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視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2023」参加レポート

昨年4年ぶり開催された「サイトワールド2023」に行ってきました。
「サイトワールド」は、視覚障害者に特化した世界で例をみない総合イベントです。会場では展示をはじめ、講演会・シンポジウム、ワークショップなども開催され、触れて、聞いて、話して、体験できるイベントです。

4年ぶりの開催!視覚障害者向け総合イベント
「サイトワールド2023」

ふれてみよう! 日常サポートから最先端テクノロジーまで

イベント会場では30を超える多様な業種の企業が参加していました。
ロービジョン※を含めた日本の視覚障がい者数は、2007年時点で164万人と推定されており、2030年には200万人近くまで増加すると予測されています。会場には視覚障害者の課題を解決し、日常生活をより便利にさせるプロダクトから、未来に繋がる製品まで様々な展示が並んでいました。多くの素晴らしいプロダクトが集まっていました中から、今回は2つのプロダクトをご紹介します。
※視覚や見え方に障害があるため生活に何らかの支障をきたしている人に対する支援の総称。

【PLAYWORKS】

まずは、PLAYWORKSさんのブースに伺いました。
PLAYWORKSさんは、CULUMUと同じくインクルーシブデザインを実践するインクルーシブデザイン・コンサルティングファームです。当日は会場にて、代表のタキザワさんに展示中のプロダクトについて直接お話を伺うことができました。

「LOW VISION EXPERIENCE KIT」
(ロービジョン体験メガネ)

(参照:PLAYWORKS公式ウェブサイト:
LOW VISION EXPERIENCE KIT|ロービジョン体験キット

LOW VISION EXPERIENCE KITは、視覚に障害を受け「見えにくい」「見える範囲が 狭くて歩きにくい」など日常生活で不自由さをきたしている「ロービジョン(Low Vision)」の見え方を疑似体験できるメガネキットです。このキットではコントラスト低下、視野狭窄、中心暗点の3つの見え方で見えない世界を疑似体験することができます。

タキザワ氏:視覚障害と聞くと視覚情報がまったく得られない「全盲」というイメージがあると思いますが、視覚障害には全盲だけでなく、人によって様々な見えづらさがあります。それがなかなか知られていないなと感じていました。
このキットは「コントラスト低下」「視野狭窄」「中心暗点」の3つの見えづらさを簡単に組み立てて実際に体験し、その見えずらさを知ってもらうことができるキットです。オリジナルで作成し配れるように制作しました。そして組み立てなど改善を繰り返してきました。キットに色を入れたりと、こだわりが出過ぎたところもあります(笑)

ロービジョン体験キット
ロービジョン体験キット

ーこのキットが生まれたきっかけは先程お話しいただいたように視覚障害への理解に課題を持たれていたからでしょうか?ー

タキザワ氏:はい。様々な見えづらさがあるという視覚障害者への理解を広げることと、もう一つは、視覚障害に関するワークショップをする際によくアイマスクを利用することがありますが、アイマスクだとどうしても全く見えないという体験が強く残り、恐怖体験だけが埋め込まれるというデメリットがありました。ですので、アイマスクタイプにしながらも、かけながら付箋にメモをすることができたり、長時間かけても問題なく、様々な見えづらさを体験できるようにと開発しました。

視覚障害者歩行テープ「ココテープ」

視覚障害者歩行テープ|ココテープ
(参照:PLAYWORKS公式ウェブサイト:視覚障害者歩行テープ|ココテープ

「ココテープ(視覚障害者歩行テープ)」は、視覚に障害がある方の歩行をガイドする、幅48mmの塩化ビニル製の屋内専用テープです。いつでもどこへでもカバンにいれて持ち歩き、必要な場所に必要な時だけ貼ることで、視覚障害者の自主的な移動をサポートします。

タキザワ氏:点字ブロックは視覚障害者を移動を支援する社会インフラですが、点字ブロックが日本中全部に敷かれてるわけではありません。手間やコストもかかりますし、視覚障害者をはじめ高齢者などの当事者が点字ブロックを敷いてほしい、剥がれてる点字ブロックを直して欲しいということをなかなか言いづらい状態にあるのかなと思います。結果的に外出や旅行を諦めてしまうということがあります。
 社会に対して待つしかないという状況に対して逆に、当事者の方たちが自ら自分の行きたいところの道を自分で作っていけるようにしたいと思いました。

ー点字ブロックに課題を見つけられたのは、障害者の方からの声などからですか?ー

タキザワ氏:そうですね。多くの視覚障害者の方々と一緒にプロジェクトを行っていくなかで、そういった課題感をお聞きしていたので、どうにかしたいなという気持ちが常々ありました。
そして、2022年頃に大阪にある錦城護謨さんというゴムメーカーの太田社長にこれを作ろうと僕の方からプレゼンに行きました。その後プロジェクトチームができて1年かけて、ここまで来ました。

