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集中する。

▶︎集中する。(概念編)003

今から100年ほど前に俳優の演技教育法を確立したロシアのスタニフラフスキーという人の著作のテーマのひとつが「集中と開放」です。
今回はこの「集中と開放」の「集中」について考えてみます。

ある翻訳では集中とは「一点に集中しきっている。結果として周囲が見えなくなる集中。周囲全体にアンテナを張り巡らせることが出来、周囲の出来事を全て受け入れることが出来る開放された受動的集中力」と書かれています。

が、これでは何のことか良くわかりませんし、こんな説明では具体的に何をどうしたら良いか見当がつきません。僕自身、演技初心者だった20代の頃、劇団の演出家に難解で哲学的な感じの説明をされてちんぷんかんぷんでした。

あれから40年以上の時を経て、この「集中」ついて自分なりに出した答えがあります。

まず集中と聞いてあなたはどんな状況をイメージしますか?「精神統一」「周りの雑音をシャットアウトする」「自分の内面に意識を向ける」この中のどれかに当てはまったら、あなたは間違いなく日本人です。

ところが同じ質問を西洋人にすると彼らは「相手に向かって集中する」と答えるのです。

なんだか目から鱗でした。人種の違いってこんなにもハッキリとした違いがあるんだと。だってスタニフラフスキーってロシア人ですものね。彼の演技教育法はあくまでも狩猟民族である彼らのために考え出されたもので、農耕民族である僕たちが利用するにはそれなりの意訳が必要なのです。

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