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『ねぶたの家 ワ・ラッセ』で青森ねぶた祭をもっと楽しめる!

青森県で毎年8月2日~7日に開催される「ねぶた祭」。
歌舞伎のような顔をした大きな人形灯籠が街を練り歩く姿は圧巻の一言で、一生に一度は目にしておきたい祭典の一つです。

ねぶたの題材は伝説上・歴史上の人物、歌舞伎、神仏などから選ばれることが多く、特に昭和中期頃までは歌舞伎・三国志など日本の合戦物・中国の伝説が大部分を占めていました。最近では題材のバリエーションも増えてきていて、地元の伝説や偉人、大河ドラマなどのテレビ番組を題材としたねぶたが制作されることもあります。

知名度8割の青森ねぶた祭! だけど、「ねぶた」の由来は4割が全く知らない!


「ねぶた」の由来・起源はいくつかの説があります。ここでは七夕の農民行事「眠り流し」が変化した説を紹介します。

青森の方言では「眠たい」ことを「ねぶたい」といいます。暑さが厳しく農作業の激しい夏である旧暦の七夕の日に、“眠(ねむ)たさ(睡魔)を追い払うため水に流してしまおう”と、「眠り流し」という農民行事が行われていました。藁で作った人形や灯籠を「ねむた流れろ」と唱えながら川や海に流していました。

このことから、灯籠を「ねむた」と称し、行事名が「眠り流し」から「ねむた流し」と呼ばれるようになり、方言が転じて「ねぶた」といわれるようになったそう。

ねぶたの歴史を少し紐解くと、現在のねぶたのように大型のものや歌舞伎モチーフのものが出てきたのは、町人文化が栄えた文化年間(1804年~1818年)だとされています。

農作物の不作や、黒船来航による有事などにより江戸時代末期にはねぶた禁止令が出ていたにも関わらず、ねぶたを作ったことで、処罰された記録がたくさん残されています。ねぶた禁止令にも負けない、ねぶたへの情熱が垣間見れると共に、ねぶたが民衆の間に根付いていたことが窺えます。

もともと宗教色がなく、参加資格も緩やかだったせいか、時が経ると多くの団体が参加するようになりました。そして、表彰制度もあることから参加団体が熱中し、約350万人が集まる経済効果200億円超えのビッグイベントに発展していったのです。認知度8割というのも頷けますね。

また、ハネト(跳人)となって、ねぶたと一緒に祭りを盛り上げる踊り子になることも可能です。ハネトの衣装を着ていれば、誰でも事前申し込みなしで参加できるのが「青森ねぶた祭」の大きな魅力でもあります。

大英博物館が認める芸術性


ねぶたは針金で形を作り、表面に紙を貼り、色をつけるという構造的にはシンプルなものですが、中には照明を仕込んだり、光を有効に活かすために彩色を工夫したりと、一つひとつの工程には熟練の技が必要です。
各団体が美を競い合ううちに、ねぶたは手の込んだ芸術性の高いものになり、それに伴って「ねぶた師」といわれる専門の制作者が登場してきました。

「ねぶた師」には簡単になれるものでなく、まずは師匠のもとに通う必要があります。見よう見まねで技術を覚えるその伝達方法は、まさに伝統工芸の名にふさわしいものであります。

こうして、芸術性を高めていったねぶたは、平成3年(1991年)にロンドンへ遠征した際に、大英博物館の学芸員の目にとまることになるのです。

3か月かけて作られる「ねぶた」!『ねぶたの家 ワ・ラッセ』でねぶた祭をもっと楽しめる!


ねぶた祭のことが知りたい人におすすめなのが、JR青森駅の北側に位置する「ねぶたの家 ワ・ラッセ」。

2階建ての建物で、さまざまなねぶたに関する展示が見られます。1階はワ・ラッセのメインとなる部分で、毎年ねぶた祭の本番に出陣した大型ねぶたを展示しています。吹き抜けの広大な空間で大きなねぶたが佇む姿は、迫力満点です。実際にパーツを触ることもできるので、より深くねぶたを感じることができるでしょう。

2階部分はねぶたミュージアムとなっていて、ねぶた祭の歴史や制作技術、制作風景、ねぶたの題材の移り変わりなどを知ることができます。

また、毎日、ねぶた囃子演奏・ハネト(跳人)体験・囃子体験ができ、校外学習にもピッタリです。

こちらのホームページには「やさしいねぶた学」シリーズと題して、祭を支える種々の人たちを講師に迎える動画アーカイブもあります。

青森ねぶたを多角的に捉えることで、先祖伝来の貴重な財産を見直し、次の世代へ引き継ぐ役割を担うことを目的としています。

ねぶたのことを知りたい方は、まずはこちらの中から、気になる動画から見始めるのもよさそうです。


ねぶた祭前日の8月1日は、青い海公園(ラッセランド)で前夜祭が毎年開催されます。屋台や出店に加え、コンサートやダンスコンテストなどの様々なイベントが企画されます。例年はお祭りに出陣する大型ねぶたの展示や、ミスねぶた・ミスターハネト、ねぶたを作るねぶた師の紹介、ねぶた囃子演奏なども行われます。翌日のお祭りへ向け、より気分を高めることができるでしょう。

「青森ねぶた祭」は、毎年8月2日~7日に開催されます。最終日の8月7日には、ねぶたの海上運行があります。その際には、青森花火大会が同時開催され、「青森ねぶた祭」はいよいよクライマックスに。海上に浮かんだ幻想的なねぶたと、約1万1千発の花火とのコラボレーションはまさに見ものです!


『ねぶたの家 ワ・ラッセ』でねぶたの事前学習をしておけば、一生の思い出となるでしょう。ねぶた観光の前にはぜひ『ねぶたの家 ワ・ラッセ』にお立ち寄りください!


基本情報
青森市文化観光交流施設「ねぶたの家 ワ・ラッセ」
住所:青森県青森市安方1-1-1
連絡先:017-752-1311



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