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相手を励ますどころか苦しめてしまう
否定的な感情を自分の中で受け入れられないと、他人の否定的な感情にも敏感になり、それを恐れたり、避けたりする傾向が生まれます。
否定的な感情を避けることは、言い換えれば「その感情を自分がコントロールできない」「それにどう対処していいかわからない」という不安を反映しています。
その結果、他人が悲しみや怒り、不安といった感情を表現したとき、どう接すればいいのかわからなくなるのです。
このような恐れは、しばしば他者との距離を生む原因になります。否定的な感情を持つ人に近づくことで自分の傷口が開くのではないかと感じ、無意識にその人を避けたり、感情を抑え込ませようとしたりする行動に繋がるのです。
「元気出して」「ポジティブに考えよう」といった言葉が、相手を励ますどころか苦しめてしまう場面も、ここから来ているのです。
一方で、自分の中の否定的な感情を受け入れることができる人は、他者の否定的な感情にも恐れず向き合うことができます。他者がその感情を表現することを許容できる度量が広いのです。
それは、単に感情の受容というだけではなく、人生のすべてを受け入れる、成熟した生き方だと感じます。