QRコードが導く目的地~2024年1月導入開始!視覚障害者向け駅構内移動支援アプリ「shikAI(シカイ)」で東京の迷宮・地下鉄大手町駅を歩いてみた!
皆さん、こんにちは!全く目が見えないお姉さん、愛美テミスです。
視覚障害の立場から、日常のあれこれをお届けする本コラム。今号は、駅構内の視覚障害者向けナビゲーションシステム『shikAI(シカイ)』アプリの実力をルポします!
はじめに
ところで皆さんは、白杖を持った視覚障害者が、単独ですたすた歩く様子を見たことがあるかもしれません。また一方で、うろうろと迷っているところに遭遇したこともあるかもしれません。実は、これが目が見えない人の歩き方の特徴です。
なぜ、すたすた歩けるのかというと、それが歩きなれたルートだからです。つまり、通勤などで毎日通うルートであれば、迷わずに歩くことができます。
ところが通勤ラッシュなど人が入り乱れ、いつものルートが塞がれてしまうと状況は一変します。ましてや通いなれていない場所であれば尚更です。白杖で足元の安全を確保しながら点字ブロックなどの目印を探り探り歩くことになりますが、一度、目印を見失い、方向感覚がなくなれば迷子になり、油断をすると段差に躓いたり、最悪ホームから転落したり。視覚障害者の外出は、常に危険と隣り合わせです。
こうした状況を改善すべく、東京メトロが導入したナビゲーションシステムが『shikAI(視界/シカイ)』です。
導入駅はまだ少ないですが、少しずつ利用可能エリアを拡大しています。そして今年1月末、待望の大手町駅でも、システムが運用開始となりました!
視覚障がい者向けナビゲーションシステム「shikAI」のサービス対象駅を拡大します! | 東京地下鉄株式会社のプレスリリース
『shikAI(シカイ)』とは?
『shikAI』は、スマホで点字ブロック上のQRコードを読み取って、正確に目的地まで誘導するナビゲーションシステムです。
操作は簡単です。
➀点字ブロックに設置されたQRコードを読み取り、目的地をセットします。
②『shikAI』が、現在地から目的地までの移動ルートを導き出します。
③音声ガイドに従って点字ブロックに沿って移動し、目的地までナビゲートしてくれます。
おかげで初めて訪れる駅でも、確実に改札やトイレまでの移動ができ、さらに乗り換えも可能になりました。
大手町駅体験ルポ
この日は『千代田線大手町駅大手門方面改札』で待ち合わせ。
ホームに降りた私は、まずアプリを起動。ナビゲーションを選択、アプリの指示に従って点字ブロック上のQRコードを読み取り、最初の目的地として「トイレ」をセット。すると、目的地までの距離とポイントの数、進むべき方向が音声で案内されました。さあ、出発です。
「前方6メートル」「右方向7メートル」といった具合に、次のポイントとなるQRコードまでの方向と距離を音声で知らせてくれます。間違えて通り過ぎてしまった場合には「後退6メートル」となるので、かんたんに正しいルートに戻ることができます。また階段は、段数までしっかり教えてくれます。途中、「前方50メートル」には少し面食らいましたが、ここは巨大な迷宮『大手町駅』ですから、ご愛嬌ですね。
すると無事に到着。そこからはトイレの前に設置の音声案内にバトンタッチです。アプリの案内終了をタップして、ナビゲーションを終了します。
全く目が見えない私が、単独で初めて利用するトイレまで無事に行って、そして使用することができるなんて、なんと素晴らしい!
続けて次の目的地、大手門方面改札へ向かいます。
再びアプリを開いて、点字ブロック上のQRコードを読み取ります。ここで注意すべきは、ホーム上と違い、QRコードは分岐点や曲がり角にしか設置されていないということです。すぐにQRコードが読み取れないといって慌てずに落ち着いて点字ブロックに沿って探します。
そして、目的地がセットできたら、再び出発です。
ヤッター!一度も迷うことなく確実に、目的地に到着です。
おわりに
主な公的施設には必ず敷設されている点字ブロック。ですが実際のところは、その点字ブロックの先に何があるのか、どこにつながっているのかは、見えない私たちにとっては“行ってみるまでわからない”というのが事実です。
そういう意味で『shikAI』は、すでに敷設されている点字ブロックをアグレッシブに活用することで、点字ブロックそのものの存在価値を向上させたといえます。
実際に利用した私自身、安心して自信をもって移動できることに感動しています。
まず東京メトロが導入しました。その後JR西日本、豊島区でも採用されているので、これから利用可能エリアが広がっていくことでしょう。
皆さんも点字ブロック上にQRコードを見つけたら、『shikAI』をぜひ応援してくださいね!