目が見えない私が「チケットぴあ」で撃沈して思うこと(1)
皆さん、こんにちは!全く目が見えないお姉さん、愛美テミスです。
視覚障害の立場から、日常のあれこれをお伝えする本コラム。今号は昨年末全く目が見えない私が、オンラインでチケット購入サイト『チケットぴあ』を利用して、見事に撃沈したお話です。
ところでこのコラムをお読みくださっている方であれば、視覚障害者がWebを利用して撃沈したと聞いて、当然そこには「Webアクセシビリティ」の問題があることをご存じでしょう。
チケット購入における2つの大きな壁
『チケットぴあ』といえば日本を代表するチケット販売サイトですが、お世辞にもアクセシブルとは言えないというのが、私の正直な感想です。
なぜなら、たった2枚のチケットを購入するために会員登録は2回挑戦、購入手続きは3回も挑戦してようやくチケットがゲットできたのですから。
そこに立ちはだかったのは、時間制限という大きな壁でした。
「時間制限」という壁
まず1つ目の時間制限の壁は、会員登録における本人認証です。表示された番号に「3分」以内で電話をかけるというものでした。
ここで疑問が……。なぜ「3分」なのでしょう?
ちなみにおなじみのLINEアプリでは、2段階認証の時間制限は「30分」です。さらに解説すると、SMSで送られてきた4桁のコードを入力するまでの時間が30分です。
ところが今回のように電話をかけるとなると、11桁の番号を入力する必要があります。目が見えないと、PCに表示されている文字を見ながら入力することができないため、その番号を覚えるしかありません。でも、最近は年のせいか4桁以上の数字を記憶することがなかなか難しく、桁を区切って覚えては入力を繰り返します。入力も簡単ではなく番号をVoiceOverの音声で確認しながら入力をします。目が見えれば、何も不便のないプロセスであっても手間がかかります。間違い電話をかけるわけにもいかないので、慎重に対応しているとあっという間に3分が過ぎてしまいました。
やっぱり疑問に感じます。会員登録時の2段階認証の時間制限が、なぜ「3分」で設定されているのでしょうか?
私はそこに合理的理由を見出すことができないのですが、皆さんはいかがでしょう。
スマホの入力が苦手なのは、目が見えない私だけではないはず。そして、なぜLINEは30分も待ってくれるのでしょうか?
きっとそこには “多様な属性の人たちの『UX(ユーザー体験)』を考慮したサービス設計”をしているかどうかの差があるのだと思います。
そして紙面が尽きてしまったので、2つ目の壁=「Webアクセシビリティ」についてはまたの機会に。