視覚障害者歩行テープ|ココテープ
視覚障害者歩行テープ|ココテープ

ーテープで貼るというアイディアはすぐに生まれたのでしょうか?ー

タキザワ氏:一番最初のコンセプトは、養生テープのような点字ブロックを作ろうと思っていました。簡単に貼れて簡単に剥がせるようにいかに利用する際のハードルを下げられるかがチャレンジでした。形状などは多くの検証を行いました。3Dプリンターで作り、いろんなパターンで実証実験を行いました。実験結果や意見を集め、製品の改善を繰り返してきました。
特徴は両サイドのエッジが山になった突起があります。これにより足で踏んだ時に分かりやすくなっています。足で踏むと潰れるので、そのときの感触とか、潰れれるので車椅子が通りやすく考慮しています。

「ココテープ」は、長い距離で使用できるロールタイプと、ポイントで使用できるシートタイプの2種類があります。一番のポイントは、カバンに入れて持ち運ぶことができるという「携帯性」です。自分で持ち歩き必要なときに必要な場所にだけ貼り、終わったら剥がすといった使い方ができます。ココテープを切って、重ねて巻いてコンパクトに持ち運びができ、自由に配置可能です。実際に利用のされ方もご自宅で利用されていたり、結婚式のバージンロードで利用したいという当事者もいらっしゃいます。今も様々なフィードバックをいただいています。

ー最後にココテープの今後の予定をお聞かせ下さいー

タキザワ氏:クラウドファンディングでより多くの方に使ってもらい、こうしてほしいという要望など体験者からのフィードバックを集めて、2024年4月ぐらい、春ぐらいに発売したいと考えています。
先程も申し上げましたが、ハードルを下げ、下げることによって、最初の一歩を踏み出せるようにしたいと思っています。点字ブロックを敷く前に、まずココテープを使って検証して、その上でこうしましょうと検討していくことも可能になります。点字ブロックは素晴らしい社会インフラですが素晴らしいけどまだ完璧ではありません。3年後、5年後、10年後とかにはココテープが当たり前になり、点字ブロックぐらいの発明になってほしいと思います。
 
「ココテープ、ここに貼って」と気軽に言える社会を目指していきたいと思います。

インタビューに答えていただいたPLAYWORKSタキザワさん
お話を伺ったPLAYWORKSタキザワさん
「タキザワさん、本日はありがとうございました!」

PLAYWORKS株式会社
視覚障害者など多様なリードユーザーとの共創からイノベーションを創出する、インクルーシブデザイン・コンサルティングファームです。ソニー「XRキャッチボール」、ぺんてる「視覚障害者用画材」、セイコー「薄型ソーラービーコン内蔵点字ブロック」など開発協力。
https://playworks-inclusivedesign.com/

【Ashirase】

スマートフォンアプリと靴につける振動インターフェースで視覚障害者が「1人で自由に歩ける」ことを目指したナビゲーションシステムです。 スマートフォンアプリによる音声入力や案内および、 お使いの靴につける振動インターフェースで構成されています。

展示中のAshirase(アシラセ)
展示中のAshirase(アシラセ)

2つ目は、本田技研工業株式会社ののスタートアップとして設立された株式会社Ashiraseの「Ashirase(アシラセ)」です。
アシラセは、視覚障害視覚障害者の単独歩行を支援するツールです。
自分の靴に取り付け、専用のアプリに目的地を入れると歩行中に進行方向や道順を振動や音声で教えてくれます。様々な靴に簡単に取り付けることができます。

実際にプロダクトも見せていただきました
実際にプロダクトも見せていただきました

現在の歩行ナビゲーションの多くは音声ナビゲーションで歩行を誘導するアプローチですが、それゆえ聴覚を邪魔してしまう場合があります。一方、あしらせは聴覚を妨げず、周囲の安全確認に集中することをサポートしてくれます。
視覚障がい者の行動範囲が拡がり、「1人で自由に歩ける」ことを実現してくれるプロダクトであると感じました。

株式会社Ashirase(アシラセ)
「人の豊かさを“歩く”で創る」をミッションに掲げ、視覚障がい者の歩行を支援する靴取り付け型のナビゲーションシステム「あしらせ」を開発。
本田技研工業株式会社が開始した新事業創出プログラム「IGINITION」の第1号スタートアップとして2021年設立。
https://www.ashirase.com/


【デザインスタジオ CULUMUご紹介】

「インクルーシブデザインスタジオ CULUMU」では、 3,000を超えるNPO・NGOのリレーションとともに業界をリードするデザイナー、エンジニアが連携した「多様な人々・社会と共創する インクルーシデザインスタジオ」です。高齢者や障がい者、外国人など、これからの社会において多様な人々の声を取り入れられる(モノづくりの上流プロセスから巻き込む) ユーザー中心のアプローチをモノづくりの当たり前にします。
https://culumu.com/

【インクルーシブデザインワークショップ申込み随時受付中!】

一般企業、教育機関、NPO、公的機関などさまざまな方がご利用いただけます。ワークショップの内容などお客様に合わせカスタマイズも可能です。
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【CULUMUのインクルーシブデザインワークショップレポート】

インクルーシブデザインワークショップ「事例紹介」

・カシオ計算機株式会社様

・株式会社Muture様


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