程なくして、(2010年のイースター休みだったと思います)日系旅行代理店から送られてくるセールスメールを見ると。
「今週末!フラムホームゲーム観戦チケットラストミニッツ ロングサイド席特別価格£20!」
おお、これなら安いし簡単に買えそう。どっちのチームもよく知らないけどチケットがぎりぎりまで残っているって事もあるんだね。(そうなんです、不人気カードならね。)
息子に聞くとアーセナルでなくても行ってみたいという事で、2枚購入。息子も私も生まれて初めてのフットボール観戦となったのでした。
当日はお天気が良く、最寄りの駅からはフットボール観戦と思われる人々が降りてきます。とはいえ、武道館のコンサートの前後の様に大量の人間が大移動する感じではなく、同じ目的を持った人達が同じ方向にぽつりぽつりと向かうちょうど良い混み具合。イースター休暇中のせいか家族連れも多く和やかな雰囲気です。気持ちの良い日差しを浴びながら公園を突っ切ると、そこがスタジアムです。
始めてみるフラムスタジアムは、古くて歴史を感じさせます。こじんまりしていてそして古い!愛称がクレイヴン・コテージというそうで、それもかわいい。
空から見ると分かりやすいです。住宅地の真横です。住宅街とテムズ川と公園に囲まれてスタジアムがあるのです。
元々フットボールに詳しくないので試合内容は忘れてしまいましたが、とにかくその環境やスタジアムの佇まいが印象的で、フットボール誕生の国イギリスで、それがいかに地元に密着したイベントであったかを物語っているようでした。
調べると1896年の開場だそう。百年以上の間、ずっとローカルの人が情熱を傾ける社交場であったのでしょう。フットボールがこんな巨大産業になる前はボックスオフィスに直接出向いても宇宙人扱いされる事無しに当日券が買えたのかもしれません。ビールを飲みながら地元チームを気軽に応援できる場所であったはずです。
2006年にできたエミレーツスタジアムの収容人数は約6万人ですが、ここは約2万人。(アーセナルもエミレーツスタジアムができる前は、クレイヴン・コテージよりもっと住宅街の真ん中にありました。)
拝金主義の権化のような欧州スーパーリーグ計画を聞いたら、あの、のどかでのんびりとしたクレイヴン・コテージを思い出しました。もしスーパーリーグが実現していたら、レスターもフラムも別リーグになってしまい、お金の集まるクラブにはますます集まり、そうでないクラブとの差が広がってしまった事でしょう。
どうやら計画は阻止されたようで本当によかったです。て、何度も言いますがフットボールよく知らないですけどね。なんか間違えてるところあったら教えてください。
そんなラブリーなクレイヴン・コテージも改装されている様です。近代的になっちゃうのちょっと寂しいです。
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